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松本尚典

年商5億円の壁を突破したい社長のための経営コンサルタント

松本尚典(まつもとよしのり) / 経営コンサルタント

URVグローバルグループ 

コラム

売上の未入金にどう対応する?

2022年2月6日 公開 / 2022年9月17日更新

テーマ:未入金 督促

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 残業代未払い未払い賃金労働問題


1.請求書を出した売上が、入金されない!


事業を起業して、仕事を納めたり、商品を納品したにも関わらず、入金がなされない!

商売を行っていると、この未入金という事態に遭遇することがあります。このコラムは、このような未入金に対して、慌てずに、とりえる措置を書いて参ります。

未入金への対応策は、次の4点の分野に跨ります。

①未入金への予防策
②ビジネス上の対応策
③法的な対応策
④会計・税務上の対応策


2.未入金への予防策


まず、未入金が発生してしまった場合の話に入る前に、未入金への予防策について、考えていきましょう。

不幸にも、未入金が発生してしまった方は、逆に、自分の事業または会社で、以下のような未入金への予報策が講じられていたかどうか、確認をする意味で、読んでください。

契約書(請書)・請求書をきちんと出す


ビジネスの上では、はじめて取引をする相手との間では、相手が企業であろうと、個人であろうと、基本的には、料金を先払いいただくのが原則です。

個人の一般ユーザーを相手に取引をする場合には、この先払いの原則は、ほぼ守られると思います。

問題は、相手が、個人事業主である、または企業である場合です。

相手が個人事業主、あるいは、会社である場合などで、特に取引を相手が急いでいた場合などに、契約書や請書を取り交わさないで仕事を納め、あるいは、商品を納品することがあります。

まず、これを、出来るだけ辞めるというのが、予防策の第一です。

取引社会では、はじめての取引で、後払いによる取引を行う場合、必ず、相手の信用を確認し、そのうえで、契約書(または請書)を文書で取り交わすことが、必須です。

ちなみに、よく取引社会であるのは、このような文書を取り交わすことに対して、相手が、(急いでいるなどの事情を言い立てて)消極的な態度を見せ、その相手をおもんばかって、文書を取り交わさずに、取引をしてしまい、後で、未入金になるというケースです。

通常、後払いで、取引をする場合、文書を取りかわすのは、世界のどこで最低限の常識です。

これに、消極的な態度を見せる相手というのは、わざと契約などの証拠を残さないようにしている「ブラックな相手」の可能性があります。従って、そのような相手の場合、相手がどんなに急いでいようが、一旦、立ち止まり、しっかりと、契約書(又は請書)に捺印を受けるか、あるいは電子契約で相手の承認を受けるか、いずれかの方法によることを検討してください。

請求書をきちんと出し、そこに、入金日を明記する


個人相手の商売をしていると、請求書を出すかわりに、メールなどで金額を伝えただけ、という取引を行いがちです。

「ブラックな相手」は、忘れたふりをして、支払いを引き延ばすというのが常套手段です。

従って、後払いの取引では、仕事を納め、あるいは納品をしたら、速やかに、請求書を郵送またはメールの添付ファイルで送ることが肝要です。メールで送る場合、開封証明をつけることが望ましいでしょう。

肝要なことは、その請求書には、必ず、入金先金融機関情報に加え、入金締切日を明記することです。よく、入金締切日の記載のない請求書を見かけますが、これは、先ほどのべた、忘れたふりをするブラックな相手には、格好の入金しない言い訳を与えますので、注意してください。

3.ビジネス上の対応策


速やかな督促体制


契約書を締結し、その契約に定めた日を記載した請求書を送っているにもかかわらず、入金が確認できない場合、入金日の翌日の朝9時の段階で、未入金の確認をした後、その取引先の担当者より、先方に、入金が確認できない旨の連絡を、メールまたは電話で行います。

次に書くのは、僕が、以前、経営顧問を務めた企業の話(この会社は、その社長のずさんな経営姿勢が改まらないため、僕が、顧問契約を解約した後に、資金難から事実上破綻し、その社長は、今は、行方不明になっています)です。

その会社は、営業は相手の信用を確認せずに売りっぱなし、経理は請求書を送りっぱなし、という状態で、誰も、入金確認を理が行っていませんでした。その結果、社長の「資金繰りに窮した」というSOSで、僕が資金状態を確認しところ、未入金先の把握も、督促も行っておらず、数年間にわたって、未入金が大量に発生していたことが判明しました。


このような極端な事例は別としても、経理部門が未入金を入金日の翌日に把握し、経理担当者と営業担当者が連絡を取り合いながら、適切に、未入金である旨を取引先に知らせることを円滑に行っている会社は、案外少ないものです。

未入金案件というのは、入金が遅れれば遅れるほど、回収がしにくくなるものです。

未入金を把握し、即、相手に(失礼がないように)確認をしてもらう、という行動を、必ずシステマティックに会社として行えるようにしておくことが肝要です。

信用調査


未入金が発生したら、必ず、相手の会社の信用調査を行うことをお勧めします。

日本では、帝国データバンクか、商工リサーチが最大手で、信用調査自体は、比較的、安価です。仮に、帝国データバンクにも、商工リサーチにも、情報が登録されていない企業や、個人事業主で、一回でも、未払いや遅延が発生した場合、取引を先払いに変えることをお勧めします。

特に、商工リサーチは、設立間もない会社にも、登録をこまめに促しているので、商工リサーチに登録されていないということは、資金や財務を、公開したくない事情がある会社だと考えた方が無難です。

また、信用調査を入手できた場合、単に売上や税引き後利益だけではなく、流動資産と流動負債の割合である流動比率に注目して、信用状況をみるべきでしょう。

流動比率は、企業の短期的な支払能力を示しています。仮に、売上高が大きくても、流動費比率が100%を下回っている会社の場合、1年以内に資金がショートするリスクが大きいと判断してください。

このような会社には、先払いに取引条件を変更するか、取引を打ち切ったほうがベターでしょう。

4.法的な対応策


・どの段階で、ビジネス上の対応策を打ち切るか?


さて、上記のような通常のビジネスで行う策を施したにもかかわらず、未入金が発生し、入金が遅延している場合、法的な対応策に移行する段階を見極めることが肝要です。

法的な対応策というのは、あくまでも、今後の取引を打ち切り、そのえで、遅延している未払い金の回収を行うということです。

法的な対応策に入った場合、相手との関係は、破綻しますから、取引関係の継続を希望する場合、法的な対応策には入れません。

ただし、これまでの取引関係や人間関係を重視するあまり、未入金や遅延が発生している相手への法的な対応策を遅らせて、ずるずると、取引を継続すると、不良債権が拡大し、取り返しがつかない段階まで立ち至ってしまう危険性があります。

例えば、僕が投資・経営するURVグローバルグループの各社は、支払遅延が2回、連続で発生した時点で、一律に、各事業部での取引の打ち切りを先方に通告するというル-ルを採用しています。

そのうえで、経理や営業での現場での回収努力から、グループ統合支援部に取り扱いを移管し、法務部と各国の顧問弁護士による、法的な措置に一律に移行するという方針をとっています。

現場は、ビジネスを進めるのが仕事です。回収できない相手に、現場が脚をとられるのは、非常に非効率で、生産性がありません。回収に関しては、弁護士さんなどの法律のプロに任せ、現場は、次のビジネス案件にアタマを切り替えるべきでしょう。

内容証明郵便による督促


法的な措置の第一段階は、内容証明郵便による支払督促です。

支払督促は、通常のビジネスレターでの郵送では、債権の消滅時効の進行を止める効力がありません。従って、内容証明郵便によって、正式な支払督促状を送ることが必要です。

出来れば、顧問弁護士さんがいる会社の場合、この督促状は、代表取締役名ではなく、弁護士名での郵便とするのがコツです。

弁護士さんが内容証明郵便を送る場合、相手方に、こちらが、訴訟などの法的な措置をとることを予想させる効果が強く、よほどの財務状態が悪化した相手方でない限り、この段階で、支払いをしてくるでしょう。

訴訟等の法的手段


内容証明郵便でも支払いをしてこない場合、相手方は、既に手元不如意(無資力)に陥っている可能性が大きいことから、相手が支払不能となり、破算等の倒産手続きに入る可能性があります。

そうなると、債権を回収することはできません。

速やかに、弁護士さんと相談し、回収の策を検討するべきでしょう。

この時、絶対にやってはいけないことは、自力救済です。

相手の事務所から、勝手に何かを持ち出したり、相手方の社長を脅したりするような行動は、現在の民法が禁じる自力救済にあたります。権利があっても、刑事上の問題がおき、窃盗や恐喝などの犯罪行為に該当するとして、逮捕される可能性があります。

絶対に、自力救済をせず、弁護士さんによる、法的な回収手段をとってください。

5.会計・税務上の対応策


売上計上と、貸倒引当金の計上


さて、ここからの話は、法的な回収を進めつつ、その最終的な損害に備えての、会計と税務での処理です。

法的な回収を、弁護士さんと進めつつ、企業は、損害に備えて、一定のリスクを会計的に計上して備えることが必要です。

この計上は、貸倒引当金で行います。

貸倒引当金は、企業の売掛金等の期末残高に対して、一定の割合を、最終的な回収不能に備えて、計上する勘定科目です。そして、法人税の税務上も、一定割合を、損金で計上することが認められています。

売上は、発生主義の原則に従って、未回収であっても、企業の益金として計上しなければなりません。そうすると、未回収の売上に対しても、法人税が売上の約35%程度で課税されます。この課税に対して、一定の割合を、貸し倒れに備えて、損金計上を認めるのが、貸倒引当金です。

但し、会計上、貸倒引当金を無制限に計上して、それを税務上も認めてしまいますと、法人税を不当に逃れる手段として用いられてしまいますから、この貸倒引当金で損金計上できる金額は、法人税務上、制限されています。

従って、決算で、どの程度、貸倒引当金を計上できるかは、顧問の税理士さんの指導を受けて、判断してください。

松本尚典の中小企業経営者支援コンサルティングサービス

https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/service1/5002501/

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