【管理職向け】部下育成の悩み解決!管理職の「課題特定ズレ」を解消する実践フレームワーク [実行マネジメント③]
管理職のための“行動管理×部下育成”の実践的な2つのアプローチ
「やる気はあるのに、やりきれない…」という悩みが増えている?
「指示は理解しているのに、最後までやりきれない…」「改善指示を出しても同じことを繰り返してしまう…」「やる気はあるように見えるが、行動の質が安定しない…」
このような“やりきれない部下”への対応に、頭を抱える管理職の声を多く聞きます。
個々の性格や根性ではなく、行動が“仕組み化”されていないことこそ、最後までやりきれない本質的な原因です。
本コラムでは、そうした部下に対して「行動管理」という視点から、成果に結びつく育成手法を解説します。
背景にある構造的な問題:「やり切る力」が属人化している組織
部下が「やりきれない」背景には、自己管理能力(部下が自ら行動を最後までやりきる力)が関係しています。
自己管理力とは、目標に対して“やるべきことを最後までやりきる力”であり、これはスキルとは異なる「実行力の素地」です。
以下は、自己管理能力×実務能力(営業スキル)を可視化したマトリクスです。
- 自己管理力が高く、実務力もある:成果の出る主力層(右上)
- 自己管理力はあるが実務力が低い:伸びしろある育成層(左上)
- 自己管理力が低く実務力も伸び悩む:最も注意すべき停滞層(左下)
このように、自己管理力の欠如は、実務力向上の足を引っ張るだけでなく、組織としての“やりきる組織文化”を阻害します。
「やり切れない部下」が行動を最後までやりきれるようになるマネジメントとは
弊社では、クライアント企業の成果創出を何より重視し、現場で“使える”マネジメントの再現性にこだわってきました。
部下をやりきらせるために必要な行動原則を、以下の2つに体系化し、仕組み化及び実行サポートをしています。
自己管理能力を6要素で分解し、段階別に支援する
自己管理力を高めるには、一般的に言われるPDCAを愚直に実行してもらうことが重要だとされます。
今回は、自己管理能力を上げるための目的で、各要素を細分化し、6つの構成要素でまとめています。
各要素に対して、「メンバーへの教育」を行い、「マネージャーがサポート」することで、狙って自己管理能力を上げることが可能です。
6要素にて分解:
①【Plan】目的・目標設定力
教育領域(本人の取り組み)
- 週初に「目的シート」を使って1週間の狙いを明確化
- 月初に目標を再定義し、自分にとって意味ある内容へリライト
マネジメント領域(支援施策)
- 上司との1on1で「目的と期待成果のすり合わせ」を実施
- チームのKGI/KPIを言語化・可視化し、共通認識を形成
②【Do準備】タスク化力
教育領域(本人の取り組み)
- タスクを30〜60分で完結する単位に分解
- 目標から逆算してWBSや「やること一覧」を作成・管理
マネジメント領域(支援施策)
- タスク分解トレーニング(演習+FB)を実施
- メンバーのWBSを週次でレビューし、粒度の調整を支援
③【Do方法】タイムマネジメント力
教育領域(本人の取り組み)
- Googleカレンダーに「思考/実行時間」を事前ブロック
- 毎朝、緊急度×重要度の4象限でタスクを整理
マネジメント領域(支援施策)
- カレンダーを見ながら優先業務の設計を対話で実施
- タイムログ記録に基づき、時間の使い方をフィードバック
④【Check】チェック体制
教育領域(本人の取り組み)
- 毎週金曜に週次振り返りテンプレートで内省
- KPI達成状況を自ら可視化し、日次で進捗を確認
マネジメント領域(支援施策)
- チーム共通の振り返りフォーマットを運用・共有
- 定例会議内で「1分レビュータイム」を習慣化
⑤【Action】改善力
教育領域(本人の取り組み)
- 未達時に「要因・改善策・次回方針」をセットで記録
- 失敗パターンと対策を個人ノートで蓄積
マネジメント領域(支援施策)
- 「学びと失敗会」を月次で実施し、改善をチーム共有
- 未達報告に対して「原因分析+代替案提示」まで促す
⑥【Standard化】仕組み化力
教育領域(本人の取り組み)
- 自分の成功パターンをチェックリスト化し、次回以降に再利用
- タスクテンプレートや振り返りフォーマットをチームに共有
マネジメント領域(支援施策)
- チーム全体で活用する業務テンプレートを整備・展開
- ナレッジやノウハウを形式知化する「仕組み化プロジェクト」を設置
タイニーハビットによる「習慣引力」へのアプローチ
先程の「自己管理能力を向上させるPDCA」を実行したとしても、なかなか行動が定着しないことがあります。
その理由として、“行動が定着しない”部下は、「意志が弱い」のではなく、脳の仕組みによる“習慣引力”の影響を強く受けています。
習慣引力とは、「いつも通り」に戻ろうとする脳の本能であり、新たな行動を意識的に最後までやりきるには、構造的サポートが必要です。
その対策が「Tiny Habits(タイニーハビット)」です。
タイニーハビットの3ステップ
- アンカー(If):いつもの行動に連動する“きっかけ”を決める
- 小さな行動(Then):30秒で終わるレベルに分解する
- 祝福:行動後すぐに自分を承認する
【営業職における具体例】
- If:商談が終わったら → Then:「メモを1行残す」→ 祝:心の中で「よし」と言う
- If:日報を書いたら → Then:「今日の学びを1行記入」→ 祝:深呼吸とコーヒー
- If:朝PCを立ち上げたら → Then:「今日の注力ToDoを1つだけ書く」→ 祝:自分をねぎらう
- If:断られたら → Then:「クローズドクエスチョンを使って再確認」→ 祝:手帳に◯を書く
行動の「継続」は、“気合”ではなく“仕組み”で生まれます。
実践ステップ(具体的事例を使って読み解く)
Step1:チェックシートを活用し、重点的な自己管理領域を明確化
- 以下のチェックシートにて、各メンバーごとの自己管理能力のチェックを実施する。
- 苦手な項目や自己管理能力を伸ばすべき要素を明確にする。
| 領域 | チェック観点 | ステップ評価(1→3) |
|---|---|---|
| ①目標設定 | 納得し説明できるか? | □受動 □調整可能 □自律化 |
| ②タスク化 | 分解しToDo化できているか? | □不可 □粗い □具体・30秒 |
| ③時間管理 | 優先順位を明確にできているか? | □不明瞭 □感覚的 □ブロック化 |
| ④チェック体制 | 振り返り習慣があるか? | □なし □習慣あり □改善に活用 |
| ⑤改善力 | 失敗を改善に活かせているか? | □反復 □対処のみ □改善→再挑戦 |
| ⑥仕組み化力 | 成功行動が再現・共有されているか? | □毎回違う □個人型あり □展開済 |
Step2:チェックシートの項目に対して、教育とマネジメントサポートを設計・コミットする
- 教育:各要素ができるような方法を伝達し、部下が具体的になにをするべきかを発言させる
- マネジメント:上記の進捗確認などを実施
Step3:習慣引力に打ち勝つ「If-Then-祝福」設計
上記の中で「特に重要な要素」「苦手な要素」に対して、タイニーハビットを設計するサポートを実施。
「きっかけと小行動と承認」を一連で仕組み化することで、やりきり力を引き出す。
Step4:進捗確認の“型”をチームで持つ(マネジメントサポート領域)
週次のレビューやテンプレートを使い、行動のやりきり度合いを可視化する。
タイニーハビットについては、習慣化するまで、確認し続ける。
Step4:Step5:成功/失敗パターンを組織知へ展開
成果の出た行動を共有・定着化し、チーム全体のやりきる文化をつくる。
最後に
やり切れない部下を「意欲不足」と片づけてはいけません。
実際には、「継続できる環境」「仕組み」が用意されていないことが主因です。
管理職に求められるのは、「やれ」ではなく、「やれるように設計する」こと。
行動の分解・習慣化・チェック・振り返り・仕組み化。この一連の流れを設計・支援できる管理職こそが、成果を生み出す“育てるマネージャー”です。
対象者は部下と管理者(マネージャー)自身
本コラムは、主に管理職(マネージャー/リーダー層)向けに構成されています。
ただし、以下の方々にも非常に有効です:
- 自身の自己管理能力を見直したいマネジャー本人
- 成長したい若手・中堅社員/営業担当者
組織全体で、自己管理能力を向上により、「部下の成長と成果」及び「組織文化を醸成」を支援していきましょう。
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