【管理職向け】成果に直結する行動へ導く|部下の“やりきれない”を防ぐ優先順位設計ステップ[実行マネジメント②]

弥左大志

弥左大志

テーマ:実行マネジメント

なぜ、部下は“やりきれない…&成果が出ない”状態に陥るのか?

こんな悩みはありませんか?

  • 「あれもこれもと抱え込み、動いてはいるが“空回り”している」
  • 「部下がタスクをこなしてはいるが、成果に直結していない」
  • 「結局“どこから手を付けるべきか”が分からず、進みが遅い」

このような状態は、“やる気がない”のではなく、
優先順位付けや行動設計の技術が不足していることが原因です。
管理職がその設計を支援することで、部下の行動は大きく変わります。

背景にある構造的な問題と影響

業務の複雑化とスピード化が進む中で、
「成果に直結する行動」と「やった気になってしまう行動」を分ける力が求められています。
しかし現場では:

  • 「全部やらなければ」という思い込みでリソースが分散
  • やるべきことの整理方法が未定義で、経験や勘で行動させてしまう
  • 成果が出ないことに焦り、さらに行動量のみを増やしてしまう

このような構造により部下は、

  • 【現在】「忙しいのに成果が出ない」状態が常態化し、
  • 【未来】離職やメンタル不調につながる恐れがあります。


解決のカギは、「優先順位設計」

弊社では、クライアント企業の成果創出を何より重視し、
“再現性あるマネジメント”として「部下の行動設計支援」を支える仕組み
を構築し、実行サポートも含めた研修を実施してきました。
なかでも、次の2つの視点が行動集中には不可欠です。

成果につながる“選ばせ方”の2つの視点

1)20:80の法則で削る

「100の成果のうち、80は20の行動が生み出している」
→ まずこの“20%の行動”を特定し、徹底させる。

2)SCIで優先順位をつける

  • S(Speed):成果が早く出るのは?
  • C(Cost):時間やコストがかからないのは?
  • I(Impact):成果のインパクトが大きいのは?

この2つを用いて、「何を最優先にするか」を整理します。
KPI

導入ステップ ~具体事例で読み解く~

今回は「アポイントがなかなか取れない」という課題に直面している営業担当者を例に、
管理職が行うべき“優先順位設計”支援の流れを整理します。

【Step1】アポイント取得のための行動を洗い出す(複数案)

部下に「アポを増やしたい」と言われたとき、まず行動を分解・列挙します:

  1. 架電件数を増やす
  2. 架電のトーク(質)を改善する
  3. 過去接点顧客への再アプローチを行う
  4. メール/DMとの組み合わせによる接触手段を変える
  5. 対象リストの質(ターゲティング精度)を見直す
  6. 初回接触後のフォロー頻度・方法を見直す

【Step2】20:80の法則を用いて“想定される1つ”に絞る

営業成果に影響する要素は数多くありますが、
実際の現場でヒアリングをすると「リストの質・過去接点顧客アプローチ」と「トークの質」がボトルネックであるケースが非常に多く見られます。
ここでは「2.トークの改善(質)」を最重要アクションと判断します。

【Step3】“トーク改善(質)”に対する具体的な対策案(複数)

以下のような改善策が挙げられます:

  • A. トップ営業のトークを録音して社内で共有
  • B. 週1回のロールプレイ研修(上司またはペアレビュー)
  • C. トークテンプレートを見直し、2パターン以上用意
  • D. 営業心理を学ぶ外部研修を受講させる
  • E. 架電結果をExcelで分析し、反応の良いトークを抽出

【Step4】SCI(Speed/Cost/Impact)で相対評価

対策Speed(成果の早さ)Cost(コスト・手間)Impact(成果インパクト)
A. トップ営業の音声確認○(確認時間)◎(低コスト)○(やや汎用性:低)
B. ロールプレイ研修◎(早期:可)○(上司時間:要)○(改善効果:中)
C. トーク改訂△(遅め)○(設計時間:中)◎(改善内容により強力)
D. 外部研修受講△(月単位)△(高コスト)◎(刺激・学習:有)
E. 架電分析と抽出△(遅め)◎(データのみ)△(分析精度次第)

【Step5】優先順位の整理(短期・中期視点)

■ 短期で成果を出すなら…
→ A. トップ営業のトーク共有+B. ロールプレイ研修 (即時導入可能で、成果へのインパクトが高い。社内資源だけで改善に着手できる)
■ 中期で行動を定着させるなら…
→ C. トークテンプレ改訂を仕組みに組み込む (複数パターンを整備し、ターゲット別に使い分ける体制づくりへ。育成・チーム共有にも有効)

導入に向けて

管理職の「仕組み支援」が、部下の成果を変える

部下にとっての最適解は、「指示」ではなく、「構造化された支援」です。
管理職がやるべきは、“判断の土台(数値・構造)”を一緒に整えること。

対象者は部下と管理者(マネージャー)自身

本コラムは、主に管理職(マネージャー/リーダー層)向けに構成されています。
ただし、以下の方々にも非常に有効です:

  • 自身のKPIや行動設計を見直したいマネジャー本人
  • 成果につながるアクションに絞りたい若手・中堅社員/営業担当者

「やるべきことが多い」のではなく、「選べていないだけ」。
“優先順位付けとKPI設計”という武器を、管理職の手に。

成果に直結する行動を明確にし、部下の成長と成果の両立を支援していきましょう。

このコラムの内容は、以下のような企業様に特におすすめです:

  • 管理職研修・マネジメント研修をご検討中の企業様
  • 管理者の育成やミドル層の再教育に課題を感じている企業様
  • 管理職とはどのようなことをするべきか、また部下育成の仕組みを整えたい人事・経営層の皆様

弊社では、管理者育成・マネージャー研修・組織マネジメント支援を一貫してご提供しています。
貴社にあった“成果の出るマネジメント支援”をお求めの際は、お気軽にご相談ください。

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弥左大志
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