国際ビジネス小説「頂にのびる山路」 転職編 第4話 「出発」をリライトしました
1.サラリーマンの多くの、副業は、「小遣い稼ぎ」で終わっている
以前、僕は、当時、会員数が多くいた、週末にサラリーマンが副業をするためのノウハウを指導する団体の役員をしていたことがあります。多くのサラリーマンの方が、そこに集い、副業のノウハウを学び、副業を進めていました。
ただ、僕がその会の仕事に疑問を感じ、その会の指導者の立場から離れてしまったのは、その会が最終的に会員数を増やすことを目標にしたため、会員の方の殆どが、非常に安易でチープな副業に陥ってしまっていたためでした。
そこの団体は、副業のノウハウを、おカネをとって教えていましたが、それを受けた会員の方の成果をみると、そんなノウハウなど、教えてもらわずに、本業である会社の仕事をしっかりと行い、残業や、賞与・昇給をすれば、充分、受け取ることができる「小遣い稼ぎ」のレベルの副業に陥ってしまっていました。
今でも、副業をしていると言われるサラリーマンの方の話をお伺いすると、
「それって、仕事が終わった後にする、バイトで稼げるレベルでしょ。」
という成果しか、得られていない人が殆どです。
副「業」になっていません。ましてや、副業から起業へ、という道筋を描けるものは、非常に少ないのです。
2.副業は、起業のために行おう! 副業の原点に立ち返る
今、社会が副業に一定の価値を見出す時代に至り、企業の中にも戦略的発想から副業を社員に解禁し、推奨するところも出始めました。
一方で、働き方の改革によるワークライフバランスの要請との働き方改革の方向性と、副業は、一定のコンフリクトの関係に立っています。
その時代において、あなたは、長時間労働に陥るリスクあるのに、なぜ、副業をするのでしょうか?
この問題を原点に立ちかえって、再度、検討を提起したいと思います。
副業は、本業の会社で評価をえられず、さりとて、転職して評価を受ける会社を探す勇気のないサラリーマンが、会社に隠れて生活費を補うアルバイトではありません。
僕は、自分が副業で起業をした当時、僕にとっての副業は、
起業のリスクを下げ、起業の第一目標である年商5億円ビジネスを立ち上げる、準備期間
と、位置づけていました。
3.年商5億円起業のスタートの、副業を開始する
僕は、このマイベストプロの、自分の経営コンサルティングサービスのタグラインに、「年商5億円の壁を突破したい社長」のための支援と位置付けています。
僕自身、独立する年まで、大手企業の取締役を続けながら、その企業に申告せずに、副業で、長年、事業を続け、独立の準備をしていました。
僕の副業であった飲食事業や経営コンサルティング業で、税引後純利益対売上高率で、僕は5%を確保することを目指していましたので、その税引後純利益額が年間1000万円を超えた時点(逆算すると、売上高で2億円を超えた時点)をもって、僕は、独立をしようと決めていました。
ところが、本業の会社の取締役任期との関係で独立が遅れ、僕が独立をした時点で、既に、副業の売上高は、5億円を突破していました。僕は、結果的に、売上高5億円の規模まで、事業を副業で作り上げていました。
そして、このコラムの原稿を執筆している2022年が属する、第8期。
僕の投資する企業をまとめた、URVグローバルグループのグループ年商は、日本円評価で、25億円を突破するところまで、成長をしました。
つまり、僕は、副業時代で年商5億円のビジネスを創り、その後、自分の事業に集中してから8年で、これを年商25億円まで持ってきた事業家です。これが副業から脱却して、独立後の成長スピードです。
何がいいたいかと言いますと、もし、副業時代がなかったら、創業から8年で年商25億円の企業グループをゼロからつくる高成長軌道に事業を乗せることは、僕にはできなかっただろうということです。
まさに、大きな組織の取締役の仕事を従事しながら、その会社に申告せずに、長年にわたり、コツコツと、ベースになる年商5億円規模の事業を創って来た基礎があったからこそ、僕は、独立して8年で、その5倍にあたる年商25億円の売上を創り上げることができたのだということです。
その意味で、僕は、このコラムを読んでいただいている方に、声を大きくして申し上げたいのです。
売上高1000万円にも満たない、小遣い稼ぎを目指す副業から脱却しましょう、と。
そのレベルであれば、本業に集中して、本業の報酬で、ノーリスクで、充分、到達できます。もし、本業ですら、その程度まで評価をえられない人が、自分一人のチカラで、事業をしても成功できません。
本業があるから副業が不十分だとか、副業があるから本業で手を抜くなどという生き方は、事業家がすべき生き方ではありません。
本業も、副業も、ともに成功させるのでなければ、意味がありません。
本業とかけもった副業で、最低でも年商1億円、できれば、僕が到達した領域の年商5億円まで事業をつくり、安定した事業所得を基礎に、堂々と独立をすべきだというのが、僕の持論です。
そして、僕は、自分のクライアントの経営者(副業の方も含む)に、そのノウハウを伝授するのが、ミッションだと思っています。
これが、僕が、「年商5億円の壁を突破したい社長」のための支援と自分のサービスを定義づける意味なのです。
4.副業は、「サラリーマンから起業家へ」の勉強の場である
それまでサラリーマンをしていた人が起業をすると、その差に愕然とするものです。
サラリーマン時代には、自分は会社で貰う給与よりも、明らかに大幅に会社に貢献し、利益を還元しているのだから、独立すれば、さぞかし、儲かるだろう、と思うものです。
実際、会社を設立したり、個人事業主で独立する人の殆どは、サラリーマン時代には、大きく給与を遥かに超えて、会社に利益を還元していた人です。
しかしながら、その方々が独立をすると、統計上の数値でみても、独立後、10年間事業を継続できる人は、独立者の、わずか6%しかいません。94%の人は、赤字をつみあげ、大きなマイナスを出して、10年間もたずに、独立事業者から撤退をしているのが現実です。
では、サラリーマンの時と、独立をした時では、何がこのように違うのでしょうか?
僕が、長年、独立事業者や起業する人をみてきて、その理由は、次の3点に集約できると思っています。
・事業や仕事を自律できない
・組織の力を失って、付加価値を継続的に生み出せない
・自分の弱点から事業を崩壊させる
ひとつずつ、みていきましょう。
事業や仕事を自律できない
会社に勤めるときは、否が応でも、生活のリズムを会社が創ってくれていました。朝一定の時間に起床し、満員電車に揺られて会社に行っていると、「自営の人って、自由でいいな」、と思うわけです。
しかし、この生活のリズムが、仕事の実績をあげるためには、絶対的に不可欠なのです。
独立をすると、この生活のリズムを、ほとんどの人は自分から崩壊させていきます。その結果、生産性が大幅に低下します。
僕は、もともと、アメリカのニューヨークの外資系コンサルルタントとして、猛烈な激務についていました。どのくらいの激務だったかといえば、「寝る時間が、飛行機で移動する時間以外とれずに、生命を維持することが危険」な程度、と表現するほどでした。
ただ、この激務の生活のリズムが、身体にしみつき、2007年に日本に帰ってきて、日本の大企業の取締役を3社歴任していた時も、外資系で身についた生活のリズムを崩しませんでした。そして、独立後も、その方針は、維持しています。
今でも、僕は、早朝4時から仕事をスタートし、仕事が終わるまで(例えば、会議やカファフェンスで、それが終了するのが夜10時や11時になっても、それが終わるまで)、仕事を続けています。交際や、個人で、早めに呑みにいっても、必ず、翌朝4時には仕事を開始しています。
つまり、長年に亘って、仕事の絶対量が、他の人の数倍に時間をこなしています。
よく、仕事は質が重要で、量ではないと言っている人がいます。それは、サラリーマンの方の仕事なのです。
独立している事業者は、仕事の量だけ、それに比例して売上をあげられるのですから、その生産性は、仕事の質(能力を含む)と量の関数で、売上が決まります。
仕事量が少ない人は、能力があっても、それだけ売上が少ないのが当たり前なのです。
僕が、独立後、圧倒的なスピードで事業の売上高を上昇させたのは、仕事の質と量の双方が、圧倒的に、他の方よりも高かったからに他なりません。
従って、生活のリズムを自律し、圧倒的な仕事量を生み出さなければ、独立の成功はありえません。「働き方改革」や、「ライフワークバランス」は、サラリーマンの部下に対しては、しっかりと守ってあげるべきものですが、少なくても、独立している社長にとって、そんなものを気にしているようでは、成功など、ありえません。
サラリーマンは、年収1000万円超えで、一旦、成功したといえるでしょうが、起業家が一旦成功したと言えるのは、最低で年商5億円超えの領域だと僕は思っています。サラリーマン時代と同じ、または、それ以下の努力で、到底、成功したなどと言えるはずがありません。
副業で起業をすると、まずは、生活のリズムを崩すことがありませんので、この点が、初心者の起業家にとって、よいことだと思います。
そして、本業とともに、副業を成功させようとすれば、単純に、他のサラリーマンの2倍は働くことになりますから、その激務の癖が身につき、独立後も、圧倒的な仕事量を生み出すことができます。
独立や起業とは、圧倒的な仕事の量と質を担保することであり、本業と副業を両立させる激務は、その訓練として最適なのです。
組織の力を失って、付加価値を継続的に生み出せない
会社に勤めている時には、「組織のチカラ」というものの意識をあまりしません。コロナ禍でテレワークが導入されたとき、仕事が出来る人ほど、「コロナが終わっても、このまま、家で仕事を続けたい」と思ったはずです。
しかし、ここに大きな見逃された問題があります。
それは「組織のチカラ」が生み出す生産性です。
日本の大企業の営業利益を、従業員数で割ると、一人当たりの生産性の数値を求めることができます。この数値は、従業員の給料の総額を遥かに上回っています。
これは、組織(ヒト・モノ・カネ・情報という経営資源の総体の仕組み)が生み出している付加価値が、個人の付加価値を大きく上回っていることの証拠です。
組織には、個人の力を超える付加価値を生み出す力があるのです。企業は、個人の力の総和ではありません。ヒトを含む経営資源のシナジー効果が、組織の力を、個人の力の総和より、はるかに大きな付加価値を生むのです。
さて、個人が会社を辞めて、独立すると、この「組織のチカラ」がありません。加えて、組織の中で効率的に動いている固定経費が大幅に個人にのしかかってきます。
そのため、個人の力で稼いだ売上に、大幅に非効率的にかかってくる経費が加わって、組織の中で稼いでいた個人の付加価値を大きく低下させるという現象が起きます。
「こんなに頑張っているのに、どうして、売上があがらないのか」
「なんで、独立すると、こんなにお金がかかるんだ」
これが、起業をしたヒトの誰もが味わう感想です。
副業で起業をするメリットは、組織を持たない個人の、生産性があがらない状態を、自分の収入を大組織に頼ったままで、体験できることです。
事業を起業することの大変さの、予行演習ができるのが、副業のメリットです。
自分の弱点から事業を崩壊させる
サラリーマンで評価を得られる人と、独立して事業が成功できる人は、根本的に異なります。
企業の中で、評価が得られる人というのは、「自分の得意な分野でチカラが発揮できる人」です。
日本企業は、欧米企業と比較して、ジェネラリストを育成することに強く、企業の中での配転が多いのが特徴です。しかし、それでも、企業は、人の得意な分野でチカラを発揮させようとします。
外交的な活動が得意な人は、営業で。
理系の探求心が強い人は、研究・開発部門で。
緻密なタイプは、生産管理部門で。
数字に強く、正確性を追求できるタイプは、経理部門で。
サラリーマンの場合、自分の得意な分野を活かすことで、ある程度、評価を得ることができます。
一方、独立して事業を進める、中小企業の社長というのは、「自分の苦手な分野から会社を崩壊させる」のです。
例えば、
理系の研究・生産管理系畑の社長は、資金繰りや、営業・マーケティングで会社を潰します。
活動的で営業が強い社長は、商品開発面や管理面のずさんさから会社を潰します。
数字の苦手な社長は、財務・経理で会社を潰します。
自分で仕事が出来すぎる社長は、組織・人事管理で、会社を潰します。
独立事業主や起業の存続率が極めて低いのは、社長に、苦手な分野があり、その分野から事業が崩れてしまうからです。
大企業のサラリーマンには、組織の力があります。従って、そこには、背後に支えてくれて、シナジー効果が発揮される、様々な個性の人が連携しています。
しかし、独立して、自分で事業を進めると、これがありません。従って、事業に必要な要素を広く身につけている、バランス型の能力がないと、事業は、弱いところから崩壊してしまうのです。
しかし、人間は、自分ですべてのことができるわけではありません。社長も、事業に必要なすべてのことを身に着けることはできません。
そのため、能力面では、僕のような、事業経験と経営コンサルティング経験が長く、事業に関するあらゆる知見を身に着けている専門家に弱い部分を支援してもらい、一方で、実務面では組織を創って、部下に自分の弱い部分を補ってもらうことが不可欠です。
松本尚典の中小企業経営者支援コンサルティングサービス
https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/service1/5002501/
人の力をうまく活用することこそ、独立には絶対的に必要な素養です。自分一人で、個人事業主として事業を継続・発展させることは、万能のスーパーマンでない限り、出来ません。
このように、サラリーマンと独立事業者では、成功できる要素が違います。副業は、このようなことを、疑似体験する、格好の場なのです。
5.リスクをミニマイズし、チャンスを広げる副業を、いつからやるの? 今年でしょ!
2023年は、コロナ禍からアフターコロナへ移行する年です。コロナワクチンが行きわたり、感染者数と重症化率が減少し、新型コロナウイルスは、インフルエンザと同様の位置づけに移行し、時代はウイズコロナに移行していきます。
一方で、それに伴い、コロナ禍の緊急融資の返済がスタートし、同時に、金利が上昇をはじめ、多くの自営業者が廃業をはじめる年にあたります。
自由に動ける日常が戻るとともに、競争相手が弱体化する年です。
このようなタイミングが、起業にとって最もよい瞬間です。
起業は、好景気のヤマの時にチャンスがあるのではありません。好景気のヤマは、経営資源の力がある大企業には、利益を生むことができるチャンスとなりますが、力のない起業したての事業者には、そこからはじまる景気の下降線の中で、淘汰されてしまう最悪のタイミングなのです。
起業には、景気の谷が最も適しています。自分の商品・サービス、経験や能力をしっかりと磨きながら、上昇をしてゆけるタイミングが、景気の谷です。
2023年は、そのような観点から、起業にとって、最もよいタイミングだと僕は感じています。
僕自身もまた、ここからURVグローバルグループの成長戦略を描くため、新たな事業構想を実現する新グループ会社を、2023年に、日本に1社、立ち上げる計画です。
まさに、2023年は、
「いつやるの? 今年でしょ!」
という、絶好の好機だと、僕は考えています。
6.会社が副業を禁じている そんなことを言い続けているヒトは一生、今のママ
起業したいのだけど、このような好機に乗れないという人は、誠に失礼ながら、経営と起業のセンスがない人だと僕は思っています。
経営者には、ある種の勘のようなものが不可欠であって、「ここだ!」直感して、その瞬間に動けるかどうかが、重要なのです。
副業で起業する場合、リスクがミニマイズされていますから、動きやすいはずです。
ちなみに、副業で動き出せない人の典型が、
「自分の会社では副業は認められないんで」
という言い訳をするタイプです。
断じて、言いますが、僕は、副業状態で、年商5億円まで事業を成長させて独立しましたが、コンプライアンス的に、副業を認めていた会社に勤めていたことは、一度もありません。
会社が後押しをしてくれるから、成功できるなどというのは、「温室の中でしか育成できない植物」のような発想です。
起業とは、自律して、リスクを自ら引き受けながら、大きなチャンスを目指す、雑草のような生き方です。その中にしか、大成功の芽はありません。
刈り取られても、刈り取られても、生き返って成長を目指すのが、起業です。
会社が副業を認めてくれたら、やる、などと考えている他律的な人は、起業では、絶対、成功できません。
そして、会社が認めてくれないから、副業はできない、などと言っている人も、一生、独立できない人の典型です。
会社が認めてくれない中で、副業から起業する方法は、あります。
それを身に着けて、成長をしてゆく人が、大きな成功を得られるタイプの人なのです。
松本尚典の中小企業経営者支援コンサルティングサービス
https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/service1/5002501/