【風俗トラブル】風俗店のLINE公式アカウントを登録していたら、情報は漏れる?
キャストと店の外で会っていたことが店に知られ、「裏引きにあたるので罰金100万円」「規約違反の違約金を払ってほしい」と求められた――。風俗店を利用した方から、このようなご相談をいただくことがあります。請求には「罰金」「ペナルティ」「損害金」などさまざまな言葉が使われますが、呼び方だけで支払う義務の有無が決まるわけではありません。
この記事では、店外で会ったことを理由とする罰金請求について、ご相談の場でよく尋ねられる疑問を12問に整理し、一般的な考え方をお答えします。
この記事は、風俗店を利用した客の立場から、キャストと店の外で会ったことを理由に店から金銭を求められた場面を想定しています。キャスト(働く側)が店から罰金を求められた場面は前提が異なります。また、個別の事案の結論は、規約の内容、会った経緯、請求の伝え方などによって変わります。
請求そのものについての疑問
店が「罰金」を科すことはできるのですか
刑罰としての罰金は、刑事裁判を経て国が科すものであり、店などの私人が科すことはできません。店が「罰金」と呼んでいる請求は、法律上は、規約違反を理由とする違約金か、損害賠償の請求として扱われるのが一般的です。そのため、考えるべきことは「罰金を払う義務があるか」ではなく、「店が主張する約束や損害が、法的に認められるか」という点になります。
考え方の基本は「罰金」を請求された|私人が罰金を科すことはできないでも解説しています。
キャストと店の外で会うこと自体は、違法なのですか
成人どうしが合意のうえで店の外で会うことは、それだけで犯罪になるものではありません。店が問題にしているのは、多くの場合、店の規約に反したことや、店を通さずに利用料にあたるお金のやり取りをしたこと(いわゆる裏引き・直引き)です。ただし、相手が18歳未満だった場合や、会った際に相手の同意のない性的な行為があったと主張されている場合、相手が断っているのに連絡や待ち伏せを続けた場合などは、刑事上の問題に発展するおそれがあり、金銭の請求とは別に考える必要があります。
店の外で会うことに伴う危険の全体像は、風俗嬢と店外・プライベートで会ってトラブルに|「店を通さない」リスクで整理しています。
店のホームページや規約に「店外での接触禁止・違反は100万円」と書いてあれば、払わなければなりませんか
規約に書いてあることと、その金額をそのまま支払う義務があることとは、分けて考えます。まず、利用した際にその規約が客との約束の内容になっていたか(予約や受付の時点で示され、同意を求められていたか)が問題になります。
仮に約束の内容になっていたとしても、店は事業者、利用者は個人の消費者という関係にあるため、消費者契約法の適用が考えられます。同法9条1項1号は、違約金などを定める条項のうち、同種の事案で事業者に生じる平均的な損害の額を超える部分を無効としています。また、同法10条は、消費者の利益を一方的に害する条項を無効としています。一律に100万円といった金額が、店に実際に生じうる損害と比べて妥当かどうかは、争う余地があることが少なくありません。
書面の効力については、誓約書の「罰金100万円」は本当に払う義務がある?法的効力を検証もご参照ください。
店は、どのような損害があると主張してくるのですか
よく見られるのは、本来店に入るはずだった利用料を失ったという主張や、キャストが辞めた・別の店に移ったことによる損害の主張です。もっとも、損害賠償を求めるには、店の側が、損害が生じたこと、その金額、客の行為との因果関係を示す必要があります。
また、客は店とキャストの間の契約の当事者ではありません。キャストが店との約束に反したとしても、そのことについて客が当然に責任を負うわけではなく、第三者が他人の契約関係を害したとして責任を問われるのは、一般に、社会的に許される範囲を超えた働きかけがあった場合などに限られると考えられています。
その場や直後の対応についての疑問
その場で誓約書や念書に署名してしまいました。もう払うしかないのでしょうか
署名した書面があっても、それだけで支払う義務が確定するわけではありません。複数のスタッフに囲まれた、帰してもらえなかったなど、恐怖を感じる状況で書かされた場合には、強迫を理由に取り消せる余地があります(民法96条1項)。書面に書かれた金額そのものが、先に述べた消費者契約法や公序良俗(民法90条)に照らして問題になることもあります。
書面の写しが手元にない場合は、署名した日時と場所、書面の題名、書かれていた金額や条件など、覚えていることを早めにメモに残しておくと、後の整理に役立ちます。
「払わないなら家族や職場に連絡する」と言われました
請求の理由に根拠があるかどうかとは別に、家族や勤務先に知らせることをほのめかして支払いを迫る行為は、その態様によっては恐喝罪(刑法249条)や脅迫罪(刑法222条)にあたる可能性があります。慌てて支払うと、それをきっかけに請求が続くこともあります。言われた内容は、日時とともに、できるだけ相手の言葉どおりに記録しておいてください。
対応の考え方は「金を払わなければ通報する」と脅されたら|風俗トラブルにおける恐喝罪への対処法、知られずに解決を図る方法は家族・職場に知られずに風俗トラブルを解決する方法|弁護士が解説で解説しています。
キャストに連絡して、事情を確かめてもよいですか
キャスト本人に直接連絡して事情を確かめようとしたり、店に話したことを責めたりすると、店とのやり取りがかえってこじれるおそれがあります。相手が連絡を望んでいないのに繰り返し連絡すると、つきまといとして問題にされる可能性もあります。事情の確認や話し合いは、店との窓口を一本にしたうえで進めるほうが安全です。
関連して、【風俗トラブル】キャストから個人的な連絡先を渡された|応じた後に起きやすいこともご覧ください。
請求を無視してもよいですか
根拠の乏しい請求であっても、まったく反応しないことで、相手が自宅や職場に来る、連絡の頻度が増えるといった形で事態が大きくなることがあります。一方で、電話のやり取りの中で非を認める発言や金額の約束をしてしまうと、後で不利に使われるおそれもあります。
ご自身で対応する場合は、記録が残る方法でやり取りし、その場で金額を約束しないという線を守ることが大切です。自分で交渉するか弁護士に任せるかの目安は、【風俗トラブル】店との交渉を自分でするか弁護士に任せるか|分かれ目になる5つの事情で整理しています。
支払いや解決の見通しについての疑問
すでに一部を払ってしまいました。取り戻せますか
支払ったお金を取り戻せるかどうかは、支払いに至った経緯によって変わります。脅されて払った場合や、強く迫られて理由のない支払いをした場合には、返還を求める余地があります。他方で、自分の判断で任意に払ったと評価されると、返還が難しくなる場面もあります。
一部を支払ったことが、残りの支払い義務を認めたものだと主張されることもあるため、追加の支払いに応じる前に経緯を整理しておくことが大切です。詳しくは払ってしまった示談金・違約金は取り戻せるか?返金請求の可否で解説しています。
弁護士に依頼すると、どのように進みますか
一般的には、弁護士が代理人として店に受任通知を送り、以後の連絡窓口を弁護士に一本化します。そのうえで、店が主張する規約の内容や損害の根拠を確認し、支払う理由がないと考えられる部分については支払いを拒み、事情によっては解決金の額を協議して合意書を作ります。
合意書には、その件について今後は請求しないことや、家族・勤務先へ連絡しないことなどを盛り込むのが通常です。どのような結果になるかは事案によって異なりますが、ご本人が店と直接やり取りする負担を減らすことにつながります。
個別の事情で結論が分かれる質問
ここからの2問は、事実関係の細かな違いによって答えが変わりやすいものです。一般論だけで判断せず、具体的な事情を踏まえて検討することをおすすめします。
店の外で会った際にキャストへお金を渡していた場合は、扱いが変わりますか
会う際に食事代や交通費とは別に、キャストへ直接お金を渡していた場合、店は「本来店に支払われるべき利用料を、店を通さずに払った」と主張してくることがあります。渡した金額や名目、会った回数、店で知り合ってからの期間などによって、店の損害についての評価が変わる可能性があります。
お金を渡していたことを伏せたまま交渉を進めると、後で事実関係が食い違い、話し合いが難しくなることがあります。ご相談の際には、ありのままをお伝えください。
キャストのほうから「店の外で会おう」と誘われた場合でも、責任を問われますか
どちらから誘ったかは、店との関係で客の責任を考えるうえで考慮される事情の一つです。キャストからの誘いに応じただけであれば、客が店とキャストの契約関係を積極的に害したとは言いにくい場合が多いと考えられます。ただし、その後のやり取りの内容や、客自身が規約に同意していたかどうかによって、評価は変わります。
誘われた経緯がわかるメッセージは、削除せずに保存しておいてください。この点は【風俗トラブル】『店を通さずに会おう』と持ちかけられた|裏引きの当事者になる危険でも取り上げています。
まとめ
- 店が「罰金」を科すことはできず、請求は違約金や損害賠償として、その根拠が問われます。
- 規約や書面に金額が書かれていても、消費者契約法や公序良俗に照らして、その金額のまま認められるとは限りません。
- 家族や職場への連絡をほのめかされても、その場で支払いや金額を約束せず、言われた内容を記録してください。
- キャスト本人に直接連絡して事情を確かめるのは控え、窓口を一本にして対応するほうが安全です。
- すでに一部を支払った場合でも、経緯によっては返還や残額の不払いを検討できる余地があります。
店外で会ったことを理由とする請求は、規約の示され方、会った経緯、お金のやり取りの有無などの組み合わせで、取るべき対応が変わります。請求額が大きい場合や、家族・勤務先への連絡をほのめかされている場合は、相手とのやり取りを重ねる前に、手元の記録をそろえてご相談いただくことをおすすめします。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
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早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


