ロゴの著作物性
プロシード国際特許商標事務所の弁理士の鈴木康介です。
被告が運営しているウェブサイトに、原告の書いた同人誌を無断に掲載した事件の
知財高裁の判決(令和2年(ネ)第10018号)が公開されました。
基本的には、同人誌を無断でアップロードすることは著作権侵害という当たり前の結論なのですが、
被告側が、原告側の作品も、現作品の著作権を侵害している。というような主張をしていました。
しかし、知財高裁は
「漫画の「キャラクター」は,一般的には,漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念であって,具体的表現そのものではなく,それ自体が思想又は感情を創作的に表現したものとはいえないから,著作物に当たらない(最高裁判所平成4年(オ)第1443号,同9年7月17日第一小法廷判決,民集51巻6号2714頁)。したがって,本件各漫画のキャラクターが原著作物のそれと同一あるいは類似であるからといって,これによって著作権侵害の問題が生じるものではない。」
「シリーズもののアニメに対する著作権侵害を主張する場合には,そのアニメのどのシーンの著作権侵害を主張するのかを特定するとともに,そのシーンがアニメの続行部分に当たる場合には,その続行部分において新たに付与された創作的部分を特定する必要があるものというべきである。」
「現在の証拠関係を前提とする限り,仮に原著作物のシーンが特定されたとしても,著作権侵害が問題となり得るのは,主人公等の容姿や服装など基本的設定に関わる部分(複製権侵害)に限られるものといわざるを得ない」
「なお,一審被告らは,本件各漫画で描かれた各シーン(ストーリー展開に関わる部分)は,原著作物の基本的設定に関わる部分の翻案に当たり,また,同一性保持権を侵害していると主張するかもしれないが,上記基本的設定に関わる部分は,主人公等の容姿や服装などの表現そのものにその本質的特徴があるというべきであって,ストーリー展開に本質的特徴があるということはできないから,本件各漫画に描かれたストーリー展開が,上記基本的設定に関わる部分の翻案に当たると解する余地はないし,主人公等の容姿や服装など基本的設定に関わる部分に変更がない以上,同一性保持権侵害が問題になる余地もない。」
と判示されました。
ポパイ事件の判断と同じと言えば、同じですね。
同人誌に対して、著作権侵害を訴えるときには、どのシーンを特定する必要がありそうです。
また、基本的設定に関わる部分では,主人公等の容姿や服装などの表現を本質的特徴と判断しています。
成人向けの同人誌はほとんどの場合、原作とのストーリー展開が違うでしょうから、
ストーリーで同一保持権の侵害を主張することは難しそうです。
参考:令和2年(ネ)第10018号
平成30年(ワ)第39343号
10月8日に一部修正
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弁理士 鈴木康介(特定侵害訴訟代理権付記)
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