【解決事例】交際中に受け取った自宅購入資金の一括返金を求められた|条件を確定させ接触禁止条項付きの合意書で解決した事例

若井亮

若井亮

テーマ:男女トラブル

※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。


交際中に受け取った援助について、別れ話を切り出したあとで返還を求められる――。男女間のトラブルのご相談では、このような場面に出会うことがあります。

 本記事では、交際相手から受け取った自宅購入資金について即時の一括返金を迫られた女性のご相談をもとに、法的な返還義務がないことを前提に交渉を進め、現実的な金額と時期を確定させたうえで、接触禁止条項を含む合意書を締結するまでの経緯をご紹介します。

ご相談の概要


項目内容
ご相談者Aさん(関東地方在住の女性)
相手方交際していた男性
ご相談内容交際中に受け取った自宅購入資金(500万円から600万円ほど)について、別れ話を機に返金を求められた
相手方の要求援助した金銭を、すぐに一括で返すこと
解決結果470万円を自宅の売却後に支払う内容で合意。接触禁止条項・違約金条項・清算条項を含む合意書を締結
解決までの期間ご依頼から約9ヶ月(不動産の売却完了を待って交渉)


ご相談までの経緯

「返す性質のお金ではない」と言われていた援助

 Aさんは、交際していた男性から、自宅を購入する際に500万円から600万円ほどの援助を受けていました。当時、相手方からは返す返さないという性質のお金ではないと説明されており、Aさんもそのように受け止めていました。

別れ話を切り出したあとに始まった返金の要求

 ところが、Aさんが関係の解消を申し出たところ、相手方の態度が変わり、援助した金銭を返すよう求められるようになりました。突然のことに動揺したAさんは、その場で「承知しました」と答えてしまいます。

 相手方はさらに、すぐに一括で返すよう要求しました。Aさんは自宅を売却して返金するつもりでいましたが、売却には一定の時間がかかり、すぐに用意できる金額ではありません。そもそも法的に返す義務があるのかどうかも判断できないまま要求が続いたため、当事務所にご相談いただき、そのままご依頼を受けることになりました。

弁護士の対応と交渉の経緯

受任通知の送付と窓口の一本化

 受任後、担当弁護士はすぐに受任通知を作成して相手方に送り、以後の連絡窓口を当事務所に一本化しました。Aさんが相手方と直接やり取りをしなくてよい状態を先に整えることが、この段階の目的です。

「返す義務があるから払う」のではなく「清算のために払う」

 次に、請求の法的な位置づけを整理しました。本件の援助は、交際中に相手方が自らの意思で渡したものであり、贈与にあたると考えられます。書面によらない贈与であっても、すでに渡し終えた部分は後から撤回できない扱いになっています(民法550条)。そのため、関係が終わったことを理由に返還を求めるのは、法的には難しいという見立てでした。実際、交渉の中では相手方自身も、返還を求める法的な根拠がないことを認めています。

 一方で、Aさんには、相手方との関係を完全に清算したいという強いご意向がありました。担当弁護士はこのご意向を尊重し、「返還義務があるから支払う」のではなく「一切の関係を清算するために支払う」という位置づけを明確にしたうえで交渉を進めました。

一括返金の要求には、売却の完了を待つ方針で対応

 即時の一括返金という要求については、自宅の売却が完了し、住宅ローンの返済や仲介手数料などの諸費用を精算して手元に残る金額が決まらなければ、支払える金額も時期も定まらないことを相手方に説明しました。そのうえで、売却の完了を待って交渉を本格的に進める方針をとっています。

 この間、相手方本人がAさんに直接声をかけてきたり、共通の知人を通じて連絡が入ったりする場面もありました。担当弁護士はそのつど、相手方に直接の接触を控えるよう伝え、Aさんには身の安全を優先した対応の仕方を助言しました。

手元の残金を踏まえた金額提示と合意

 売却の完了後、担当弁護士は、諸費用を精算した手元の残金をもとに、470万円までであれば支払う余地があることを提示しました。相手方からは感情的な反論も続きましたが、法的な根拠のない請求であること、交際中に自らの意思で贈与しておきながら関係の解消を機に返還を求めるのは一貫しないことを一つずつ説明し、最終的に470万円で合意に至りました。

解決結果と対応のポイント

合意書に盛り込んだ内容

 合意書には、次の内容を盛り込みました。

  • 支払う金額(470万円)と支払方法。
  • 今後、互いに連絡や接触をしないこと(接触禁止条項)。
  • 接触禁止に違反した場合の違約金。
  • 本件に関してほかに債権債務がないことを確認する清算条項。


 締結後は当事務所の預り金口座を経由して送金し、支払いが完了したことを確認しています。不動産の売却完了を待って交渉を進めたため、ご依頼から解決までは約9ヶ月を要しました。

本件の結果

 当初の要求と比べると、解決の内容は次のとおりです。

  • 500万円から600万円を即時に一括で返すという要求に対し、470万円を自宅の売却後に支払う条件で合意した。
  • 接触禁止条項と違約金条項により、今後の接触を控える取り決めを書面に残した。
  • 清算条項により、本件に関する債権債務をすべて清算した。
  • 交渉中の直接の接触にも弁護士がそのつど対応し、Aさんが自ら相手方と交渉しなくてよい状態を保った。


対応のポイント

 本件で結果につながったのは、支払うかどうかだけでなく、支払う場合の「位置づけ」と「条件」を先に固めたことです。清算のための支払いであることを明確にしたことで、法的な返還義務を認めたかのような形を避けながら、Aさんのご意向に沿った解決を図ることができました。また、支払える金額と時期が売却の結果によって決まることを相手方に伝え、無理のない範囲で条件を確定させた点も重要でした。

同種のご相談をお考えの方へ

贈与か貸付かが争いになることもあります

 交際中に相手から受け取った金銭について、別れ話をきっかけに返還を求められるというご相談は少なくありません。贈与として渡された金銭については、後から返還を求められても、原則として応じる義務はありません。もっとも、贈与だったのか貸付だったのかが争いになることもあります。この違いについては、別れた途端「これまでの金を返せ」と言われた|贈与と貸付の違いで詳しく解説しています。

その場の「返します」が請求の根拠にされることも

 本件のように、突然の要求に動揺してその場で「返します」と答えてしまうと、その言葉を根拠に請求が続けられることがあります。すぐに返事をせず、まずは渡された経緯や当時のやり取りを整理することが大切です。

支払うなら、条件を書面に残してから

 関係を清算するために支払うのであれば、金額と時期をご自身が実際に対応できる範囲に収めたうえで、接触禁止や清算条項を書面に残しておくことが大切です。書面がないまま支払うと、別の名目で請求が蒸し返されたり、接触が続いたりするおそれがあります。生活圏の近くで接近されている場合には、その点も含めて取り決めておくと安心につながります。条項の書き方については、接触禁止条項の書き方|今後の連絡を止める設計もあわせてご覧ください。

弁護士法人若井綜合法律事務所では、男女間のトラブルに関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。

交際していた相手から金銭の返還を求められてお困りの方、支払いを迫られて対応に悩んでいる方は、お一人で抱え込まず、一度ご相談ください。

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Mybestpro Members

若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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