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松本尚典

年商5億円の壁を突破したい社長のための経営コンサルタント

松本尚典(まつもとよしのり) / 経営コンサルタント

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コラム

中小企業でも、備える必要がある大震災 ~日本の地殻は、激甚震災時代に入っている~

2022年12月25日

コラムカテゴリ:ビジネス


1.地震の専門家たちが警告する、南海トラフ巨大地震


日本の観測史上最大の地震は、関東大震災でしたが、2011年3月11日の東日本大震災は、マグニチュード9.0という、関東大震災を遥かに超える規模でした。世界でも、歴代4位に入る巨大な地震だったわけです。

東日本大震災は、マグニチュード7.9であった関東大震災の32倍、マグニチュード7.3であった阪神・淡路大震災の1400倍のエネルギーが、放出された巨大地震でした。

専門家は、この東日本大震災によって、日本列島は、地殻変動の時代に入ったと指摘しています。

この地殻変動時代に、発生が予測されるのが、南海トラフ巨大地震です。その発生は、2030年から2040年が最も可能性が高く(京都大学元総長 尾池和夫博士研究)、2050年までには、ほぼ確実に発生する(京都大学名誉教授 鎌田浩毅博士研究)、と、著名な専門家が軒並み指摘します。

私たちが、生きている間に、ほぼ確実に、南海トラフ巨大地震は起きるとみて間違いないということです。

南海トラフ巨大地震は、東日本大震災の、更に10倍と想定されており、震度7の揺れが、西は宮崎県から、東は静岡県までを襲い、特に巨大津波の発生は、あの東日本大震災をはるかに上回る規模で、日本列島を襲うと予測されています。

南海トラフ巨大地震の、最も激甚な災害は、津波です。最も大きな津波は、高知県を襲い、津波は34mで高知市を呑み込む想定です。高知県は、沿岸部が、ほぼ壊滅してしまいます。静岡県で33m、和歌山県で20mに達すると予測されています。

映像に残る、あの、東日本大震災で東北の沿岸各地を襲った津波が、16.7mであることを考えると、関東地方の千葉県から、九州の宮崎までの広域な太平洋に面した沿岸部に、東日本大震災の津波を遥かに超える巨大津波が襲います。この地域に、東北沿岸部とは比較にならないほどの人口がいることを考えると、おびただしい死者と行方不明者を出し、壊滅する街が多数にのぼることが予測されています。

東京・名古屋・大阪・福岡などの西日本の主要都市にも、激しい地震が襲うと予測されています。

震災に対する首都東京の被害よりも、大阪・名古屋などの都市の被害が大きくなってしまいます。首都機能を大阪に一部移す構想は、むしろ、日本への打撃を大きくしてしまいます。

東海道新幹線・東名高速道路、そして、今後開通するリニア新幹線が寸断される可能性があり、首都東京と、静岡以西の都市の、物流やヒトの流れに重大な影響を及ぼすと思われます。

2.更に迫り来る富士山の巨大噴火


東京において、南海トラフ巨大地震よりも激甚な災害をもたらすのは、富士山の巨大噴火です。

先にあげた京都大学名誉教授 鎌田浩毅博士は、火山を長年研究され、その結果、「富士山は、確実に噴火する」と予測されておられます。

では、富士山が爆発した場合、首都圏にどのような被害が及ぶでしょうか?

火山灰という、「ガラス片」が東京に降り注ぐ


歴史上の富士山の大爆発の記録から考えると、富士山大爆発により、東京に火山灰が降り注ぎます。

火山灰とは、軽石や岩石が砕かれたものであり、「ガラスの破片」と同じ性質があります。その「ガラスの破片」が東京中に降り注ぐと思ってください。

これを吸い込むと、角が刃物のように尖った灰が、気管や肺を傷つけ、様々な病気を引き起こします。

家屋への被害


火山灰は、水に溶けません。火山灰が積もったところに、雨が降ってしまうと、セメントや漆喰のように固まり、その重量で、家屋に倒壊の危険があります。

富士山大爆発による、1㎡あたりの火山灰の重さは20kgに達すると積算されています。仮に東京に50cmの火山灰が降り積もると、東京の木造家屋の半数が倒壊すると予測されています。

ビジネスへの影響


過去の富士山の噴火の事例から考えると、富士山の爆発で流れ出す溶岩流や泥流は、富士吉田市・御殿場市・富士市・富士宮市に到達し、東名高速道路は寸断される可能性があります。

また、火山灰による東京湾火力発電所のガスタービン破壊がありえます。電力供給が止まる可能性があります。また、企業のパソコン・首都圏にあるデータセンターなど、IT社会の根幹にあるインフラが止まり、クラウドのインフラにも大きな混乱があるでしょう。

3.正常性バイアスが、危機管理を回避してしまう人間


人間には、正常性バイアスと呼ばれる心理傾向があります。

正常性バイアスとは、異常事態が起きる可能性に備えることを回避し、「まさか自分には被害が及ぶはずがない」と考える回避心理を言います。

東日本大震災の映像で、津波が押し寄せている映像の中に、その中を平然と歩く高齢者の姿が映し出されていましたが、それは、「まさか、自分が津波に飲み込まれるはずはない」という正常性バイアスが働いたためです。

動物は、本能的に危険を回避して逃げます。鼠は、災害を本能で察知して、集団で逃げます。ところが、大脳が発達している人間は、逆に、本能が低下し、大脳が正常性バイアスを働かせて、逃げ遅れるのです。

自然界の中で、トップに君臨し続けた人間は、リスクに対して素直に回避する動物本来の本能を失ってしまったのです。自然界の中で、自分だけは襲われないと、たかを括る大脳の働きを身に着けてしまいました。

既に、科学的に、勃発が高い蓋然性で予知されている南海トラフ大震災や、富士山大爆発という自然現象に対しても、「自分だけは大丈夫」と考えてしまうのは、大脳が発達し過ぎて、生物本来の本能的な行動を忘れた人間の欠陥だと言わざるをえません。

4.中小企業が取り組める、その時に生き残る危機管理


現在、東京都では、東京都帰宅困難者対策条例により、事業者は従業員が施設にとどまることができる3日間の備蓄を求めています。東京都の事業者の場合、これが最低減の義務になりますので、従業者が3日間、食べられる食糧や、断水に備えた水を社内に備蓄することが、最低条件として求められます。

ただ、この条例は、災害発生時に、徒歩帰宅者の殺到で、人命救助や救急車両が通れなくなる事態を避けるのが目的です。

企業や個人事業者が、激甚災害があっても事業活動を継続し、存続するための措置ではありません。

条例の内容では、足りないのです。

最低1週間以上の食糧・水


南海トラフ巨大地震や富士山大爆発を想定した場合、関東地方以北は、静岡・愛知・大阪から、物流的に寸断されます。不安心理も手伝って、コンビニやスーパーから食糧が消え、これが補給されない事態が想定されます。

専門家の指摘によれば、これが緊急に復旧するには、最低でも1週間はかかると考える必要があります。そこで、事業所には、最低で1週間、できれば1か月の食糧・水の備蓄が必要となるでしょう。

トイレの故障が最も深刻


大震災による揺れで、最も深刻なのは、水道の切断によるトイレの故障です。トイレに水が流れなくなることが、衛生的に最悪の事態を引き起こします。これに備え、トイレの排泄物を固めてゴミとして捨てられる用品などを、事務所で備えておく必要があるでしょう。

高機能マスク


また、もう一つ重要なのが、火山灰に備えた高機能マスクです。コロナ禍の初期にも、マスクがスーパーや薬局から消えました。飛沫感染型のウイルスの場合、不織布マスクで防御できましたが、火山灰は、「ガラス片」であるため、その危険度は、ウイルスの比ではありません。そのため、約1月以上、従業員全員が使用できる高機能マスクの備蓄が必要です。

PCを守り、クラウドが停止した場合の社内情報のバックアップ


火山灰による被害は、人間以上にPCに起きると予測できます。人間は、高機能マスクをすれば火山灰を吸い込むことを防げますが、PCはマスクをかけられません。

有事の際は、事務所の換気を遮断し、事務所内に火山灰をいれないことが肝要です。
そして、データセンターとの通信が不通になり、クラウドで使用していたすべての機能が停止してしまう事態に備え、最低限の情報を社内サーバーでバックアップすることも必要になります。

5.グローバル化は、地域リスクも低減する


一方、南海トラフ巨大地震は、東日本大震災をはるかに上回る広域な日本の太平洋沿岸部に、東日本大震災を上回る災害をもたらすリクスがあります。富士山大爆発も含めて、首都東京も、高いリスクがあります。

このような地域リスクは、勿論、世界中にあるわけです。災害リスク、戦争のリスク、政治経済的なリスクがあります。

日本もまた、リスクから逃れられるエリアではない以上、このようなリスクを分散することも、ビジネスでは必須です

東日本大震災の際、東北の太平洋沿岸エリアに会社や工場を持っていた企業が動かなくなりましたが、一方、会社や工場が分散していた企業は、いち早く生産や事業活動を開始し、復興の中の大きな需要を掴みました。

冷静な観察をすれば、大災害は、その後の復興のスタート地点でもあります。日本が終戦後、強い経済の成長を経験したのは、まぎれもなく、戦争で、国中のインフラが破壊されたためだと言っても過言ではありません。

大災害は、また、企業にとっては、巨大な成長の起爆点でもあります。巨大な支援や、公共事業の資金も流入します。

従って、災害に備えずに動けなくなくなる企業を尻目に、それに備えて、稼働を継続して生き残った企業には、そこから、爆発的な成長のチャンスがそこにあるわけです。

災害を生き残るには、事業の展開地域を分散させることです。

URVグローバルグループの海外進出支援事業
https://urv-group.com/services/global-management-consulting/


サプライチェーンをグローバルに展開すると、一か所でも稼働ができなくなれば、そこがボトルネックになって動けなくなりますが、生産拠点や販売拠点をグローバルに展開すれば、一か所が稼働できなくても、他のエリアで事業が継続し、いち早く、稼働ができなくなったエリアに投資を行って、稼働が再出発できるとともに、復興の巨大な成長の種を掴むことができます。

グローバル化こそ、災害などの地域リスクを低減して生き残り、大災害を起点にした成長をする、最も効果的な手法なのです。

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