【第二日】フィリピン マニラ経済圏 マカティ市から、市場調査状況をリアル発信します

松本尚典

松本尚典

テーマ:フィリピン 海外進出



1、アラヤ・センターを巡る


マカティ市は、マニラ経済圏の中で、最も富裕層が住むエリアです。このマカティ市を開発したのが、フィリピンの有力財閥の、アラヤ財閥です。

このアラヤ財閥の、総本家であるアラヤ家の名前を付けたエリアが、アラヤ・センターです。

僕は、今回、飲食事業出店のリサーチに来ており、そのエリアターゲットがマカティ市の北部であるため、僕は、City Garden Grand Hotelに連泊しています。

このホテルから、マカティアベニューを南下します。アラヤ三角ガーデンを越えたあたりから、街の様子が、フィリピンではなくなります。

それまで、とんでもなくいい加減だった道路の舗装が、しっかり整備され、交通の状態が非常によくなります。そこが、「フィリピンらしくない」現代の経済成長の拠点である、アラヤ・センターです。

センターの中には、今、大きく育ちつつある、フィリピンのミドル層が買い物をする、百貨店やスーパー、ブティック、そしてフードコートが、一日では回りきれないほど、入っています。

僕は、三角ガーデン→グリーンベルト→ランドマークと視察をして回りました。

ランドマークの中は、ミドルが購入する家電や家具の総合デパートとなっており、地下はフードコートと食品スーパーマーケットとなっています。


アラヤ・センター


2、まだまだ、アーリーステージのフィリピン市場


ランドマークの中のショップを、まずは、丹念に見て回りました。家電では、日本のメーカーが、韓国や中国・米国メーカーと並んで売られていましたが、食品では、ほとんと日本産は見受けられません。

肉も魚も、そして酒も、日本産の商品は、皆無でした。これは、日本の企業が、まだまだ、フィリピンの、急激な経済成長に追いついていないことを意味すると、僕は感じました。

日本では、「フィリピンは危険な国」と見做されており、日本に大量に流れ込んでいるフィリピン人女性の安価な労働や、夜の商売のイメージが強すぎるのだと感じます。

他人が進出して成功した事例がないと、動き出すことができないという、日本企業の海外進出のマーケットセンスの悪さが、ここに出ています。

新しい市場というのは、競合がなく、しかも需要は右肩あがりになります。そのため、ブランドポジションを構築するためには、アーリーステージの市場にモノを売り、進出することが、最も資本効率性がよい方法です。

マレーシア・ベトナムやタイのように、日本企業が進出を大量にし終わった市場に参入するには、非常に大量な投資が必要で、しかも後発企業の収益性があがりません。

企業が企業価値を最も高めることができるのは、投資効率性(ROIC)を高め、成長性を確保することにあります。企業価値とは、ROICと成長率の、掛け算で生まれるものです。

フィリピンのような、アーリーステージに進出をすると、高ROICと高成長率の両立した成果を得ることができ、企業価値は急速かつ猛烈に高まります。

僕は、2025年から、フィリピンに目をつけて、貿易と事業進出の両面から、ここを攻め、クライアント企業の進出支援もさせていただく計画なのですが、現地に立ってみて、その自分の戦略が、ずばり、当たっていることを確信しました。

ビジネスでは、他者の後ろや、他者の事例を追う方法は、低利益率と低成長の罠に陥る、最も危険な罠です。

他者の事例ではなく、自分のアタマと、自分の感性を働かせ、自分で現場にたって、自分で組んだストーリーを基礎に動くことこそ、企業価値を飛躍的に高める投資効率性(ROIC)と、成長性を生み出すのです。

3、マカティ市の歓楽街


二日目の夜は、出店を検討しているマカティ市の北部、歓楽街であるブルコス通りと、ロックウエル通りの内側にあるエリアを、細かく観て歩きました。

ここは、フィリピンの中間層や、駐在外国人向けの店が立ち並び、夜の遅くまで、クルマのクラクションが鳴り響き続ける街です。

展開する店の商品の料金や、店構えを調査して歩きます。

今日の日本は、真冬で、寒波が襲っているとのことですが、フィリピンでは、夜も半袖のTシャツが、歩くとびっしょりになります。年間を通して、四季のない、この国では、夜でも、外を歩くと、汗だくになり、体力を奪ってゆきます。

4、フィリピン人のホスピタリティ


フィリピン人は、そのホスピタリティの高さが、世界一の国です。

もともとは、日本人のホスピタリティは、世界最高でしたが、21世紀になり、経済の低成長がはじまる今、日本人のホスピタリティは、どんどん低下していっています。

特に、飲食業の現場では、人材不足による、ヒトの質の低下から、「ネコチャンロボット」がホールサービスを行うほうが「まだ、マシ」というレベルまで、日本人のホスピタリティは低下しています。

僕が、今、目をつけている組織構想は、安い賃金で、しかも高いホスピタリティを発揮するフィリピン人を教育し、サービス業の戦力として、世界で活用するという構想です。

5、フィリピン人の英語


また、現地にたってみて、非常に感じたのは、「英語発音の聞き取りやすさ」です。最近、日本で、フィリピンの遠隔英語レッスンが、非常に流行っていますが、その理由がよくわかりました。

東南アジアの英語は、シンガポールであれ、マレーシアであれ、基本的にイギリス英語が母体となっています。今の日本人の英語教育は、米語で行われているため、日本人からすると、これらのイギリス連合国の英語は、非常に聞き取りにくく、馴染みのない単語が多用されます。

また、ベトナム人やタイ人が話す英語は、中国人が使う、文法のめちゃくちゃな英語であり、論外です。

僕は、アメリカの大学院をでて、ニューヨークで10年以上仕事をやっていましたが、その僕でも、東南アジア人たちが話す英語は、よくわかりません。つまり、彼らの英語は、「本人たちは、英語を早口で話している」つもりだけど、英語ではない英語を話している場合が多いのです。

しかし、フィリピンは、英語を公式語としており、しかも、その英語が米語、つまりアメリカの標準語です。なまりもありません。

そのため、僕とっては、非常に快適に話ができます。URVグローバルグループが、拠点としているシンガポールよりも、ずっと僕は快適でした。

しかも、フィリピン人は、こちらが笑顔で話しかけると、満面の、人懐っこい表情で、話しに応じてくれます。中国人が多数派を占め、ヒトを押しのけて、カネを稼ぐことに、必死になっているシンガポール人のような、せせっこましさが、ありません。

従って、フィリピンでは、従業員のモチベーションアップも、教育も、非常にしやすいなと感じました。

続く

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松本尚典(経営コンサルタント)

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