起業家の第一歩 年商5億円・税引後利益3500万円を、まず目指そう
1、「車の優良ドライバー」
遥か昔の話になって恐縮ですが、僕も、ちょうど、18歳の時、中央大学付属高校から、中央大学への推薦入学が決まった後に、自動車の運転免許をとりに、教習所に通いました。
その折、教習所の学科教習で、教官が、優良なベテランドライバーの話をしておられたのを、覚えています。
仮免許で路上に出たばかりの僕たちは、とにかく、前を見て、ガチガチになって運転するのが精いっぱいであったわけです。この教官は、優良ドライバーの目線が、自在に動いている様子を映像でみせながら、優良なンベテラン運転手になるためには、スピーディに、目を動かし、あらゆる自動車の周辺情報を収集し、アクセルやブレーキ・サイドブレーキなどの装置をタイミングよく使って、バランスよく運転することの重要性を語っておられました。
優良なベテラン運転手は、前をみながら、バックミラーや、側面のミラーに目を動かし、周辺の車の動きや、歩行者や自転車の動きを予想して、機敏に自動車の運転方法を決めているわけです。
初心者の頃の僕は、話は理解できましたが、
「とても、自分にはそんな器用なことはできない、や!」
と感じたことを覚えています。
しかし、運転経験を積み重ねるうちに、僕もまた、この知らず知らずのうちに、この教官が言われていたような運転手になり、今では、運転中に、助手席に乗る人と話をしていても、目は、くるくると自然に動いて、情報を収取しながら、本能的にスムーズな安全運転ができるようになりました。
おかげで、僕は、2007年に13年ぶりにアメリカから日本に戻ってきて以降、無事故無違反のゴールド免許を更新し続けるに至っております。
2、中小企業のよき経営者の資質と、経営の行動
中小企業の経営もまた、自動車の運転と非常に似ていると、最近、つくづく思うのです。
大企業の経営は、大型船を、多数のヒトで構成する組織で運転しているようなものですが、中小企業の経営は、自家用車を経営者が一人で操縦する、いわば、普通車の運転に近いわけです。
自動車免許を取得したばかりの初心者が、運転に気をとられて、ミラーでの確認を怠ったり、速度制限のある道路の標識を確認せずに、スピードを出すのと似ていて、会社を創業したばかりの「初心者マーク」経営者は、走ることばかりに目をとられてしまいます。
営業スピードをあげて会社の売り上げを伸ばすためには、商品開発や生産・供給体制がおいついていかなければなりません。それらを提供するスタッフや外注に対する支払いや、経理体制・財務体制・納税などの体制がしっかりとバランスよく追いついていかなければなりません。
そして、売上げのスピードをあげるために不可欠な投資が、キャッシュフローの中で健全な状態を保つ必要があります。
キャッシュフローの管理は、会計事務所や税理士事務所が外注で行ってくれる会計や納税書類の作成とは別に、会社の社長ご自身が、キャッシュフロー会計で把握をしなけれれば判断ができません。
自分が会計に弱い、数字が弱いといって、経理や税務を外注に丸投げして、キャッシュフローの管理は、預金通帳の残高確認だけ・・・などという、貧弱な体制は、まったくエンジンのメンテナンスをしていない車で、高速道路をスピードをあげて走るような、危険な行為です。
会計上、黒字が出ていても倒産を引き起こす、黒字倒産を起こす経営者は、この手のタイプです。
3、企業の運転をしながら、あらゆる方向に目を向けて、安全運転を継続できるためには
自動車の運転でも、運転経験を積みながら、ドライバーは、車の周辺の情報を、ミラーや目視で確認して情報を収集し、アクセルとブレーキを器用に使い分けながら、スピードを調整し、自動車を安全に目的地に走らせます。
ところが、中小企業の経営になると、このようなバランスのとれた企業の運転をする経営者は、少ないと思います。
中小企業の経営者の方を、僕は経営コンサルタントとしてみていると、まるで、初心者マークの運転者のように、前しか見ない経営者が非常に多いようにかんじます。
僕は、自分も経営者です。この執筆をしている2023年現在で、日本国内に3社を所有して、代表取締役の業務をこなし、海外には合計15社の現地法人を所有しています。
その企業は、すべて健全な成長をとげており、経営戦略・組織・事業計画・マーケティング・イノベーション・財務・税務・法務・情報システムなどの機能も、健全に運転を続けています。
このような中で、企業の健全な成長をするためのバランスを図る知恵を、僕は、お客様である、中小企業の経営者に伝授させていただいています。
いずれも、経営大学院や中小企業診断士の試験に出てくるような、教科書に書かれた知識ではなく、僕が、長年にわたって培ってきた知恵です。
お客様の経営者の皆さんは、最初、初心者マークの運転手のように、バランスがとれた経営ができないのですが、僕が根気よく指導させていただく間に、バランス感覚と知恵を身に着け、ベテランドライバーのようなバランスのとれた安全運転で、車を走らせられるようになります。
4、アタマで考えると大変なことなのだけど、カラダが覚えれば、普通のこと
起業したばかりの経営者の方に、財務や税務・法務などの指導を行うと、よく、その方々から、
「こんなにたくさんのことを同時に考えないと、経営って、できないんですか?」
と、驚かれます。
それでも、こういう風に感心して、一所懸命勉強し、よき経営者になろうとする方は、良いのですが、多くの経営者の方は、専門家の士業の先生方にお金を支払い、専門的なことを知らずに、丸投げして、経営をする方も少なくありません。
自分の設立した会社が、定款で取締役を何人おけると規定しているのかも知らずに、設置不可能な人数のヒトに取締役を頼んでしまったり、個人事業主を外注で使って、請求書で源泉徴収をした源泉税を納めることも知らなかったり、上場する見込みも可能性もない会社の社員に、ストックオプションだと言って株をボーナス代わりに渡してしまったり、と、このような、「アイタタ!」という初歩的なレベルのミスを犯してしまって、その問題点に気づかない経営者にも、僕のような仕事をしていると、よく遭遇します。
一つ一つ、どこが間違っているのかを説明をして、是正して、会社を成長軌道の乗せられるような、正常な組織にするのも、僕の仕事なのですが、その過程で、必ず、社長から言われるのが、
「ほかの社長さんが、こんなことをみんな知っているのですか?」
という質問です。
初心者マークのドライバーが、トラックを運転しているオッチャンをみて、あんなオッチャンが、まさか、バックミラーやサイドミラーを器用にみて、運転しているはずがない、と、このように思うのと同じです。
初心者マークのドライバーには申し訳ないのですが、トラックの運転をされているベテランのオッチャンは、大学生の初心者マークの運転手には想像もつかないほど、安全でバランスをとれた運転ができる、名ドライバーなんですね。
経営者でも同じで、ベテランの長年企業を動かしている年商5億円を超える経営者は、実に、様々な企業経営の知識を身に着け、それを総動員して、バランスよく経営をしているのです。
そうでなければ、企業を継続的に存続させることはできないんです。
松本尚典の中小企業経営者支援コンサルティングサービス
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