ホワイト企業で、生産性をあげられるのか? 成長したい企業は、モウレツ経由でプラチナ企業を目指せ!

松本尚典

松本尚典

テーマ:組織マネジメント


1、永守重信氏が発信する、「言いにくい」本当のこと


ニデック株式会社の永守重信最高経営責任者は、次のように、メディアの前で言い切られます。

「ハードワークで勝つまでやる。ワークライフバランスなんて言っていると、戦いに負ける。」

今、大企業の経営者の多くは、サラリーパーソン化し、SNSで炎上しそうな本音の発言を言わなくなっていますが、永守氏は、率直な方なのだと僕は思います。

僕は、自分の部下には、ワークライフバランスを重視する生活ができるように会社と事業をマネジメントしていますが、僕自身は、外部から見たら、「モウレツ」な仕事人間です。夜は、仕事が終わるまで仕事を続け、夜がどんなに遅くても、朝は4時から仕事を始めます。

土日や祭日も、仕事を休むことはありません。元旦や正月は、前年の振り返りと、新たな年への戦略の立案に、独りで自宅にて思案にふけり、ゴールデンウイークは、日本では仕事にならないので、海外出張に出かけます。

夜に一人で外食をするのは、飲食事業における調査を兼ねていますし、舞台を観に行くのは、エンターテイメント事業の関係の視察です。国内の旅行に見える旅は、貿易事業の食材探しで、海外出張における観光も、海外渡航支援事業におけるビジネス視察旅行業の下見の活動です。

温泉に一人で行ったり、自分が所有するクルーザーで東京湾に漕ぎ出すのも、経営や事業戦略を一人で深く考えるためです。

寝ている時間以外、すべては自分の事業の推進のために時間を使っています。それを、部下や他人に真似ろ、とは、一切、僕は言うつもりはありません。ただ、もし、僕が事業で成果を出しているような成長をとげ、僕が造っている資産規模を同じようにつくりたいと思うのであれば、永守氏が言われるように、「ハードワークで勝つまでやる」という、僕の仕事のスタイルと同じレベルの仕事をするしかないと、僕は思っています。

人間には、自由があります。

すべてのヒトが、僕のように事業を成長させる必要はなく、永守氏のように生きる必要はありません。しかし、少なくとも、結果を出したいというのであれば、それは、何かを犠牲を覚悟して、モノゴトにあたるしかありません。

僕が、事業に没頭し、仕事に没頭するのは、事業の成功や仕事に、強烈なやりがいを感じ、事業や仕事の活動、それ自体に、強烈な幸福感を感じているからです。

体調が悪い時でも、仕事をはじめて没頭していると、体調は回復してゆきます。要は、強烈なやりがいを、そこに感じているかどうか、ではないかと思います。

仕事へ没頭し、外部から「モウレツ」と見えるけれども、僕自身は、とても幸福で、毎日が充実しています。

2、ホワイト企業は、モウレツ企業に生産性で大きく劣っている


ここで、企業の組織を分類する言葉をご紹介します。

  • ブラック企業
  • モウレツ企業
  • ホワイト企業
  • プラチナ企業


この4種類です。

ブラック企業が生まれた背景


20世紀後半に高度成長を経験した日本企業は、「護送船団方式」と呼ばれる銀行を頂点とした系列に組み込まれていました。企業それ自体が、上から管理される体制の中で、高度経済成長を成し遂げたという事情があり、企業内部の組織も、上から管理される体制になりやすくなっていました。

そこでは、働く個人の気持ちよりも、目標やノルマが優先されました。企業の姿は、島形の机の配置に象徴される、組織的な管理社会となりました。

その結果、仕事のやりやすさのレベルが低く、個人が仕事のやりがいも感じない企業、すなわち、ブラック企業が多く誕生しました。

モウレツ企業は、仕事のやりがいを見出す個人が、私生活を度外視して働く企業をいう


2000年代になると、ブラック企業という言葉は、世間が企業を批判する言葉として、広く用いられるようになりました。ブラック企業の問題点というのは、仕事のやりやすさや環境が悪いこと以上に、やる気の高い社員のやる気を削ぎ、かつその成果に対しても、正当な評価を与えないことにあります。

従って、ブラック企業が生産性を落とすことは当然であり、ブラック企業は、社会的に有害な企業であることは、間違いありません。

しかし、一方で、このブラック企業と言う言葉は、社内で「仕事をしたくない」社員が、自分の会社を逆恨みする言葉として、乱用されるようになりました。

同じ企業の中では、仕事にやりがいを見出し、時間を度外視して働く社員もいます。一方で、そのような社員を横目に、「できるだけ仕事を怠けたい」という社員もいます。ブラック企業でなければ、この間に大きな格差が開くのは、当然です。

このような格差を不当であるとして、それを批判するため、負け組の社員が、自分の会社をブラック企業と、2チャンネルなどで批判をするため、用いられるようになりました。

このような、仕事のやりやすさのレベルが低いけれども、個人が仕事のやりがいを感じて、それを評価する企業を、ブラック企業とはわけて、モウレツ企業と呼びます。

先にあげた永守重信氏が率いるニデック株式会社は、このモウレツ企業の典型例です。

多くの大企業は、ブラック企業のレッテルを怖れて、ホワイト企業になった


モウレツ企業は、ブラック企業ではありません。ほとんどのモウレツ企業は、強い成長力があり、仕事にやりがいを見出す社員にとっては、やりがいのある職場です。

しかし、モウレツ企業では、成果型の報酬制が導入されている場合が多く、そこに問題が発生しています。成果型の報酬では、社員間で、大きな格差が開きます。

成果型報酬制の弱点は、それを望んで入ってくる社員のほとんどが、片面的に成果報酬を望んでいることにあります。成果型報酬を導入すると、社員は、自分の報酬があがっている時には、成果を出すために頑張りますが、会社業績が外部環境の変化で下向き、自分の報酬が下がると、極端な、アンチに寝返るという特徴があります。

もともと、成果報酬型の雇用を望む人材は、組織への貢献意欲が低く、自分の報酬があがるためだけに働いている傾向が強い特徴があります。

そのため、「調子のよい時には調子よく働きますが、調子が悪くなると、さっさと逃げ出す」傾向が強いのが特徴です。

また他者との協調を嫌い、一匹狼で、自分の成果だけを会社にアピールする傾向が強いことも、特徴です。

組織とは、個々の力の和を超える、組織自体の力を引き出す点に、存在理由があります。成果報酬型の報酬形態では、個々の力を発揮させられても、それを超える組織の力に結び付けることができません。

また、モウレツ企業の中で、仕事にやりがいを見出せない個人からみると、モウレツ企業は、ブラック企業と変わりがありませんので、彼らから、ブラック企業のレッテルを張られて、求人や顧客からの信用も傷つきかねません。

このようなモウレツ企業のマイナス点を怖れる企業は、モウレツ企業になることを避け、ホワイト企業になることを目指します。つまり、やりがいを高めることを放置して、仕事のやりやすさ、つまり「働きやすさ」を、まずは追求するというベクトルに進むのです。

3、中小企業の経営者は、「働きやすさ」に惑わされるな


「働きやすさ」というベクトルは、「やりがい」よりも、ずっと外形的なものであり、おカネで買えるファクターです。

オフィスをフリーアドレスに改装する、残業をゼロにする、といった政策は、非常に外形的なものであり、資金投入や物理的な管理で達成できます。そして、特に求人難の今、このような外形的な見栄えを整えて、若い人材を採用することを目指す経営にベクトルを進めます。

一方、僕が、中小企業をみている限り、このホワイト企業志向は、殆ど成功していません。

何故でしょうか?

中小企業を渡り歩く、働きやすさを重視する「トランプのババ」を引くな


仕事にやりがいを見出す、というのは、仕事が働きやすい環境だから生まれてくるものではありません。もちろん、働きやすい環境を作ることで、仕事にやりがいを見出す層が集まってくればよいのですが、それができるのは、求人面においてもブランド力が高い上場企業クラスの大企業であって、ブランド力が低い中小企業がそれを真似ると、外形的な働やすさに安易に飛び込んでくる、「トランプのババ」の人材ばかりを掴んでしまいやすくなります。

中小企業の採用戦略で、もっとも注意をしかければならない点が、ヒトが採れない以上に、「トランプのババ」を掴んでしまうことです。

この「トランプのババ」人材というのは、単に仕事ができないだけではなく、周囲の組織に、ネガティブなアンチモチベーション情報をまき散らすマイナスエネルギーを持った人材です。

このような人材は、中小企業の中で、働きやすい環境を求めて企業を渡り歩いており、一度、採用してしまうと、日本の労働法では、辞めさせるのが非常に難しいのが特徴です。辞めさせられないため、そのまま放置すると、自分だけでなく、周囲のモチベーションとやりがいをどんどん奪ってしまう、がん細胞のような性質を持っています。

組織内の人数が限られている中小企業が、このようながん細胞のような、周囲のモチベーションとやりがいをどんどん奪ってしまう人材をいれてしまうことは、極端な生産性の低下につながってしまうのです。

4、働きやすさは、やりがいを重視する社員に対する後追政策として実現すべし


中小企業は、求人難に陥っている時代は、非常に組織維持が難しくなります。大企業のようなブランドがないため、ヒトがとれなくなり、採れたヒトを、とりあえず入れてしまうという発想になりがちです。

ただでさえ、そのような選定ができない状態の体制の中に、「トランプのババ」人材が好む「働きやすさ」だけを創ってしまうと、そこは、もう、がん細胞だらけの組織と化してしまい、収拾がつかなくなります。

これが、中小企業が、ホワイト企業になってはいけない理由です。

5、あえて提言する! 成長をしたければ、ブラックからホワイトになるのではなく、モウレツからプラチナになれ!


中小企業は、安易にホワイト企業化をせず、有益な人材を社長が一本釣りをするような方法で、まずは、一旦、モウレツ企業化することが重要です。ただ、モウレツ企業のままではだめで、次に、やりがいを見出す社員のために、働きやすさを実現するという順序の発想を持つべきです。

働きやすさと、やりがいが両立する、プラチナ企業になってゆくべきなのです。

プラチナ企業への道は、ホワイト企業経由では実現できません。モウレツ企業から、プラチナ企業に進む道を、歩むのが、成功する中小企業の組織戦略なのです。

あなたの会社が年商5億円を突破するためのポイントを1時間で分析する! 松本尚典の、経営者個別指導
https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/seminar/5009325/


松本尚典の中小企業経営者支援コンサルティングサービス
https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/service1/5002501/

\プロのサービスをここから予約・申込みできます/

松本尚典プロのサービスメニューを見る

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

松本尚典
専門家

松本尚典(経営コンサルタント)

URVグローバルグループ 

経営者の弱みを補強して売上を伸ばし、強みをさらに伸ばして新規事業を立ち上げるなど、相談者一人一人の個性を大切にしたコンサルティングで中小企業を成長させる。副業から始めて、独立で成功したい人も相談可能。

松本尚典プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

年商5億円の壁を突破したい社長のための経営コンサルタント

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ東京
  3. 東京のビジネス
  4. 東京の経営コンサルティング
  5. 松本尚典
  6. コラム一覧
  7. ホワイト企業で、生産性をあげられるのか? 成長したい企業は、モウレツ経由でプラチナ企業を目指せ!

松本尚典プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼