労災で療養中の労働者の解雇条件を最高裁が、法解釈を緩和
株式会社パソナの子会社である「日本雇用創出機構」が、株主である大手製薬会社の「ローパー(ローパフォーマー)社員」の“追い出し”に手を貸していたとの告発がドンドン寄せられている。45歳以上の社員を対象とした早期退職者募集で“圧迫面談”が横行。最後まで拒み続けた数十人はナント、パソナ機構への“強制出向”をいきなり命じられ、そこでの業務は6か月間の転職先探しとの報道(日刊ゲンダイ)がされていました。
なぜ、日本ではこのようなことが起こるのでしょうか?
日本の解雇事情
日本では、整理解雇する場合には、民事上以下4つの要件が揃っていないと行えません。
1. 人員削減の必要性
単なる経営不振ということではなく、人員削減をしなければ経営が行き詰まるなどの理由があること。
2.解雇回避努力義務
希望退職者を募集、配置転換、出向など、解雇を回避するための努力を事前に行うこと。
3.解雇者選定の合理性
解雇する人員が、主観ではなく合理性があること。
4.解雇手続きの妥当性
解雇される者と十分に話し合いを行い、納得を得るための努力を尽くしていること。
少々減益になったくらいではもちろんだめで、部署が無くなっても配置転換などの措置をしなければならず、仕事ができないローパフォーマーであろうと余程のことがない限り解雇を出来ない日本では、追い詰めて自主的に退職したように装うやり方が横行してしまっている現状があります。
これに対しアメリカでは、ホワイトカラーや専門職などの、仕事に対して給与を支払われている人は、その仕事に対する結果が求めるレベルでなかったり、仕事そのものがなくなってしまえば、解雇することが出来ます。
今後どうなっていくのか
報道にあるような圧迫面接など、退職に追い詰めていくやり方は、パワハラになります。決して許されるものではありません。また、出向・転籍に関しては、本人の同意を得なければ本来認められません。
それでも一方で、経済のグローバル化、TPPの締結を控えている中で、海外からは解雇を含め日本の分かりにくい雇用慣行に対して、不満も出ています。海外企業に日本へ進出してもらうためにも、長い目で見れば、今後は金銭による解雇などが導入されていくのではないでしょうか。ただし、長く勤めた方が有利である年功的賃金、退職金等を制度面からも変えていく必要があります。中途で退職して転職をしても、生涯獲得賃金が下がらないようにしていかなければなりません。
労働者側から考えてみると、キャリア形成を会社任せにせず、自身で専門的な能力を身につけたり、人脈を広げたりする努力が必要になってくるでしょう。いざ、転職しなければならなくなった時に条件を落とさずに済むよう日々研鑽しておかなければなりません。
経済のグローバル化に日本の雇用慣行が追いついていない現状があり、変化に対応していく能力が求められているように思います。