【解決事例】食事に行っただけで「妻と職場にバラす」と脅され約40万円を請求された事案を、支払いゼロで解決
※本記事は、当事務所が実際にお受けしたご相談をもとに作成しています。ご依頼者のプライバシーに配慮し、事案の内容を一部変更しています。本文中の法令は2026年9月時点の内容にもとづいています。
関係を終わらせたいと伝えた相手から「家族に知らせるか、お金を払うか」と迫られ、言われるままに支払ってしまった。それでも要求は止まらず、次は300万円を求められた――。本記事では、そのような状況にあった男性のご相談について、弁護士が通告書を送ったことで請求が止まり、署名させられていた借用書も相手方から返ってきた経緯をご紹介します。
あわせて、口止めの見返りとして金銭を求められた場合の考え方や、脅されるような状況で書いた借用書の扱いについても、担当弁護士のコメントとして整理しています。
ご相談の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ご相談者 | 関東地方にお住まいの会社員の男性 |
| 相手方 | 交際関係にあった方 |
| ご相談のきっかけ | 関係の解消を申し出たところ金銭を求められ、69万円を支払ったうえで50万円の借用書を渡した。その後、期限を区切って300万円を求められ、自宅を訪ねて家族に借用書を渡すと告げられた |
| 懸念事項 | 家族に関係を知られること、自分で署名した借用書が相手方の手元にあること |
| 解決金 | なし(300万円の追加請求、借用書の50万円とも支払わずに終結) |
| 解決までの期間 | 通告書を送った当日に請求が止まり、3か月以上接触がないことを確認して終結 |
ご相談までの経緯
「家族に知らせるか、お金を払うか」と迫られた
ご相談者は、関東地方にお住まいの会社員の男性です。交際関係にあった相手方に関係を終わらせたいと伝えたところ、相手方の態度が変わりました。
相手方は、関係の解消に応じる条件として、家族に事実を知らせるか、金銭を支払うかのどちらかを選ぶよう迫りました。家庭への影響をおそれたご相談者は、支払うことを選びます。求められた金額は119万円で、ご相談者はこのうち69万円を支払い、残りの50万円については支払期日を記した借用書を作成して相手方に渡しました。
支払ったあとも要求は続いた
しかし、支払いによって話が終わることはありませんでした。相手方はその後も関係を続けるよう求め、ご相談者はこれにも応じざるを得ない状況が続きました。
数か月後、ある出来事をきっかけに相手方の態度は再び強まり、新たに300万円を期限までに支払うよう求めてきました。あわせて、ご相談者の自宅を訪ねて家族に借用書を渡し、関係を伝えるとも告げています。
ご相談者は何度も話し合いを試みましたが、相手方の姿勢は変わりませんでした。自分で署名した借用書が相手方の手元にあることもあり、これ以上ご自身だけで対応するのは難しいと考え、当事務所の男女トラブルのご相談窓口にお問い合わせいただき、ご依頼に至りました。
弁護士の対応と交渉の経緯
まず、請求に法的な根拠があるかを確認した
受任にあたり、担当弁護士は最初に、相手方の請求に法的な根拠があるかを検討しました。
本件で相手方が求めていたのは、関係を第三者に知らせないことの見返りとしての金銭です。交際関係を終わらせること自体は本来それぞれの自由であり、関係を解消したことを理由に金銭を支払う義務が生じるものではありません。口止めの見返りとしての請求についても、法的な根拠は見当たりませんでした。
課題は、すでに書いてしまった借用書だった
検討が必要だったのは、すでに作成されていた50万円の借用書です。ご相談者は脅されるような状況のなかでこれを書いており、強迫による意思表示として取消しを主張できる余地がありました(民法96条1項)。ただし、当時のやり取りを録音した記録などは残っておらず、強迫があったことを裏づけるのは容易ではない状況でした。
そこで当初は、借用書の50万円は約束どおり支払い、追加の300万円だけを断るという方針も検討しました。最終的に担当弁護士は、借用書についても作成の経緯に問題があることをはっきり指摘し、50万円と300万円のいずれにも応じられないと伝える方針を選びました。相手方から反論があれば、その時点であらためて条件を話し合えばよいという判断です。
通告書に盛り込んだ内容
通告書には、次の内容を明記しました。
- 相手方の一連の行為が、態様によっては刑事上の問題となりうること。
- ご相談者本人とそのご家族に接触しないこと。
- 本件に関する情報を第三者に伝えないこと。
- 今後の連絡はすべて代理人である当事務所宛てに行うこと。
メッセージアプリで送付し、窓口を当事務所に一本化した
通告書は、相手方本人に確実に届く方法として、ご相談者が相手方とのやり取りに使っていたメッセージアプリから送信していただきました。相手方が読んだことを確認できた時点で、ご相談者には相手方をブロックしていただき、以後の連絡窓口を当事務所に一本化しています。
送付の当日に連絡があり、借用書が返ってきた
通告書を送った当日、相手方から当事務所に連絡がありました。内容を確認したこと、必要がなければ折り返しは不要であることを伝えるものでした。
同じ日、ご相談者が通勤に使っているバイクに荷物が掛けられているのが見つかりました。中には、ご相談者が相手方に贈っていた品物とあわせて、50万円の借用書が入っていました。相手方が自ら返してきたものです。
借用書が返され、通告書の内容も相手方に伝わっていることから、担当弁護士は、こちらから改めて連絡を取る必要はないと判断し、しばらく経過を見守ることにしました。
その後、相手方からご相談者への接触も、当事務所への連絡もありませんでした。3か月以上、請求も接触もないことを確認したうえで、事件を終結しています。
解決結果と対応のポイント
- 300万円の追加請求には応じず、支払いなしで終結しました。
- 脅されるような状況で書いた50万円の借用書は相手方から返却され、その支払いを求められることもありませんでした。
- 通告書を送った当日に請求が止まり、その後はご相談者本人やご家族への接触もありませんでした。
- 3か月以上接触がないことを確認したうえで、事件を終結しました。
- 請求の根拠を確認し、借用書の作成経緯にも触れた通告書を送ったことが、早い段階での解決につながったと考えられます。
担当弁護士からのコメント
口止めの見返りとしての請求に、法的な根拠はありません
交際関係の解消をめぐり、「家族や勤務先に関係を知らせる」と告げられて金銭を求められるご相談は、当事務所にも少なからず寄せられています。
交際関係を終わらせること自体は本来自由であり、別れたことを理由に金銭の支払義務が生じるわけではありません。関係を第三者に知らせないことの見返りに金銭を求める行為は、その態様によっては恐喝罪(刑法249条)にあたる可能性があります。
なお、混同されやすい点ですが、不貞行為があった場合に慰謝料を請求できるのは、原則としてその配偶者です。関係を持った当事者どうしの間で、口止めの見返りとして金銭を求める法的な根拠があるわけではありません。
一度支払っても、要求が止まるとは限りません
本件で特にお伝えしたいのは、支払いに応じても事態が収まらなかったという点です。
ご相談者は119万円を求められて69万円を支払い、残額について借用書まで書きましたが、その後さらに300万円を求められています。一度支払いに応じると、相手方に「求めれば応じてもらえる」という受け止めを与えてしまい、金額や頻度が増していくことがあります。
「ここで払えば終わる」と考えて応じてしまうお気持ちは、よく分かります。ただ、支払いによって問題が区切れるとは限りません。早い段階で支払いを止め、請求に根拠がないことをはっきり伝えるほうが、結果として解決が早まる場合があります。
脅されて書いた借用書はどう扱われるのか
強迫を受けて作成した書面については、法律上、その意思表示を取り消せる場合があります(民法96条1項)。ただし、実際に取消しを主張するには、強迫があったことを示す必要があります。
本件でも、当時のやり取りを裏づける録音などは残っておらず、立証は容易ではありませんでした。それでも、作成の経緯に問題があることを法的な観点から指摘したところ、相手方は借用書を自ら返してきました。弁護士名義の書面が届いたことで、相手方の側でも、これ以上請求を続けることの問題を受け止めたものと考えられます。
同じような状況にある方は、できる範囲で記録を残しておくことをおすすめします。通話の録音、メッセージのやり取り、求められた日時と金額のメモなどは、後の交渉や手続きで大切な資料になります。
弁護士が窓口になると何が変わるのか
ご本人だけで対応していると、相手方は直接の連絡を通じて圧力をかけ続けることができます。連絡を断てば自宅や勤務先に来られるのではないかという不安から、結局は応じてしまう方も少なくありません。
弁護士が代理人として入ると、連絡の窓口が弁護士に一本化され、ご本人が相手方と直接やり取りする必要がなくなります。そのうえで、請求に法的な根拠がないことや、行為の態様によっては刑事上の問題となりうることを書面で伝えます。この段階で、請求を続けることのリスクを考えて手を引く相手方もいます。
本件では、ご相談者が何度話し合っても変わらなかった状況が、通告書を送った当日に動き、借用書の返却にまで至りました。
同種のご相談をお考えの方へ
この種のご相談では、「家族に知られたくない」という思いから誰にも相談できず、支払いを続けてしまっている方が少なくありません。相談が遅れるほど支払った金額は積み重なり、借用書や念書を書かされるなど、状況が込み入っていくことがあります。
関連する内容は、次の記事でも解説しています。
- 「バラすぞ」と言われた|秘密を人質に取られたときの考え方
- 脅されて署名した念書・示談書は有効か|「無効」と「取消し」の違い
- 払ってしまった後に取り戻せるか|恐喝・強迫を理由とする返還
- 【解決事例】「警察に話す」と迫られ示談金100万円を支払った後、250万円の追加請求を支払いゼロで解決した事例
関係の解消をめぐって金銭を求められている方、家族や勤務先に知らせると言われてお困りの方、脅されて借用書や念書を書いてしまった方は、お一人で抱え込まず、支払いに応じる前に一度ご相談ください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


