【管理者向け】PDCAが回らない本当の理由とは?成果が出る“高速PDCA”の実践法 [実行マネジメント(統合)]

弥左大志

弥左大志

テーマ:実行マネジメント

現場で繰り返される「PDCAが回らない」現状

「改善できないチーム」に共通する課題とは

  • 「PDCAを回しているつもりなのに成果が出ない」
  • 「改善策は出ているのに何も変わらない」

といった悩みは、今や多くの管理職が直面している現実です。
定例の振り返り会議やKPI進捗の確認をしていても、実際にはチームの成果が上がらないという状態が続いています。

背景にある構造的な問題と影響

PDCAがうまく回らない根本的な理由は、マネジメント構造の欠如です。
特に管理職のマネジメントスキル不足によって、以下のような事象が発生しやすくなります。

  • Planが曖昧なままスタートし、Doの実行が属人的になる
  • CheckとActの振り返りと改善が遅くなる
  • 標準化されないため、再現性が生まれない
  • マネジメント構造が欠如し、成果に結びつかな

成果が出る“高速PDCA”の実践法

弊社では、クライアント企業の成果創出を何より重視し、現場で“使える”マネジメントの再現性にこだわってきました。PDCAを体系化し、仕組み化および実行支援を一貫してご提供しています。

【フレーム1】PDCAを高速回転させる全体像

PDCAを単なる理論としてではなく、日々の業務と育成に即したフレームとして機能させるには、以下の7つの要素を意識的に組み込む必要があります。
以下は、成果を出すために必要なPDCA-Sの構成要素です:

タスク内容対応する管理領域
(1)課題特定方針・意思決定の明確化方針決定
(2)目標設定KGI/KPI+スキル目標の設計目標管理
(3)研修実施成長要素に対する教育成長管理
(4)高い実行力・スピードモチベーション維持・納得感醸成モチベーション管理
(5)現場実践力タスク・行動・プロセス設計行動管理
(6)案件レビュー/プレビュー案件単位での障害要因の明確化案件管理
→ 再び(1)へ成果から逆算して再び課題特定Check/Act

この構造によって、PDCAを週単位でも回せるような“高速回転型マネジメント”が実現します。
PDCAサイクル

【フレーム2】PDCA-Sによる再現性の仕組み

PDCAに「S=Standardization(標準化)」を加えることで、再現性のある成果が生まれます。

CheckとActの質とスピードが問われる

  • Check:誰が、何を、どのタイミングで確認するかを明確にする
  • Act:改善策を「育成」と「仕組み」に分解し、即時に反映する
  • Standardization:成功パターンをテンプレート・形式知化してチームに展開

PDCA

実践ステップ(具体的事例を使って読み解く)

Step1:課題設定(P:方針・意思決定)

  1. 例:今期のチーム成果が出ていない要因を、プロセス・個人・顧客要因に分解
  2. 対応:どの領域にアプローチすべきかを決定し、育成or仕組みの方針を固める

コラム:【実マネ② | 対策_絞込】部下が”やりきれない”…。「成果の出る"SCI"優先順位付け
コラム:【実マネ③ | 課題_特定】部下の“課題”が分からない…。課題特定3要素の導入ステップ

Step2:目標設定(P:KPI+スキル目標)

  1. 例:KGI=月300万円受注、KPI=週30件接触、スキル目標=商談展開力
  2. 対応:定量+定性の両側面で目標を設定し、Doの“行動設計”へつなぐ

コラム:【実マネ④ | 目標_設定】目標設定がズレていませんか?“成果につながる“KPI設定3視点

Step3:研修の設計と実施(D:成長管理)

  1. 例:OJTでのロールプレイ+営業ツールの活用トレーニング
  2. 対応:知識・スキル不足に対して、定着支援と振り返りを組み込む

コラム:【実マネ⑥ | 成長_促進】部下育成で「なぜ学びが定着しないのか?」 “成長マネジメント

Step4:実行力の強化(D:モチベーション管理)

  1. 例:質問数・納得度・行動量などの指標をKPIと連動させてチェック
  2. 対応:感情要素(不安・理解度)にも踏み込み、内発的動機を高める

コラム:【実マネ⑧ | モチベーション】部下の“やる気が出ない”のは“視点のズレ”? モチベーション管理

Step5:行動管理(D:現場実践力)

  1. 例:1日3件以上アポ取得、報告は1時間以内、タスク逆WBS化
  2. 対応:具体的なToDoに落とし込み、1on1で進捗レビューを実施

コラム:【実マネ⑤ | 行動_やり切らせる】「やり切れない部下」を”最後までやりきらせる”行動管理

Step6:案件管理(D→C/A)

  1. 例:商談での失注理由→ニーズ不明確→質問力不足→練習項目に落とし込む
  2. 対応:BANT観点で障害要因を抽出し、アクションプランを立てる

コラム:【実マネ⑦ | 案件_サポート】「同じ相談が繰り返される…」脱却!1on1で部下育成に効く案件管理

Step7:再度の課題特定(C→A)

Doの結果を見て再度「どこにズレがあったのか」を特定し、Planに戻る

補足:ステップ全体を「育成×仕組み」の視点で設計する

このステップ構成は、「部下の能力開発」と「成果の再現性向上」を両立することを目的としています。

上流工程(Step1〜2)では「意思決定・方向性の言語化」

何を課題と捉え、どこにエネルギーを集中すべきかを明文化することが、すべてのスタートになります。ここでの判断がズレると、以降の施策も全て的外れになってしまいます。

中間工程(Step3〜5)では「実行力の支援と見える化」

目標達成に必要な知識・スキルをどう習得させるか(研修)と、それを現場でどう実行させるか(モチベーション・行動管理)の2軸で支援を構築します。納得度や行動量、報告スピードといった“行動の質”も可視化することで、Doフェーズの実行精度が格段に高まります。

下流工程(Step6〜7)では「個別案件ベースでの振り返りと

案件単位で「なぜ成果が出なかったか/出たのか」を明確にし、そこから再び「組織として何を仕組みに落とすか」「どこを育成するか」を特定する。このサイクルが定着することで、PDCAは自然と“回るもの”になっていきます。

このように、1つひとつのステップが単体で存在しているのではなく、全体として「高速PDCAサイクル」を構成しています。
導入当初は、ステップごとに実行状況を確認する「チェックリスト」や「振り返り会議」などを併用することで、仕組みとして定着させやすくなります。

実践に向けたチェックリスト

PDCA-Sフェーズマネジメント能力不足により起こりがちな問題
P(計画)現状把握が曖昧/課題特定の視点がズレる/施策と行動がつながらない
D(実行)抽象的指示しか出ていない/納得形成ができず、行動が止まる/実行の「型化」がない
C(確認)放置型マネジメント/確認が遅く、手遅れになる/行動や数値の「意味」が読み取れない
A(改善)育成偏重 or 仕組み偏重/原因の構造的把握ができない
S(標準化)成功の要因が言語化されていない/属人化/再現できる仕組みが存在しない

PDCAチェックポイント
PDCAチェックポイント

最後に

PDCAは単なる理論ではなく、マネジメント構造として設計し、習慣化・標準化していくことが成果の再現性を高める鍵です。
仕組みとしてのPDCA-Sを活用すれば、管理職は部下の育成と成果の両立が可能になります。

このコラムの内容は、以下のような企業様に特におすすめです:

  • 管理職研修・マネジメント研修をご検討中の企業様
  • 管理者の育成やPDCAが停滞している中小企業様
  • 成果の再現性を高めたい経営者・人事担当者の皆様

弊社では、管理職育成・マネジメント支援を一貫してご提供しています。
成果に直結するPDCA-S導入をお求めの際は、ぜひご相談ください。

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弥左大志
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弥左大志(経営コンサルタント)

株式会社バリュー・コア・コンサルティング

企業にあわせた「勝ちパターン」を見出し、誰でも再現できる仕組みを構築。研修を起点に、現場での実行までサポートします。120%以上の売り上げアップの実績を誇り、金融機関やファンド会社からの依頼も多数。

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