【カスハラ対策】カスハラ対応で従業員が休職した|労災と安全配慮義務

若井亮

若井亮

テーマ:不当要求

「常連のお客様からの電話対応を続けていた従業員が、先週から出勤できなくなりました。診断書には適応障害と書かれています。これは労災になるのでしょうか」。カスタマーハラスメントに関するご相談は、こうして休職が始まってから寄せられることが少なくありません。同時に、休職した従業員の側から「会社が労災の書類に記入してくれない」「復職できないなら辞めてくれと言われた」というご相談を受けることもあります。

 カスハラが2023年に精神障害の労災認定基準へ書き加えられたこと、事業主が安全配慮義務を負っていること。この2点は、多くの記事で説明されています。ただ、そこで止まってしまうと、実際に休職が起きた場面で会社が判断を迫られる部分――労災の請求にどう関わるのか、休んでいる間の賃金は誰が負担するのか、休職期間が満了したときに雇用をどう扱うのか――が見えないままになります。

 この記事では、カスハラ対応をきっかけに従業員が休職したときに動き始める手続を、労災保険・雇用の扱い・損害賠償の3つに分けて整理します。2026年10月1日から始まる措置義務の全体像は別稿「【2026年10月施行】カスハラ対策が義務に|アルバイト1人の店も対象です」に、正当な苦情との線引きは別稿「正当なクレームと悪質クレームの線引き」に、日ごろの安全配慮の中身は別稿「従業員・アルバイトがカスハラを受けている|個人事業主の安全配慮義務」に譲り、本稿は休職が起きた後の場面に絞ります。

1.休職が起きた時点で、3つの筋道が同時に動き始める

 カスハラが原因とみられる休職では、性質の異なる3つの手続が並行して進みます。これらは判断する主体も、判断の基準も別のものです。ひとつの結論が他の2つを自動的に決めるわけではありません。

筋道判断するのは誰か会社の側で押さえる点
労災保険の給付労働基準監督署長請求するのは従業員本人。会社は証明と資料提供の場面で関わる
雇用の扱い(休職・復職・退職)会社(ただし法律上の制限がある)療養のための休業中は解雇に制限がかかる
会社への損害賠償当事者間の協議、最終的には裁判所労災の認定とは別に、予見できたか・避けられたかが問われる


「労災かどうか」を決めるのは会社ではない

 業務上の疾病に当たるかどうかを判断するのは、労働基準監督署長です。会社が「これは労災ではない」と考えていても、その判断で請求そのものを止めることはできません。逆に、会社が労災だと考えても、それで給付が決まるわけでもありません。会社の役割は、結論を出すことではなく、事実関係を正確に伝えることにあります。

労災に当たることと、会社が賠償責任を負うことは別

 労災保険は、使用者の落ち度の有無を問わずに給付が行われる仕組みです。一方、会社に対する損害賠償は、安全配慮義務に反する点があったかどうかを問うものです。判断の枠組みが違うため、労災と認定されたことがそのまま賠償責任の結論になるわけではありません。この点は第7章で改めて扱います。

2.カスハラは労災の認定基準にどう書かれているか

 根拠となるのは、厚生労働省の「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(令和5年9月1日付け基発0901第2号)です。2023年の改正で、この認定基準に新しい項目が加わりました。

「特別な出来事」ではなく、具体的出来事の一つ

 解説記事のなかには、カスハラが「特別な出来事」として追加されたと書いているものがあります。認定基準の本文に当たると、そうではありません。追加されたのは、別表1「業務による心理的負荷評価表」の項目27「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」という具体的出来事であり、平均的な心理的負荷の強度は3段階の真ん中の「Ⅱ」とされています。

 「特別な出来事」は、生死に関わる病気やけが、他人を死亡させた事故、意思を抑圧して行われたわいせつ行為、発病直前1か月におおむね160時間を超える時間外労働など、それだけで「強」と判断される限られた類型です。カスハラはここには含まれていません。つまり、顧客からの迷惑行為があったという事実だけで労災と決まるものではなく、内容と程度、その後の経過を総合して評価されます。

3つの要件がそろって初めて業務上と扱われる

 認定基準は、次の3つをいずれも満たすことを求めています。

  1. 対象となる精神障害を発病していること。
  2. 発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。
  3. 業務以外の心理的負荷や個体側の要因によって発病したとは認められないこと。


 なお、認定基準にいう「著しい迷惑行為」は、暴行、脅迫、ひどい暴言、著しく不当な要求等を指すと注記されています。

評価するのは本人の受け止め方ではない

 心理的負荷の強さは、本人が主観的にどう受け止めたかではなく、同じ職種・立場・経験の労働者が一般にどう受け止めるかという観点から評価されます。従業員の訴えを軽く扱ってよいという意味ではありませんが、感じ方の強さだけで結論が決まる仕組みでもありません。

3.「強」と判断されるかどうかを分けるもの

 実務で最も見落とされやすいのが、この部分です。項目27で心理的負荷が「強」になる例として、認定基準は次のような場合を挙げています。

  • 顧客等から、治療を要する程度の暴行等を受けた。
  • 顧客等から、暴行等を反復・継続するなどして執拗に受けた。
  • 顧客等から、人格や人間性を否定するような言動を反復・継続するなどして執拗に受けた。
  • 顧客等から、威圧的な言動などその態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える著しい迷惑行為を、反復・継続するなどして執拗に受けた。
  • 心理的負荷としては「中」程度の迷惑行為を受けた場合であって、会社に相談しても、又は会社が迷惑行為を把握していても適切な対応がなく、改善がなされなかった。


会社の対応が、評価そのものに組み込まれている

 最後の一つに注目してください。顧客の行為が単独では「中」にとどまる程度であっても、相談を受けた会社が動かず改善もされなかったときには、「強」と判断され得ると書かれています。認定基準は「心理的負荷の総合評価の視点」としても、会社の対応の有無及び内容、改善の状況等を挙げています。さらに、職場の支援・協力が欠如した状況であることは総合評価を強める要素になるとも明記されています。

 これは、措置義務や安全配慮義務とは別に、日常の対応の記録が労災の場面でも意味を持つということです。相談を受けた事実、その後に何をしたか、状況が変わったかどうか。ここが空白のままだと、後から説明する材料が残りません。記録の作り方については別稿「クレーム対応の記録の残し方|あとで警察・弁護士が動ける形にする」で扱っています。

繰り返された言動は、まとめて一つの出来事として評価される

 ハラスメントのように出来事が繰り返される場合、認定基準は、繰り返される出来事を一体のものとして評価し、それが継続する状況は心理的負荷が強まると評価するとしています。評価期間は発病前おおむね6か月ですが、その前から始まっている場合でも、6か月の期間に継続しているときは開始時からのすべての行為が評価の対象になります。

 また、「執拗」は回数だけで決まるものではありません。一度の言動でも、比較的長時間に及び、行為態様も強烈で悪質性を有する等の状況がみられるときには「執拗」と評価すべき場合があるとされています。長時間の居座りや長電話が1回あっただけだから対象外、と整理することはできません。

4.労災の請求は誰が、どこに出すのか

請求するのは本人。会社が代わりに決めるものではない

 労災保険の給付は、被災した従業員本人(死亡事案では遺族)が、事業場を管轄する労働基準監督署長に請求します。治療費については療養補償給付、休んだ期間の所得については休業補償給付(請求は様式第8号)という区分です。会社が請求を代行する制度ではありませんし、会社の同意が請求の条件になっているわけでもありません。

事業主証明を求められたときの考え方

 請求書には事業主が証明する欄があります。労働者災害補償保険法施行規則23条1項は、本人が手続を行うことが困難な場合に助力することを、同条2項は証明を求められたときに速やかに証明することを、事業主に求めています。

 ここで証明するのは、発病の年月日や災害の原因・発生状況といった事実であって、「これは労災です」と会社が認めることではありません。記載内容に異なる認識がある場合は、その部分を証明できない旨を記載したうえで、同規則23条の2に基づき労働基準監督署長に意見を申し出る方法があります。実務では、証明を留保した場合に理由書の提出を求められる運用がとられています。

 業務起因性に疑問があるからという理由だけで、説明もないまま記入を断ると、従業員との関係が悪化し、後の紛争の火種になりやすい部分です。異論があるなら、その異論を出す先は従業員ではなく労働基準監督署である、と整理しておくほうが進めやすくなります。

請求できる期間には区切りがある

 労災保険給付を受ける権利には時効があります(労働者災害補償保険法42条)。療養補償給付・休業補償給付・葬祭料・介護補償給付は2年、障害補償給付・遺族補償給付は5年です。休業補償給付の時効は、休業した日ごとに進行します。

5.休職している間のお金は誰が負担するのか

 「休んでいる間の給与を会社が払うのか」というご質問は、初回のご相談で最も多いものの一つです。業務上の疾病として扱われる場合の骨格は次のとおりです。

区分根拠負担する側
休業の初日から3日目まで(待期期間)労働基準法76条会社(平均賃金の60パーセント以上)
休業4日目以降労働者災害補償保険法14条労災保険(給付基礎日額の60パーセント)
上乗せされる休業特別支給金労災保険の特別支給金制度労災保険(給付基礎日額の20パーセント)
労災に当たらないと判断された場合健康保険法99条健康保険(傷病手当金)


最初の3日間は会社が補償する

 業務上の負傷・疾病で療養のため休業する場合、使用者は平均賃金の60パーセント以上の休業補償を行う義務を負います(労働基準法76条)。4日目以降は労災保険から給付が行われ、その限りで使用者は補償の責を免れます(同法84条1項)。見落とされやすいのは、この待期3日間の扱いです。休日を含めて連続した3日を数えるため、給与計算が済んだ後に遡って支給する必要が生じることもあります。なお、通勤災害には労働基準法上の補償規定がないため、待期期間の扱いは異なります。

健康保険の傷病手当金との関係

 傷病手当金は、業務外の事由による療養を対象とする給付です(健康保険法99条)。同じ休業について労災保険の休業補償給付と重ねて受けられるものではありません。実務でよくあるのは、労災の判断が出るまで数か月かかり、その間の生活費が不足するという場面です。労災が不支給と判断された場合には、その後に傷病手当金を請求することが考えられますので、健康保険の側の時効にも注意して進める必要があります。

6.雇用をどう扱うか

療養のための休業中は解雇に制限がかかる

 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間は、使用者は解雇することができません(労働基準法19条1項本文)。復職の見込みが立たないという理由だけでこの制限が外れるものではありません。

 例外は限られています。使用者が同法81条の打切補償を支払う場合と、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合で、後者は行政官庁の認定を受ける必要があります(同条2項)。

就業規則の休職期間が満了したとき

 休職制度は法律上の制度ではなく、就業規則などで会社が定めているものです。そのため、私傷病休職の規定をそのまま業務上の疾病に当てはめると、休職期間の満了と労働基準法19条の解雇制限が衝突します。

 この点について最高裁は、労災保険法の療養補償給付を受けている労働者も、解雇制限との関係では労働基準法75条により補償を受ける労働者に含まれるとしたうえで、療養開始後3年を経過しても治らない場合に使用者が打切補償(平均賃金の1200日分)を支払えば、同法19条1項ただし書により解雇制限が解除されると判断しました(最高裁平成27年6月8日判決)。もっとも、この判決は解雇制限が外れるという判断であって、その解雇が権利の濫用に当たらないかは別に審理すべきものとして差し戻されています。解雇制限が外れることと、解雇が有効になることは同じではありません。

 なお、傷病補償年金を受けている場合には、療養開始後3年を経過した日等において打切補償が支払われたものとみなされます(労働者災害補償保険法19条)。

7.会社の賠償責任が問題になる場面

問われるのは、予見できたか・避けられたか

 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする義務を負います(労働契約法5条)。この義務に反したことで従業員が損害を受けた場合、債務不履行または不法行為として賠償責任が問題になります(民法415条、709条、715条)。

 カスハラの場面で具体的に検討されるのは、被害の申告や相談を受けていたか、受けたうえで担当替え・複数対応・対応の打切りといった手当てをしたか、記録や引継ぎがあったか、といった点です。認定基準が「会社の対応の有無及び内容、改善の状況」を評価の視点に挙げているのと、着眼点は重なります。

上司の側の対応そのものが問われた例

 小学校の教諭が、家庭訪問先で飼い犬にかまれて負傷した後、校長から保護者への謝罪を求められたことなどによりうつ病を発病して休職した事案で、裁判所が地方公共団体の損害賠償責任を認めたものがあります(甲府地裁平成30年11月13日判決)。この事案は公立学校の教職員に関するもので、根拠となる法律は民間企業の場合と異なりますが、顧客等からの被害を受けた従業員に対して、会社の側がどう振る舞ったかが独立して評価され得ることを示しています。厚生労働省のカスタマーハラスメント対策企業マニュアルでも取り上げられている事案です。

労災の給付を受けていても、賠償の話は残る

 労災保険から給付を受けた場合、同一の事由について会社が支払うべき損害賠償額からは、その給付の限度で控除されるという調整が働きます。一方で、休業特別支給金などの特別支給金は、保険給付とは性質が異なるものとして、損害賠償額から控除されないという扱いが定着しています。また、慰謝料は労災保険の給付の対象ではありません。労災が認められたからといって、賠償の問題が終わるわけではないという点は、双方が誤解しやすいところです。

8.労災と認定されたことに納得できない場合

 「労災と認定されると、会社が責任を認めたことになるのではないか」「保険料が上がるのではないか」というご質問をよく受けます。制度の建て付けを分けて考える必要があります。

 まず、労災保険給付の支給決定そのものについて、事業主が取消訴訟を起こすことはできないとされています。最高裁は、メリット制の適用を受ける特定事業の事業主について、労災支給処分の取消訴訟の原告適格を有しないと判断しました(最高裁令和6年7月4日判決)。他方で同判決は、保険料の認定処分に対する不服申立てや取消訴訟のなかで、支給要件を満たさない給付額が保険料算定の基礎とされたことを主張できるという道筋を示しています。争う対象と手続を取り違えると、期間の制限だけが過ぎてしまいます。

 もう一点、メリット制は一定規模以上の事業場を対象とする制度で、労働者数が100人以上、または20人以上で一定の条件を満たす事業場などが対象です。従業員が数名の店舗や事務所では、そもそも保険料の増減に結び付かない場合が多くあります。保険料を理由に労災の請求を避けるという発想は、前提の面でも実益の面でも成り立ちにくいものです。

9.休職の連絡を受けたら、会社の側で進めること

 順序としては、次の流れで進めるのが実務的です。

  1. 診断書を受け取り、休業の開始日と見込み期間を確認する。
  2. 本人の負担にならない範囲で、いつ・誰から・どのような言動があったかを聴き取り、記録として残す。
  3. 相談記録、通話履歴、防犯カメラ映像、予約サイトのやり取りなど、時間の経過で失われる資料を先に保全する。
  4. 労災の請求意向を確認し、事業主証明の求めがあれば事実に沿って対応する。異論がある部分は労働基準監督署に意見を申し出る。
  5. 待期3日間の休業補償を含め、賃金・社会保険料の取扱いを本人に書面で伝える。
  6. 同じ相手方への対応方針(担当替え、複数名対応、対応の打切り、警察への相談など)を決め、現場に共有する。


 なお、労働者死傷病報告(労働安全衛生法100条、労働安全衛生規則97条)については、条文が「負傷、窒息又は急性中毒」による死亡・休業を挙げている一方で、精神障害による休業についても提出を求める運用が案内されている例があります。判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署に確認してから進めるほうが行き違いが少なくなります。

10.避けたい進め方

 ご相談を受けていて、後から立て直しに手間がかかったと感じる進め方をまとめます。

  • 労災かどうかを会社が結論づけ、その前提で本人に「労災ではない」と伝えてしまう。
  • 事業主証明の記入を、理由を説明せずに断る。
  • 私傷病休職の規定をそのまま当てはめ、休職期間の満了だけを根拠に退職扱いとする。
  • 相談を受けた記録を残さないまま、口頭のやり取りだけで対応を終える。
  • 本人が休職に入った後も、同じ相手方への対応方針を見直さないまま現場に任せる。


 また、相談したことや労災を請求したことを理由に、不利益な取扱いをすることは避けてください。2026年10月1日から施行される改正労働施策総合推進法では、カスハラの相談等を理由とする不利益取扱いが禁止されています。

よくあるご質問

労災の請求に会社が協力すると、責任を認めたことになりますか

 事業主証明は、発病の年月日や災害の原因・発生状況といった事実についての証明であり、業務上の疾病であることを会社が認定するものではありません。業務起因性を判断するのは労働基準監督署長です。認識が異なる部分については、証明できない旨を記載し、労働基準監督署長に意見を申し出る方法があります。

顧客の言動が1回だけでも労災になりますか

 回数だけで決まるものではありません。認定基準は、繰り返し行われている場合を「強」の例として挙げる一方、一度の言動であっても、比較的長時間に及び、行為態様も強烈で悪質性を有する等の状況がみられるときには「執拗」と評価すべき場合があるとしています。治療を要する程度の暴行を受けた場合も「強」の例に挙がっています。

カスハラをした顧客本人に、会社から請求できますか

 従業員が受けた精神的損害の賠償は、原則として被害を受けた本人が請求するものです。会社としては、営業を妨害されたことによる損害や、来店の禁止を求める仮処分といった別の手段を検討することになります。相手方への対応と、従業員に対する会社の責任の問題は、切り離して考える必要があります。

まとめ


  1. カスハラは「特別な出来事」ではなく、心理的負荷評価表の項目27という具体的出来事として位置づけられ、平均的な心理的負荷の強度は「Ⅱ」です(令和5年9月1日付け基発0901第2号)。
  2. 心理的負荷が「強」になる例には、会社に相談しても適切な対応がなく改善がなされなかった場合が含まれており、会社の対応が評価そのものに組み込まれています。
  3. 労災の請求は本人が行い、判断するのは労働基準監督署長です。事業主証明は事実の証明であり、異論は同規則23条の2に基づき意見として申し出ます。
  4. 休業の初日から3日目までは会社が平均賃金の60パーセント以上を補償し(労働基準法76条)、4日目以降は労災保険から給付されます(労働者災害補償保険法14条)。
  5. 業務上の疾病で療養のため休業する期間とその後30日間は解雇が制限されます(労働基準法19条1項)。打切補償で制限が外れても、解雇の有効性は別に判断されます(最高裁平成27年6月8日判決)。
  6. 労災の認定と会社の賠償責任は別の枠組みです。特別支給金は損害賠償額から控除されず、慰謝料は労災保険の対象外です。
  7. 事業主は労災の支給決定そのものを争えませんが、保険料の認定処分については争う余地があります(最高裁令和6年7月4日判決)。メリット制の対象規模にも留意してください。


カスハラによる休職への対応をご検討中の方へ

 弁護士法人若井綜合法律事務所では、カスタマーハラスメントをはじめとする不当要求に関するご相談を、池袋と新橋の事務所でお受けしています。従業員が休職に入った場面では、労災保険・雇用の扱い・相手方への対応という性質の異なる問題が同時に動き出すため、どの順序で何を決めるかによって、その後の負担が変わってきます。

 従業員が休職して対応に迷っている事業者の方も、カスハラを受けて働けなくなり会社とのやり取りに困っている方も、状況を伺ったうえで整理いたします。資料が手元にそろっていない段階でも構いません。まずはご相談ください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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