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松本尚典

年商5億円の壁を突破したい社長のための経営コンサルタント

松本尚典(まつもとよしのり) / 経営コンサルタント

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コラム

コロナ禍で注目された「親しい人との繋がり」のソリューションをビジネスチャンスに シャフト株式会社

2022年9月11日 公開 / 2022年10月2日更新

テーマ:年商1億円 経営戦略 マーケティング

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: マーケティング戦略マーケティング手法広告 マーケティング


1.未知の事態が起きたとき、政府は「仮説」による政策を行っていることを忘れるな


2020年、新型コロナウイルスという、人類にとって未知のウイルスが世界を襲いました。

世界の医学界にとって、新型コロナウイルスは、感染経路から、予防策、そして、治療に至るまで、すべてが未知であったため、世界の医療専門家は、その対応策の「仮説」をたてて、スピーディに(仮説の検証なしに)、実行に移すより手がありませんでした。

発生源であった中国が都市のロックダウンに踏み切り、先進国でイタリアが都市封鎖を行ったことに連鎖反応をするように、世界の国々で、都市封鎖やロックダウンが相次ぎましたが、この都市封鎖という手も、「仮説」に基づく政策に過ぎません。

そして、日本においては、憲法が保障する人権問題との関係で、都市封鎖などの移動の自由を制約する政策は避けられたものの、「ヒトとヒトの接触を80%減らす」という仮説をもとに、検証の時間的余裕も与えられないまま、政府は、緊急事態宣言という手法を採用しました。

アフターコロナの今になって評価をすれば、緊急事態宣言を繰り返した、その政策は、必ずしも正しかったとはいえないかもしれません。経済は減速し、多くの人が、人との関係を絶たれ、飲食業や旅行業に大きな打撃が発生しました。

新型コロナウイルスで命を落としたヒトよりも、経済的な苦や、精神的な苦を理由に自殺をしたヒトのほうが、はるかに多くなったという事実を、どうとらえるかは、評価の仕方で変わると思います。

しかしながら、未知の事態が発生したとき、政府は、「仮説」に従って、その仮説の検証の時間もなく、政策を決めるよりほかに手がありません。それが、結果的に正しかったかどうかという問題と、政策を仮説に従うことの可否は、同一に論じられないのです。

個別の企業にとって重要なことは、そのような政府の政策の適否ではありません。

未知なる事態が発生したとき、政府の政策は、あくまでも「仮説」に沿っているだけであるという冷静な認識を、企業の経営者がもつことです。そのうえで、企業の経営者は、その政府の方針を鵜呑みにしたり、追従したりするのではなく、自己責任のもとで、自分がどう行動するかを、自己決定することです。

メディアや政府の宣伝に踊らされ、仮説を真実と勘違いして、「マスク警察」などの他者への攻撃的な行動をとった、愚かな個人も現れました。しかし、少なくとも経営者が、漠然とした不安感や、政府の発信に怯え、事業を放棄して停止をしたりするということは、この国が、社会主義や共産主義社会であると勘違いをした、愚かな行動です。

この国の社会システムは、各人や各企業が自己責任のもとに行動する、自由主義社会であり、敗者は自己責任のもとに退場させられる資本主義社会なのです。

このコラムでは、新型コロナ禍で、大きく変化をするマーケットをみつめ、冷静にマーケティング活動を行って、成功した企業の一例として、シャフト株式会社をご紹介したいと思います。

シャフト株式会社
https://www.schaft-japan.com/


2.コロナ禍での密を避ける政策は、逆に親しいヒトとの人間関係を見直す機会になった


コロナ禍における政策「ヒトとヒトの接触を80%減らす」方針は、密を避けるという手段を生み出し、その手段が、いつのまにか、目的に転換されていきました。

本来は、「ヒトをウイルスの接触を減らす」ということが基本方針にならねばならず、パンデミックの手の打ちようがなくなった最終的な手段が、「ヒトとヒトの接触をなくす」ということになるはずだと冷静に考えればわかるものですが、政府は、コロナウイルス対策を短期間に封じ込めるという、ウイルスの性格に対する誤った理解に基づき、最終手段を、最初から使用してしまい、そのために、「ヒトとヒトの接触をなくす」という最終手段を長期的に使用するという結果に陥ってしまいました。

その結果が、2年以上にわたり、経済を停滞させ、そのために、当初に想定できなかった国家予算を投入し、国民を混乱させることになってしまったわけです。

勿論、これは、コロナウイルスという未知のものに対する「仮説」に基づいた政策ですから、政府を批判するべきではありません。

未知のものに対処する政策を、それが過ぎ去った後に、それを誤っていたと批判することは、非常に卑怯な論理だと僕は思います。

政府は、果敢に未知のウイルスに立ち向かったわけですから、これを評価すべきだと僕は思っています。

しかし、実際、コロナ禍の初期段階でも、ウイルスの専門家は、コロナ禍が相当に長期的なものになるという予想をだしていましたので、僕は、政府が打ち出した「ヒトとヒトの接触をなくす」という政策の効果が、日本社会の性格を大きく変質するだろうと当初から考えていました。

経営者である僕たちは、そのような想定がたてば、その後に現れる変質した社会が生み出す新しいマーケットに対応し、自らを適合させるように進化させて生き残るべきなのです。

さて、このような日本社会の変質の一つが、コロナ禍の政策が親しいヒトとの人間関係を見直す機会になるということです。

日本の都市部の住宅は、世界的にみても非常に狭く、核家族の構成員が、職場や学校に、その生活の時間の殆どを行ってしまうことを前提に、その面積が確保されています。

日本の多くの家は、家族が職場や学校に行けず、全員が一日中、そこで過ごすとなったら、とても、長期的に耐えられるような面積ではありません。

そして、単身者であれば、更にその傾向は顕著です。日本は、若者だけでなく、中高年にも単身者が多くなっており、彼らの住まいは、ワンルームを中心とする、「寝るだけ」を想定した広さの家が多くあります。このような住まいに閉じこもらせて、ヒトとの関係を長期的に絶ち切れば、社会的な動物である人間の精神が、健全性を保つはずがありません。

これを、様々な方法で防ぐソリューションが、社会的に求められると僕は考えました。

そして、そのような中、僕が経営の顧問を務める、シャフト株式会社(以下、シャフトと称します。)は、その主力商品である、オリジナルジグソーパズルで、パズルという一人でモクモクと楽しむソリューションをギフト商材に切り替え、「関係が絶たれた親しいヒトとの人間関係を見直す機会」を提供することに着目しました。そして、そのソリューションを打ち出すため、コロナ禍で、大きくマーケティングのターゲットを変更したのです。

シャフト株式会社 清水健太郎社長
https://urv-group.com/works/works-005/


3.シャフトのオリジナルジグソーパズルは、親しいヒトへのギフト商材


シャフトは、お客様がお持ちになっている写真を、世界で一つだけのパズルに仕上げて、お届けする事業を主力に展開する企業です。

オリジナルジグソーパズルの販売を開始して、2021年で10年の社歴をもち、その製造も、自社の製造工場(シャフトでは、工房と呼ばれています)で行い、カスタマーセンターの社員が、お客様のお写真を観ながら、プロの観点から、よりよい仕上がりになるように、御相談をしながら、一点一点製造をする体制をとっています。

そのため、製品品質や、受注納品体制まで、業界の最高水準を維持して、他の競合の追随を許しません。

従来、このオリジナルジグソーパズルを注文されるお客様は、若いカップルの方や、学生の方を中心にした方々でした。

一方、コロナ禍では、「関係が絶たれた親しいヒトとの人間関係を見直す機会」になり、そのツールとして、オリジナルジグソーパズルは、ご利用のお客様の層が大きく広がるチャンスであるとシャフトは判断し、マーケティングに大きな力を注入しました。

それまで、お客様から送られた写真を受身的に使って商品を製造していた体制から、シャフトが、お客様の人間関係を厚くするための提案を行う発信への体制に、マーケティングを切り替えました。

サイトや、商品総合カタログで、利用シーン別のベージを大きく増強。

更に、お買い上げいただいた、お客様に新製品や季節ごとのご提案をする「シャフト通信」を3か月に1度の発刊を開始しました。

このような活動が大きく実を結び、シャフトは、コロナ禍の人間関係を厚くするツールとして、オリジナルジグソーパズルの御客様の層を、コロナ禍で非常に厚くすることに成功し、売上と利益を、大きく成長させることに成功しました。

4.リピーターの御客様の、更なる厚みを増す パズルコレクター


今、シャフトでは、次第にリピーターのお客様が積みあがってきています。

BtoCビジネスモデルの企業が、安定的な売上高の成長を行うためには、リピーター、とりわけ、商品に対する固定のファンになっていただける、ヘビーユーザーのお客様を積み上げることが必須になります。

一度きり、思いつきで、商品を購入するようなお客様ばかりを、マーケティング手法や広告で集めている企業は、売上高に対する広告費比率が大きく、売上を絶え間ない広告によって回しているだけになってしまいます。

ギフト商材や、流行に乗った商材を、BtoCで販売する企業が陥りがちな「広告の罠」は、利益をすべて広告会社に吸い取られ、売上をあげようとして、広告費を更に大きくしていってしまうところにあります。

このような広告の罠に落ち込んでしまうと、喜ぶのは広告会社だけで、メーカーは、商品ライフサイクルが成熟した時にも広告費をかけ続け、結局、ビジネスを失敗させるという羽目に陥ります。

シャフトでは、数年前に、「リスティング予算をあげてください」と、オウムのように繰り返して売りこんで来るリスティング会社と決別し、効果面を検証しながら、広告費の適正なコントロールを自社で行う方法に、マーケティングを切り替えました。

そして、そこで浮いた予算を、リピーター、とりわけ、パズルをこよなく愛してくれる大切なお客様に集まっていただき、楽しんでいただくイベント企画などに、振り向ける政策を重視してゆく方針を固めました。

一度きり購入されるお客様を広告で集めることに利益を使い続けるよりも、シャフトの商品をこよなく愛していただけるお客様に、利益を還元し、パズルライフを楽しんでいただけることを、重視して、持続的な成長を遂げていく経営方針を、今、採用をしています。

続く

松本尚典の中小企業経営者支援コンサルティングサービス

https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/service1/5002501/

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