【解決事例】別れ話に応じてもらえず連絡が止まらなかった男性|3年分割の提案を一括清算に切り替え、約1ヶ月で合意書を締結した事例

若井亮

若井亮

テーマ:男女トラブル

本記事は、当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。ご依頼者のプライバシー保護のため、事案の趣旨を損なわない範囲で、状況等の一部を変更しています。


何度別れ話をしても受け入れてもらえず、1日に何十回も連絡が届く。勤務先や周囲に事情を知らされるのではないかという心配があり、こちらから強く出ることもためらわれる。関係の終わらせ方をめぐるご相談では、このような状況が長く続いた後に弁護士へ相談される方が少なくありません。

 本記事では、弁護士が窓口となって関係解消の交渉を行い、相手方が求めていた3年間の分割払いを一括での清算に切り替えたうえで、ご相談から約1ヶ月で合意書の締結に至った事例をご紹介します。金額だけでなく「どのように支払うか」が関係の終わり方を左右するという点にも触れています。

ご相談の概要


項目内容
ご相談者海外を拠点に働く男性
相手方数年間交際していた女性
ご相談内容関係の解消に応じてもらえず、本人から1日に数十回の連絡があり、相手方の親族からも連絡が続いていた
相手方の提案関係解消の条件として、毎月3万円を3年間支払うこと
解決内容総額108万円を一括で支払う内容で合意書を締結(接触禁止条項・口外禁止条項・清算条項付き)
解決までの期間ご相談から約1ヶ月


ご相談までの経緯

別れ話をしても受け入れてもらえない状態が続いていた

 ご依頼者は、海外を拠点に働く男性です。数年間にわたり交際していた女性(相手方)との関係を終わらせたいと考え、これまでにも何度か別れ話を切り出していました。しかし、そのたびに相手方に受け入れてもらえず、関係が続いていました。

 相手方からの連絡は、多いときには1日に数十回に及んでいました。決められた時間帯に返信することが求められる状態が長く続き、ご依頼者は海外に滞在している間も気持ちが休まらない日々を過ごしていました。

意思を伝えた後も、本人と親族からの連絡が続いた

 関係を解消したいという意思をはっきり伝えた後も、電話やメッセージでの連絡は続き、相手方の親族からも繰り返し連絡が入るようになりました。ご依頼者には、勤務先や周囲の関係者に事情を伝えられるのではないかという心配もあり、強い態度をとることが難しい状況でした。連絡が止まらない場面での一般的な対応については、別れ話のもつれでLINE・電話が止まらない|接触禁止を実現する方法でも解説しています。

相手方の自宅に私物が残っていた

 さらに、相手方の自宅にはご依頼者の私物が残っており、その受け渡しをどうするかという問題もありました。直接会って受け渡しをすれば、そこから再び関係が続いてしまうおそれがあります。一方で、そのままにしておけば、後に別のトラブルのきっかけになることも考えられました。

 ご自身だけで対応を続けることが難しいと感じたご依頼者は、当事務所にご相談され、その日のうちにご依頼いただきました。

弁護士の対応と交渉の経緯

受任当日に、ご依頼者が直接やり取りしない体制を整える

 ご依頼を受けた当日、担当弁護士は受任通知を作成しました。相手方の住所や連絡先として把握できているものが限られていたため、ご依頼者から、相手方とのやり取りに使っていたメッセージアプリを通じて送信していただきました。相手方本人の目に届きやすい方法を優先した対応です。

 あわせて、ご依頼者には相手方からの連絡を受けない設定にしていただき、以後の連絡はすべて当事務所が受ける形に切り替えました。連絡の窓口を弁護士に一本化することで、ご依頼者が相手方と直接やり取りする場面はなくなりました。

 受任通知の送付後、相手方本人から当事務所に連絡がありました。担当弁護士は、ご依頼者の意向が関係の解消であることを明確に伝えたうえで、相手方の言い分にも時間をかけて耳を傾けました。

私物の受け渡しも弁護士が間に入り、顔を合わせる機会をなくす

 私物の受け渡しは、当事務所が間に入って行いました。荷物は当事務所を経由してやり取りし、ご依頼者と相手方が直接会うことのない方法をとっています。

 関係を解消する場面では、私物の受け渡しが再び会うきっかけとなり、話が振り出しに戻ってしまうことがあります。手間はかかりますが、代理人が物の受け渡しまで引き受けることで、そうした事態を避けやすくなります。

3年間の分割払いの提案を、一括での清算に切り替える

 交渉の中で、相手方からは、関係の解消を受け入れる条件として、毎月3万円を3年間支払ってほしいという提案がありました。ご依頼者は、区切りをつけられるのであれば支払いに応じたいというお考えでした。

 ただ、担当弁護士は、この条件をそのまま受け入れることには課題があると考えました。毎月の支払いが3年間続くということは、その間、当事者同士のつながりが残り続けることを意味します。支払いが一度でも遅れれば、相手方に連絡をとる理由を与えることにもなりかねず、「関係をきちんと終わらせたい」というご依頼者の目的に沿わないおそれがありました。

 そこで担当弁護士は、総額は変えずに、3年分をまとめて一括で支払う内容を提案しました。相手方もこれに応じ、解決金108万円を一括で支払う内容で合意に至りました。

合意書の締結と解決金の送金

 合意書には、金額と支払方法のほか、今後互いに連絡や接触をしないこと、本件について口外しないこと、本件に関して双方にほかに債権債務がないことを確認する清算条項を盛り込みました。締結後は、当事務所の預り金口座を経由して解決金を送金し、支払いが完了したことを確認しています。ご相談からここまで、約1ヶ月でした。

解決結果と対応のポイント

 本件の解決内容は、次のとおりです。

  • 3年間の分割払いの提案を一括での支払いに切り替え、その時点で関係を清算しました。
  • 接触禁止条項・口外禁止条項・清算条項を含む合意書を締結しました。
  • 私物の受け渡しも当事務所が窓口となり、当事者が直接会うことなく完了しました。
  • 受任当日から弁護士が窓口となり、ご依頼者本人が相手方とやり取りする必要がなくなりました。
  • ご相談から合意書の締結・送金まで、約1ヶ月で解決しました。


関係の解消と、解決金を支払うことの位置づけ

 交際関係の解消は、婚約や内縁といった事情がなければ、それ自体を理由に法的な責任が生じるものではないと考えられています。それでも実際には、「相手が受け入れてくれない」という理由で関係を終えられず、長い期間同じ状態が続いてしまうご相談が見られます。

 関係の解消にあたって金銭を求められると、「支払う義務がないのに払うのはおかしい」と感じる方もいらっしゃいます。実際に、法的な支払義務までは認められない場面も多くあります。もっとも、法的な義務があるかどうかと、実際に問題を終わらせられるかどうかは、分けて考える必要があります。争いが長引けば、その間も連絡や接触が続き、心身や時間の負担が重なっていきます。金額が納得できる範囲であれば、義務の履行としてではなく「関係を清算するための解決金」という位置づけを明確にしたうえで合意し、書面で区切りをつけることが、結果としてご依頼者の利益につながる場合もあります。支払義務の考え方については、手切れ金を請求された|支払う法的義務はあるのかで詳しく取り上げています。

支払方法は、金額と同じくらい重要になる

 本件で特に大きかったのは、支払いを分割ではなく一括にした点です。分割払いは負担が軽く見える一方で、関係の解消を目的とする合意では、支払いが続く期間だけ当事者のつながりが残ることになります。振込の確認や支払いの遅れ、口座の変更といった事務的なやり取りが、連絡をとるきっかけになることもあります。

 関係を断つことが目的であれば、金額とあわせて、支払方法や期間がその目的に合っているかを検討することが大切です。一括での支払いが難しい場合には、支払回数や期間をできるだけ短くするなど、事情に応じた調整を考えます。

合意書に盛り込む条項と、その限界

 関係解消の合意書では、金銭の取り決めのほか、次のような条項を検討します。

  • 接触禁止条項:今後互いに連絡や接触をしないことを約束するもので、違反があった場合に対応を求める根拠になります。
  • 口外禁止条項:本件の内容を第三者に伝えないことを約束するもので、勤務先や周囲に事情が伝わることを心配されている場合に特に意味があります。
  • 清算条項:本件に関して双方にほかに債権債務がないことを確認するもので、後日、別の名目で請求が蒸し返されることを防ぐ役割があります。


 なお、合意書を交わした後であっても、接触の態様によっては、ストーカー規制法や各自治体の迷惑防止条例に違反する場合や、脅迫・恐喝にあたる場合があります。そのようなときは、別途、警察に相談することが考えられます。合意書は、こうした法的手段をとることを妨げるものではありません。条項の書き方については、接触禁止条項・口外禁止条項の書き方と限界もあわせてご覧ください。

同種のご相談をお考えの方へ

 この種のご相談では、多くの方が「自分で何とかしよう」と長い期間対応を続け、その間に状況が固まってしまっている様子が見られます。当事者同士では感情が絡むため落ち着いて条件を話し合うことが難しく、一度譲ると次も譲らざるを得ない関係ができてしまうこともあります。

 弁護士が代理人として入ることで、連絡の窓口が一本化され、ご本人が相手方と直接やり取りする必要がなくなります。そのうえで条件を書面にまとめ、はっきりとした区切りをつけることを目指します。

弁護士法人若井綜合法律事務所では、男女間のトラブルに関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。

関係の解消に応じてもらえない、連絡が止まらない、周囲に事情を知られるのが心配といったお悩みをお持ちの方は、お一人で抱え込まず、早めにご相談ください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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