【管理職向け】目標設定がズレていませんか?“成果につながる“KPI設定3視点 [実行マネジメント④]

弥左大志

弥左大志

テーマ:実行マネジメント

目標を設定しても、なぜ成果につながらないのか?

「行動につながらない目標」が現場を停滞させる

「目標を立てているのに成果が出ない」。そんな悩みを抱える管理職は少なくありません。
行動量が上がらない、数字に結びつかない──その背景には、メンバーの“やる気不足”ではなく、目標そのものが行動に直結していない構造的な課題があります。
数字を掲げていても、それが具体的なプロセスや行動に落とし込まれていなければ、成果にはつながりません。
つまり、問題は「目標の質」にあるのです。

背景にある構造的な問題:数値目標の“納得感”と“可視性”の欠如

目標設定が形だけで終わっていないでしょうか?現場でよく見られる問題には、以下のようなものがあります:

  • 一方的に与えられた目標で、現場に納得感がない
  • チャレンジングさに欠け、業務が作業化している
  • 目標設定に対する合意やコミットメントがない
  • 「成果指標」ばかりで、「行動」や「スキル」に落とし込まれていない
  • 振り返りの習慣や見直しの機会がなく、放置されがち

こうした構造では、メンバーの行動変容は起こりません。マネジメントの本質は、数値を管理することではなく、行動を変える“設計”にあるのです。

目標設定に必要な再現性の高い3つの視点と具体的事例とは?

フレーム1:成果から逆算した「行動プロセス設計」とKPI設定の明確化

まずはKGI(最終成果)から逆算し、必要なプロセスを具体的に分解します。
営業職であれば、

  1. 第1段階:電話 → アポ → 商談 → 提案 → 契約
  2. 第2段階(1):アポ取得=電話数 → 通話数 → アポ打診数 → アポ獲得数
  3. 第2段階(2)商談=ヒアリング率 → 「なるほど」ワード数 → 質問受領数 → 次回アポ率

こうした構造を可視化し、「量」と「質」の両面でKPIを再設計することで、成果を生む行動に絞ったマネジメントが可能になります。
KPI設定

フレーム2:OKRとSMARTのハイブリッド設計

目標の精度を高めるには、OKRとSMARTの組み合わせが有効です。
【例】
Objective:

  • 新規顧客との信頼構築を通じて、継続的な売上成長を実現する

Key Results:

  1. 月15件の新規アポ取得(Specific・Achievable)
  2. 受注率15%以上の達成(Measurable・Time-bound)
  3. アポ獲得率30%以上(Measurable・Relevant)
  4. 売上前期比+15%(Relevant・Time-bound)

これにより、目標が“実行可能で振り返ることができるもの”になります。
OKR

フレーム3:「限界的練習」から学ぶ目標の粒度設定

成果を出すためには、すぐに実行可能でかつ挑戦的な目標を設定することが重要です。
【例】

  • STEP1:「受注率を上げたい」→「顧客の課題を深掘りし、購買意欲を高めるヒアリングを強化したい」
  • STEP2:そのために「5つの質問項目を準備」→「潜在ニーズを引き出す質問の準備」→「SPIN法を活用」→「枕詞・事例で深掘り質問を設計」

このように、“どんな練習をすれば良いか”まで明確にすることが行動変容につながります。
限界的練習法

実践ステップ(基本ステップ)

  1. KGI(受注)からプロセスを分解する
  2. インパクトの大きいプロセスにKPIを設定する
  3. SMART+OKRで設計の精度を上げる
  4. 限界的練習法で目標の粒度を調整する
  5. 定性・定量両面での振り返りと成長支援を行う

実践に向けたチェックリスト

  • □KPIが多すぎず、集中できているか
  • □変化を生む行動にフォーカスできているか
  • □目標に対する納得感・合意形成があるか
  • □ストレッチ目標になっているか
  • □定量と定性、両方の目標を設定しているか
  • □月初・月中に振り返る機会があるか
  • □チームで改善できる仕組みになっているか

最後に(仕組みで成果を生むマネジメントへ)

目標が「ない」「ずれている」「多すぎる」「抽象的すぎる」——このような状態では振り返りや改善ができず、成果にもつながりません。
目標設定の本質は、行動を導き、改善を促す“設計”にあります。
それを継続的に見直し、チームで共有・実行できる仕組みにすることで、初めて“成果につながる目標”になるのです。
管理職が担うべきは、部下に行動変容を促す“構造づくり”
その第一歩が、再現性ある目標設定なのです。

目標設定に必要なのは「改善を繰り返す」こと

  • 目標設定が適切であることで、大きな目標が達成できないときに、何が課題かわかること
  • その目標を繰り返し伝え、集中させること
  • ただし、“ズレた視点”のままやり続けることは避け、定期的な見直しを行うこと

こうした構造的な関わりを通じて、はじめて「成果につながる目標の精度」は向上していきます。

このコラムの内容は、以下のような企業様に特におすすめです:

  • 管理職研修・モチベーション研修をご検討中の企業様
  • モチベーション施策の成果に疑問を感じている経営層・人事責任者の皆様
  • 局所的な関わりから脱却し、仕組みによる育成体制を構築したい企業様

弊社では、管理職育成・モチベーション管理・人材育成マネジメントを一貫してご提供しています。
組織の“行動力と実行力”を高めるマネジメント支援にご関心のある方は、お気軽にご相談ください。

会社案内・サービス概要資料】をすぐにご覧いただけます

当社の特徴や提供サービスをまとめた「会社案内・サービス概要資料」「無料相談のご案内」をご用意しています。
「会社案内の資料」はフォーム入力なしで、すぐに内容をご確認いただけます。

ご検討中の企業様へ(1)|VCCの会社案内・サービス全体像ダウンロード

▼無料ダウンロードはこちら(フォーム入力なし)
「会社案内・5つのサービス」PDFを ”今すぐダウンロード” する

パスワード「 VCC2025 」を入力してください

ご検討中の企業様へ(2)|無料相談(予約制)のご案内

弊社(株式会社バリュー・コア・コンサルティング)では、以下5つのサービスを提供しております。

  1. 総合経営コンサルティング
  2. 勝ちパターン構築プログラム
  3. ワークショップ型 リアル研修プログラム
  4. ワークショップ型 eラーニング型 研修プログラム
  5. 講演・セミナー 開催

取材のご依頼や各種サービスに関するご相談・ご質問などに関し、『無料でご相談(オンライン)』をお受けしております。
以下フォームより、お気軽にお問い合わせください。

▼無料相談 予約URLはこちら
>無料相談(WEB)の日程調整をする



【Next Step】次に必要なマネジメント手法を知りたい方はこちら

  1. 【実マネ⑤ | 行動_やり切らせる】「やり切れない部下」を”最後までやりきらせる”行動管理
  2. 【実マネ⑥ | 成長_促進】部下育成で「なぜ学びが定着しないのか?」 “成長マネジメント
  3. 【実マネ⑦ | 案件_サポート】「同じ相談が繰り返される…」脱却!1on1で部下育成に効く案件管理
  4. 【実マネ⑧ | モチベーション】部下の“やる気が出ない”のは“視点のズレ”? モチベーション管理
  5. 【実マネ(統合) | PDCA】PDCAが回らない本当の理由とは?成果が出る“高速PDCA”の実践法

【First Step】前工程としてのマネジメント手法を知りたい方はこちら

  1. 【実マネ① | 基本】管理職が育たないのはなぜ?マネージャー向け”人材育成5原則”
  2. 【実マネ② | 対策_絞込】部下が”やりきれない”…。「成果の出る"SCI"優先順位付け
  3. 【実マネ③ | 課題_特定】部下の“課題”が分からない…。課題特定3要素の導入ステップ

【Next Step】次に必要な『リーダシップ」の手法を知りたい方はこちら

  1. 【リーダー① | 基本】“人望”ある管理職・経営層が実践するリーダーシップ4Eとは?
  2. 【リーダー② | エネルギー】管理職が持つべき「情熱」とは何か?エネルギー言語化6要素
  3. 【リーダー③ | エネルギー】熱意があるのに伝わらない。管理職が陥りやすい落とし穴と“内面3軸”
  4. 【リーダー④ | エナジャイズ】組織エネルギーを高める!優秀管理職のエナジャイズ仕組と育成法
  5. 【リーダー⑤ | エッジ】厳しい意思決定を恐れない:チームを動かす“エッジ”の実践フレームとは
  6. 【リーダー⑥ | エグゼキュート】「やり切る力」を成果に変える実践フレームと行動基準
  7. 【リーダー⑦ | 理念浸透】理念浸透しない組織は伸びない?“組織文化醸成”のステップ
  8. 【リーダー⑧ | スタンス】優秀管理者のスタンス・マインドとは?—4E+「経験学習×探求思考」実践法
  9. 【リーダー⑨ | エンゲージメント】生産性を変える──リーダーが取り組むべき仕組みと実践法

【Next Step】次に必要な全社『問題解決』の手法を知りたい方はこちら

  1. 【問題解決①】問題解決で高めるエンゲージメント──“成果が出る”課題解決手法とは?

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

弥左大志
専門家

弥左大志(経営コンサルタント)

株式会社バリュー・コア・コンサルティング

企業にあわせた「勝ちパターン」を見出し、誰でも再現できる仕組みを構築。研修を起点に、現場での実行までサポートします。120%以上の売り上げアップの実績を誇り、金融機関やファンド会社からの依頼も多数。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

「勝ちパターン」で成果向上の仕組みをつくる経営コンサルタント

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ東京
  3. 東京のビジネス
  4. 東京の経営コンサルティング
  5. 弥左大志
  6. コラム一覧
  7. 【管理職向け】目標設定がズレていませんか?“成果につながる“KPI設定3視点 [実行マネジメント④]

弥左大志プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼