会社を伸ばせる経営者は、自分の能力以上のオーバーエクステンション戦略に挑んでいる
社長の服装やスタイルと、会社への与信や成長性の関係性
企業の技術面や、ノウハウ面のチカラとともに、経営者の服装などのスタイルは、会社の「姿勢」と見做されます。今、ネクタイ・スーツス姿の経営者が少なくなっているからこそ、きちんとした服装で仕事をする経営者は、それが大きな信用に繋がっていんではないかと、僕は感じます。
特に、上場企業を中心とした大企業に対しては、経営者の「姿勢」によって、大きな成果の違いが出てくるのではないかと感じるわけです。
そんなことで、今回は、今だからあえて問う!服装は、ビジネスの成功に関係ないのか?という問題を考えるコンテンツを発信したいと思います。
僕が約10年間、グループ会社の取締役を務めたベンチャー企業グループのY副社長の事例
僕がURVグローバルグループを創業する前に、グループ会社の役員を務めた大手ベンチャー企業(今は、年商200億円程度で更に成長を続けている企業)に、人事畑ご出身の副社長のY副社長がおられました。
この会社では、Y副社長は、営業マンを中心とする400名のグループの各事業部を統括管理されておられましたが、この方は、全部署の営業マンに、お客様を訪問する際、真夏でもネクタイを着用することを非常に強く指導されておられました。
当時の僕は、
「今の東京の猛暑の中の営業で、さすがに真夏までネクタイを着用しなくても、よいのではないの?」
と、ちょっと思っておりましたが、Yさんは、若手の反応を一切無視して、非常に厳しくネクタイ着用を徹底的に指導されておられました。そのため、このグループ会社では、大学新卒の若手でも、全員が、真夏でも、ビシっとして見えていました。
この徹底ぶりが、確かに、この会社に対するお客様からの評価に向上に繋がり、非常に高い成長の一因になっていたことは、確かに、僕も認めています。
フォーマルビジネススーツの少史
今、Z世代の読者の方々は、日本人ビジネスマンがフィーマルスーツとネクタイを常に着用していた時代を知らないと思います。
大学に入学したのが、1986年というバブルのスタート時期にあたっている、2025年6月で58歳となる僕が、高度成長期からバブル期をえて、失われた30年の間の、日本人ビジネスマンの服装の少史を書いてみたいと思います。
昭和 バブル時代 日本人ビジネスマンのスーツ姿は、世界を怖れさせた
日本は、1945年の太平洋戦争終結時、焼け野原となった東京の闇市から再出発をしました。この頃の日本人は、職場に弁当すら持ってゆくことはできず、仕事へゆく服装なども、男性であれば、それまで来ていた兵隊の服のまま、というありさまでした。
これは、たかだか、今から80年ほど前の状態です。
その後、日本は、朝鮮戦争の特需をきっかけに、経済的に大きな復活をはじめました。製造業や造船業などの基幹産業を中心に、日本は、アメリカをはじめとした先進国に輸出を増やしました。そうなると、日本のビジネスは、製造業や商社などで、外国に売り込む仕事が花形となります。
こうして、日本のビジネスマンのスタイルは、営業マン中心の、スーツ・ネクタイを着用するものに統一されてゆきました。
日本の高度成長期は、年間のGNPが10%以上の成長をするという、奇蹟の時代です。日本人は、非常に勤勉で、日本製品は安くて安心ができる高性能。スーツとネクタイで、武装した日本のビジネスマンのスーツ姿は、世界から羨望と怖れを抱かれたのです。
90年代、ドレスコードで入ることを断られた、ウオール街の高級レストラン
ちなみに、スーツとネクタイが重要視されたのは、何も日本だけではありません。服装が自由だと思われているアメリカ合衆国でも、ニューヨークのエリートビジネスマンの間では、1990年代まで、スーツとネクタイのスタイルは、非常に重視されていました。
僕は、1996年にアメリカの大学院を卒業して、ニューヨークのウオール街にある、英国系の会計コンサルティング会社と契約して仕事を始めました。
その出社初日、僕は、上司についてくれた公認会計士のシニアコンサルタントに、服装で、注意を受けました。
日本の銀行出身であった僕は、黒の「銀行員らしい」スーツを着用して、事務所に出勤したのですが、上司は僕に、
「君のスーツは、見るからに安物だ。それでは、富裕層の顧客や大企業の役員から信用をえられない。私がブランドの店を紹介するから、今夜、まずは、スーツを作りにいきなさい。そんな安物のスーツで、うちの事務所に出勤してはならない。」
日本では、高いスーツを着てこい、ということを、上司が部下に指示をすることはありえませんが、当時のアメリカのウオール街では、これが当たり前でした。
また、高級なレストランのドレスコードも非常に厳しく、安物のスーツをきてゆくと、入店を断られる店も、当時、たくさん、ニューヨークにはありました。
僕も、上司から注意をうけてから、ニューヨークで仕事をしていた10年間、ずっと、英国紳士のトレードマークともいうべき、バーバリーのスリーピースを、着続けていたものです。
堀江貴文氏の服装は、当時、革命的だったが・・・
冷戦の終結とともに、民間に開放されたインターネットのネットビジネスで、急成長をとげたライブドアの創業者だった、堀江貴文氏が、メディアに登場する頃になると、公式の場にもスーツを一切着ない堀江氏の服装は、ビジネスマンに大きな影響を与えました、
猛暑における環境対策の視点から導入されたクールビズを大きく超えて、IT事業者を中心に、公式の場でも、日常の勤務でも、Tシャツで仕事をすることが、普通になったのは、堀江氏の抜群の知名度による、革命的なビジネススタイルの変貌に繋がりました。
しかし、その影響は、営業マンが、だらしない格好のまま、はじめての訪問先に行くことが平気である状態を生みました。
そして、このスタイルの変化は、同時に、海外でも、日本人ビジネスマンが、中国人と見分けがつかないほど、ラフな姿で仕事をすることにも繋がりました。
この日本人のスタイルの崩壊は、僕のように、海外のビジネスマンとお付き合いをするものからみても、非常にだらしなく見えます。世界のビジネス視点からみると、この日本人の変化は、日本の経済的な力の崩壊と重なってみえることに、日本人は、きづいてはいませんでした。
1980年代に、ネクタイ、スーツ姿で、世界から羨望を集めた日本人は、海外でも、平気でTシャツで仕事先を訪問するようなり、その英語力の潰滅的な発音も含めて、世界から馬鹿にされるようになっていったことに、日本人はいまだに、きづいていません。
今や、世界で、日本人ビジネスマンを馬鹿にする隠語 NATO=No Action,Talk only
(口だけで、本社に帰ってお伺いをたてないと何も実行できない日本人ビジネスマンを侮蔑する隠語)で、日本人をあざ笑う外国人が増えました。
この状態を招いた一つの原因は、日本人の服装が、非常にみすぼらしくなったことにもあるのです。
今、あえて、僕は、ネクタイの着用をはじめてみた!
僕も、URVグローバルグループの最高経営責任者として独立し、コロナ禍を経過するまで、ネクタイを着用しない、ソフトなスーツ姿で仕事をしていました。それが、ベンチャーの事業家らしいスタイルだと僕自身、自認していたわけです。
しかし、URVグローバルグループも大きく成長し、グループ年商が44億円に到達した2025年に、僕は、猛暑の夏以外は、ネクタイ・スーツ姿に戻すことに決めました。
大企業の経営支援や海外進出支援案件がふえ、上場企業の取締役会にも出席する機会も増え、また、経済界の方々との会食や交流も増えてきました。その皆さんからの視線を、能力だけではなく、スタイルにも感じるようになりました。
そのため、僕自身も、ベンチャースピリッツは維持しつつも、海外のビジネスマンや国内の経済界の方々から観ても、恥ずかしくいないスタイルを選択することにしたわけです。
逆張りの勧め あえて、提言する 社長のフォーマルスーツは、会社の成長にプラスになる! 」
僕自身の方針を読者の経営者の皆様に押し付ける気は、もちろん、ありません。
ヒトのスタイルや服装は、それが、自己表現の一分野だと僕も思っていますし、それをビジネスでヒトに押し付けるつもりは一切ありません。スタイルや、服装は、経営者個人の自由です。
しかし、ヒトのスタイルや服装を、ビジネスの相手がそれをどう見るかということもまた、相手方の自由でもあります。Tシャツで、初めて会うビジネスの潜在顧客とあった結果、相手からの信用を失い、ビジネスチャンスを失うとすれば、それは、少なくとも、企業の経営者としては、失格といわざるをえません。
以前、一度、僕は、タトゥを腕に入れた経営者の方の経営顧問をお引受けしたことがあります。その方は、もちろん、堅気の方で、非常にまじめな経営者でしたが、ある時、僕が、その方のビジネスで、上場企業を中心とする大企業に営業対象を広げて、トップセールスをされることを提案しましたが、その経営者の方は、ひどくこれを拒否されました。
その拒否の仕方が、あまりに露骨であったため、僕はかえって、気の毒になりました。おそらく、その経営者の方は、過去に、タトゥを魅せて大企業の関係者と接触し、おそらく、露骨な拒否反応(おそらく、君は、二度と会社には来ないでくれというようなことを言われた)をされた経験があったのではないでしょうか?
タトゥは、今では若い方がファッションでいれるようになっていますが、少なくとも、事業を自分で営み、営業をする可能性がある方が、夏に相手に見えるような場所にいれるべきではないでしょう。
ビジネスでのスタイルは、自分の自由ではありますが、同時に、相手がそのスタイルを好意的にとるか、拒否するかも自由なのです。
従って、僕は、今の時代、あえて、成長を志す経営者の方に提案したいと思います。
社長のフォーマルスーツは、会社の成長にプラスになる!、
と。



