依頼してから終わるまでの期間|局面別の目安
風俗店を利用した後、店やキャスト本人から「あのとき怪我をした」「治療費を払ってほしい」というメッセージが届き、どう返信すればよいか迷う方は少なくありません。急いで謝ろうとして書いた一文が、後の話し合いで不利に扱われることもあれば、返信をしないまま時間が過ぎて相手の受け止め方が厳しくなることもあります。この記事では、治療費を請求された側が最初の返信で何を書き、何を書かないほうがよいのかを、文面の例とあわせて整理します。
ここで紹介する文面は、考え方を説明するために作った例です。実際に送る内容は、利用時の状況、相手が誰か、請求の中身によって変わります。送信の前に、ご自身の事情に当てはまるかを確かめてください。
返信の前に、誰が何を求めているのかを確かめる
同じ「治療費の請求」でも、連絡してきた相手によって返信の向け方が変わります。まず、届いたメッセージを読み返し、差出人と請求の中身を書き出しておくと、返信の文面を決めやすくなります。
| 連絡してきた相手 | 確かめておきたいこと | 返信で気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 店のスタッフ・店長 | 店として請求しているのか、キャストの代わりに交渉しているのか | 店が受け取る名目と、キャスト本人の損害とを分けて尋ねる |
| キャスト本人(個人のLINEなど) | 店はこの連絡を把握しているのか | 個人的なやり取りを広げず、窓口をどこにするかを先に決める |
| 知人・交際相手を名乗る人物 | 本人とどういう関係で、何の権限で連絡しているのか | 本人の意思を確認できない相手に条件を約束しない |
| 弁護士 | どの事務所の弁護士で、誰の代理人なのか | 事務所に確認したうえで、代理人宛てに返信する |
キャストの怪我に関する損害賠償は、本来はキャスト本人と利用者との間の問題です。弁護士でない店のスタッフが、報酬を得る目的でキャストに代わって交渉することは、弁護士法72条との関係で問題になる場合があります。店からの請求であれば、誰の、どの損害についての請求なのかを返信の中で確かめておくことに意味があります。
返信の文面を組み立てるときの考え方
事実の認否をその場で確定させない
「怪我をさせた」と言われたとき、記憶があいまいなまま認める内容を書くと、そのメッセージが後で「本人が認めていた」資料として示されることがあります。反対に、確かめないまま強く否定すると、相手の反発を招きやすくなります。最初の返信では、連絡を受け取ったことと、事実関係を確認したいことを伝えるにとどめるのが一つの方法です。
金額と支払いの時期を約束しない
治療費の請求には、診察代のほか、通院の交通費、休業した分の補償、慰謝料などが合わせて含まれていることがあります。内訳が分からない段階で「全額払います」「明日振り込みます」と書くと、その後に項目が増えたときに断りにくくなります。支払いの有無や金額は、内訳と根拠を確かめてから決めても遅くはありません。
根拠となる資料の提示を求める
治療費として請求するのであれば、受診した医療機関、診断の内容、実際に支払った金額を示す資料があるはずです。診断書や領収書の写しを求めることは、支払いを拒むことではなく、金額を確かめるための通常の手順です。求め方は、相手を疑っていると受け取られにくい言い回しを選びます。
脅しと受け取られかねない言葉を入れない
理不尽だと感じても、「訴えるぞ」「こちらも警察に行く」といった言葉は、相手に別の材料を与えることになりかねません。返信は落ち着いた敬語で、短くまとめるのが基本です。
送ってよい文面の例
連絡を受け取ったことを伝え、確認の時間をもらう返信
まず時間を確保したいときの例です。返信をしないまま放置するより、受け取ったことだけでも伝えておくほうが、相手の受け止め方が落ち着く場合があります。
「ご連絡を拝見しました。お体の具合についてのご連絡と受け止めております。当日の状況とご請求の内容を確認したうえで、改めてご連絡いたします。お返事まで数日いただけますと幸いです。」
治療費の内訳と根拠資料を求める返信
請求の中身を確かめたいときの例です。項目ごとの金額と、それを示す資料をまとめて尋ねます。
「ご請求の内容を確認させていただきたく、ご連絡いたしました。お手数ですが、受診された医療機関と受診日、診断の内容、治療費・交通費などの項目ごとの金額をお知らせいただけますでしょうか。あわせて、診断書と領収書の写しをお送りいただけますと、内容を確認しやすくなります。」
弁護士に相談・依頼することを伝える返信
自分で話し合いを続けることに不安があるときの例です。弁護士に依頼した場合は、弁護士から相手方に連絡が入ることになるため、本人からの返信はこの程度にとどめます。
「ご連絡ありがとうございます。この件については、弁護士に相談のうえ対応させていただきたいと考えております。今後のご連絡は、弁護士からさせていただく予定です。」
当日の状況について認識が違うときの返信
怪我をさせた覚えがない、あるいは相手の説明と記憶が食い違う場合の例です。否定の理由を細かく書き連ねるより、認識が異なることと、確認を求めることを短く伝えます。
「ご連絡を拝見しました。当日の状況について、私の認識とは異なる点があるように思います。どのような状況で怪我をされたのか、改めて確認させていただけますでしょうか。」
避けたい文面と、その理由
| 避けたい文面の例 | 起きやすい問題 | 置き換えの方向 |
|---|---|---|
| 「全部私のせいです。治療費は全額払います」 | 責任と金額を認めたものとして扱われやすい | 受け取ったことと確認したいことを伝える |
| 「〇日までに〇万円を振り込みます」 | 内訳を確かめる前に金額と期限が決まってしまう | 内訳と根拠資料の提示を求める |
| 「警察に言うなら、こちらも訴えます」 | 脅しと受け取られ、話し合いがこじれやすい | 弁護士に相談する旨を落ち着いて伝える |
| 「お店には内緒で、直接会って話しませんか」 | 個人的な接触が新たなトラブルの種になりやすい | 窓口を店か弁護士に決めて文字でやり取りする |
| 「家族や会社には言わないでください。何でもします」 | 弱みを示すことになり、要求が増えるきっかけになりやすい | 条件の話は内訳が分かってから進める |
| 経緯を長文で詳しく説明する謝罪文 | 記憶違いを含む記述がそのまま残る | 事実の説明は確認が済んでから行う |
なかでも注意したいのは、キャスト本人に直接会おうとすることです。相手が警察に相談している場合には、被害を訴えている人への働きかけと受け取られるおそれがあります。謝罪の気持ちがあるときも、伝え方とその時期は、窓口を決めてから考えるほうが安全です。
一方で、返信をしないまま連絡を絶つことにも注意が必要です。相手が「誠意がない」と受け止め、警察への相談や請求額の上乗せに進むきっかけになることがあります。内容に納得できないときほど、受け取ったことと確認したいことだけを短く伝え、そのうえで対応を考える時間を確保するほうが、選べる手立てを残しやすくなります。
返信の前後で押さえておきたいこと
- 届いたメッセージ、着信履歴、請求額が書かれた画面は、削除せずにスクリーンショットで保存しておくこと。
- 送信する前に下書きを置き、少し時間を空けてから読み返すこと。
- 電話で話を求められても、できる限り文字のやり取りで進め、通話した場合は日時と内容をメモしておくこと。
- 店とキャスト本人の双方から連絡が来ている場合は、どちらとやり取りするかを決め、同じ内容を別々に約束しないこと。
- 相手が健康保険を使って受診している場合、保険者が立て替えた分をのちに利用者へ求めてくることがあるため、清算の範囲を確かめておくこと。
請求額が連絡のたびに変わる場合や、相手の説明と診断書の内容が合わない場合は、返信を重ねるより、一度立ち止まって整理する段階に来ているといえます。診断書を見せられたときの考え方は、【風俗トラブル】キャストの診断書を見せられた|怪我や体調不良を理由にした請求でも解説しています。
弁護士に任せることを考えたい場面
次のような事情がある場合は、ご自身で返信を続けるより、弁護士に窓口を移すことを検討してよい段階です。
- 「警察に行く」「被害届を出す」と告げられていること。
- 請求額が高額で、内訳の説明がないこと。
- 勤務先や家族に知らせると示されていること。
- 店とキャスト本人、第三者など、複数の相手から連絡が来ていること。
- 当日の状況について、相手の説明と自分の記憶が大きく異なること。
弁護士にご依頼いただくと、店やキャストとの連絡の窓口を弁護士に移し、ご本人が直接やり取りをしなくて済むようにできます。治療費の内訳と根拠資料を確かめたうえで、支払うべき範囲があるかどうかを検討し、話し合いがまとまった場合には、清算の範囲や接触の禁止を定めた合意書の作成まで進めます。どちらを選ぶかの考え方は、【風俗トラブル】店との交渉を自分でするか弁護士に任せるか|分かれ目になる5つの事情でも整理しています。
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治療費の請求を受けたときの最初の返信は、相手との関係をこじらせないことと、後で不利になる約束をしないことの両方を意識して組み立てる必要があります。送る前に迷いがあれば、下書きの段階でご相談ください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


