【管理職向け】部下のモチベーションが低い原因は?管理職が知るべき4つの改善視点 [実行マネジメント⑧]
「この案件、どう進めたらいいですか?」が続く状態から脱却するには
「同じような案件で毎回相談されてしまう」「メンバーの成長スピードに差がある」「自分で考えさせたいが、どう指導すればいいかわからない」
多くの管理職がこうした悩みを抱えています。
特に営業現場では、“案件レビューの質”がメンバーの成長を左右すると言っても過言ではありません。
また、これらの相談が頻発することで、1件あたりのレビューにかける時間が膨大となり、全員に目が行き届かなくなるという課題にもつながります。
背景にある構造的な問題と影響
管理職が1on1でアドバイスする際、体系立てたレビューや育成ステップを持たずに場当たり的な対応をしてしまうと、以下のような問題が生じます:
- アドバイスの属人化
- 教えすぎによる依存体質の助長
- 案件の質的変化に対応できない
- レビューに時間がかかりすぎて、すべての案件を支援しきれなくなる
育成視点の欠如により、案件進捗だけでなく部下の成長機会を逸してしまうのです。
1on1を活用した案件レビューで成果を最大化する方法とは
弊社では、クライアント企業の成果創出を何より重視し、現場で“使える”マネジメントの再現性にこだわってきました。
成長を促進させるための理想の1on1を実施するために必要な行動原則を、以下の3つに体系化し、仕組み化及び実行サポートをしています。
【フレーム1】人材育成のための教育手法の選定(5段階の育成ステップ)
| ステップ | 育成段階 | 補足説明 |
|---|---|---|
| 1 | 凡事徹底 | ツールや仕組みがあれば成果が出るため、“当たり前”の基準をつくって徹底する |
| 2 | 仕組み化(ツール化) | 話すことができるが、ツールや仕組みによる補填が必要 |
| 3 | 教育(トレーニング) | 一つ一つの案件に対する判断はできるが、トーク内容の修正や精度向上が必要 |
| 4 | レビュー・プレビュー | 同行しなくてもパフォーマンスは出せるが、案件ごとに判断や助言を要する |
| 5 | 同行・同席 | 案件に対する進め方自体がわからず、同行しなければ成果に結びつかない |
ステップアップのためには現在地の把握が重要
この5段階は、部下の能力を正しく想定し、成長ステップを上げていくことが重要です。
管理職の工数(時間や労力)にも関わるため、部下が今どのステージにいるのかを把握することが育成効率を左右します。
【フレーム2】ハードルベースでのHARP手法(案件レビューの型)
- Hurdle:障害となる要因を洗い出す
- Action:その解決策を考える
- Reaction:相手の反応を事前に想定する
- Push:さらに一手を考える
構造的に案件を捉える4ステップ
Hurdle(ハードル)は、顧客が「なぜその提案を受け入れないのか」という“障害要因”です。
この障害を的確に整理するためには、BANT(バント)フレームを活用するのが有効です。
BANTとは:
- B:Budget(予算) … 購買に必要な予算が確保されていない
- A:Authority(決裁権) … 判断を下す決裁者が不在、もしくは不明確
- N:Needs(ニーズ) … 現時点では明確な課題感やニーズを感じていない
- T:Timing(導入時期) … 今すぐの優先事項ではない(先送りされる)
これらの要素は、営業現場における“よくある失注理由”と一致します。
つまり、案件レビューの際に「この案件のハードルは何か?」を問うときには、BANTのどこがボトルネックかを見極める視点を持つことが重要です。
また、以下も併せて意識すべきポイントです
- リアクションとハードルが一致している場合、アクションが不十分だった可能性が高い
- Push(さらに一手)とアクションが同じであってはならない
このように、HARPの各要素を切り分けて考えることで、短時間の1on1でも的確な支援と成長を両立できます。
【フレーム3】課題に応じた育成スタンス(ティーチング・トレーニング・コーチング)
“教える・鍛える・気づかせる”の使い分けが、育成の質を左右します。
問題の本質が「知らない」ことなのか、「やっていない」ことなのか、「再現できていない」ことなのかを見極め、適切なスタンスを選びましょう。
| 行動レベル | 対象者の状態 | 上司のスタンス | 関わり方の粒度 |
|---|---|---|---|
| できない | やり方を知らない | ティーチング(教える) | 手とり足とり(初期) |
| できない | やり方を知っているが定着していない | トレーニング(鍛える) | 定着まで繰り返す |
| できる | 再現性が低い/場面で迷いが出る | コーチング(気づかせる) | 問いかけ・内省支援 |
| できる | 再現性があり自立している | 任せる(自律支援) | 承認・任せる |
状況によって支援スタイルを変える
部下育成において、「とにかく考えさせる」ことが良いと捉えがちですが、すべての局面でコーチングが最適というわけではありません。
相手の状態に応じて、“教える(ティーチング)”“鍛える(トレーニング)”“気づかせる(コーチング)”という支援スタイルの切り替えが、成果につながる育成の鍵となります。
特に押さえておきたいポイントは以下の通りです:
1.「知らない」状態の部下には、まずは“教える”ことが最優先
理解していないことを「どう思う?」と問いかけても、効果は薄く、時間のロスになります。業務上の基本動作や考え方は、ティーチングで伝えることが必要です。
2.「知っているけれど、やれていない」状態の部下には“鍛える”支援が必要
ここではロールプレイや同行支援など、繰り返し実践する“トレーニング”が有効です。たとえば、「提案の切り返しトークは覚えているが、場面で出てこない」などが該当します。
3.「ある程度できるが、場面によってブレる」場合は“気づかせる”支援が有効
再現性を高めるためには、「なぜうまくいったのか」「なぜ今回は外したのか」といった内省を促すコーチングが有効です。この段階では問いかけによる“思考の深堀り”が鍵になります。
4.「すでに再現性があり、成果も安定している」部下には“任せる”という支援が適切
過干渉になると自立心を損ねるため、信頼して任せるスタンスと、成果を承認するフォローが重要になります。
このように、「どのスタンスが悪いか」ではなく、「どの状況にどの支援が適しているか」という視点で判断
することが大切です。
特に育成初期段階の部下には“教える→鍛える→気づかせる”の順で段階的に支援スタイルを変化させていく設計が有効です。
実践ステップ(具体的な流れを把握して活用する)
- Step1:週次のレビュー体制を設ける
- Step2:HARPフレームで案件を確認する
- Step3:スタンスを明確にし、育成の粒度を調整する
- Step4:アクション後の結果(Reaction)を確認し、Pushまでを支援する
- Step5:定例で振り返り、再現性を高める
実践に向けたチェックリスト
- □案件進行における課題を部下が理解(ヒアリング)できているか
- □案件に対して、行動仮説(次の一手)を立てているか
- □HARPでPushまで明確になっているか
- □上司のレビューを受けた後、次の案件に活かしているか
- □スタンスに応じた支援(教える/鍛える/考えさせる)をしているか
最後に
1on1で案件を育成機会に変えることは、単なる営業成果だけでなく、メンバーの“自走力”を育むことにつながります。
「すべての案件に同行・同席しなければいけない」状態から脱却し、メンバーの段階に応じた適切な関与を実現することで、管理職自身の時間創出にも繋がります。
このコラムの内容は、以下のような企業様に特におすすめです:
- 案件レビューの精度に課題を感じている営業組織
- 同じような相談が繰り返されてしまう育成課題を抱える企業
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