スーパーマーケットの業績改善は「現場を見る力」で決まる|業績不振店を変える経営者・店長の4つのチェックポイント

新谷千里

新谷千里

テーマ:スーパーマーケットの経営戦略

スーパーマーケットの業績不振を改善する第一歩は、経営者・店長の「現場を見る力」です。
接客、クリンリネス、欠品防止、鮮度・品質、お客さま目線から、売上・利益改善につながる店舗チェックのポイントを業務改善専門コンサルタント新谷千里が解説します。

スーパーマーケットの業績不振は、競合店や価格だけが原因ではありません。
経営者や店長が「お客さま目線」で現場を正しく見て、接客、クリンリネス・欠品・鮮度品質という基本を改善できるかどうかが、売上・利益を大きく左右します。

業績が低迷しているスーパーマーケットと、
地域のお客さまから支持され、安定した業績を維持している店舗。
その違いは、どこから生まれるのでしょうか。

「近くに競合店ができた」
「ドラッグストアが食品を強化している」
「人口が減っている」
「価格競争が激しくなった」

もちろん、こうした外部環境も業績に影響します。
しかし、
私が実際にコンサルティングで多くの売場を見る中で強く感じるのは、
業績改善の第一歩は、経営者・経営幹部・店長が“現場を正しく見ること”にある
ということです。

業績不振店ほど、問題がないのではなく、
「問題が見えていない」 というケースが少なくありません。


スーパーマーケットの業績改善を進めるうえで、リーダーが確認すべき重要なポイントは次の4つです。
・本当の「お客さま目線」で売場を見ているか
・接客・クリンリネス・欠品・鮮度品質という「4つの基本」が守られているか
・店長や経営者自身が問題を発見できるレベルにあるか
・発見した問題に優先順位をつけ、改善を継続しているか


特別な販促策や値下げを考える前に、まずこの4つの基本を確認することが重要です。

「お客さま目線」は本当に現場で実践されていますか?

スーパーマーケットでは、
「顧客満足を高めよう」
「お客さまの立場で考えよう」
「地域のお客さまに喜ばれる店をつくろう」
という言葉をよく耳にします。

ところが、それが実際の売場で実践できているかというと、必ずしもそうではありません。

特に業績不振店を見ると、
社長や店長が売場に出ていても、 お客さまが何を見て、何を感じ、どこで不満を感じているのか まで見えていないケースがあります。


例えば以前、
「お客さまから『社員に元気がない。挨拶ができていない』という声があったので、接客を強化したい」
という相談を受けたことがあります。

しかし、私が現場を見るときは、単に
「大きな声で挨拶しているか」
だけを見るわけではありません。

見るべきなのは、
・お客さまから質問されたとき、どのように対応しているか
・クレームをいただいたとき、どのような姿勢で接しているか
・困っているお客さまにスタッフから声を掛けているか
・高齢のお客さまや体の不自由な方への配慮ができているか
といった日常の小さな行動です。

こうした何気ない動作や仕草に、
その会社の本当の「お客さま目線」が表れます。

業績不振店ほど「基本」をもう一度確認する

業績が悪くなると、多くの会社では新しいことを始めようとします。

「競合店で売れている商品を導入しよう」
「もっと安い商品を増やそう」
「チラシを強化しよう」
「ポイント企画を増やそう」
こうした施策も必要でしょう。

しかし、その前に確認してほしいことがあります。
お店づくりの土台そのものは、本当にできているでしょうか。
現場を見るとき、接客以外で特に重要なのが次の3つです。

1.クリンリネス|売場に清潔感があるか

まず確認したいのがクリンリネスです。
平台、ショーケース、オープンケース、商品棚、床などを、お客さまの目線で見てください。

汚れやほこりが残っていないでしょうか。
商品の下やケースの隅まで、清掃されているでしょうか。
「店舗が古いから仕方がない」
という話ではありません。

店舗が古いことと、清潔感がないことは別問題です。
開店から年月が経過した店舗であっても、日々の手入れが徹底されている店は清潔感があります。

お客さまは商品だけを見ているわけではありません。
売場全体から、その店の商品管理レベルや従業員の仕事に対する姿勢まで感じ取っています。

だからこそ、クリンリネスは単なる掃除ではなく、
店舗の信頼をつくる重要な営業活動
だと考えるべきです。

2.欠品防止|売るべき時間に商品があるか

次に確認したいのが欠品です。

例えば、朝一番に買い物に来ていただいたのに、売場の商品がスカスカだったらどうでしょう。

せっかく来店していただいても、
「この店には商品がない」
と思われてしまいます。
同じことが夕方のピーク時間帯にも言えます。

仕事帰りのお客さまが増える時間に重点商品が欠品していれば、大きな販売機会損失になります。
すべての商品を閉店まで大量に並べる必要はありません。

重要なのは、
「絶対に欠品させてはいけない商品」を明確にすることです。

重点商品を決め、
「この商品だけは、この時間までは絶対に切らさない」
という基準を設定する。

そして店長やチーフが、その状態を毎日確認する。
こうした地道な管理が、売上改善につながっていきます。

3.鮮度・品質|ピーク時間に一番良い状態になっているか

生鮮食品を扱うスーパーマーケットにとって、鮮度と品質は極めて重要です。

例えば夕方。
仕事帰りのお客さまが来店する時間帯に、
・温かい揚げ物が並んでいるか
・出来立てのお弁当があるか
・切り立てのカットフルーツが並んでいるか
・造り立ての刺身が提供されているか
・野菜や果物に鮮度感があるか
こうしたことを、店長自身が確認できているでしょうか。

「私は青果の経験がないから分からない」
「鮮魚は専門知識がないからチーフに任せている」
それでは店全体のレベルを高めることは難しくなります。

専門的な加工技術まで身につける必要はありません。
しかし、
お客さまに提供してよい品質なのか。
売場として魅力的な状態なのか。


これを判断できる基本的な知識は、店長にも必要です。

店舗のレベルは「リーダーの目線」以上には上がらない

私は現場を見るとき、非常に重要だと考えていることがあります。

それは、
店舗のレベルは、経営者や店長が持っている「基準」以上にはなかなか上がらない
ということです。

意識も技術も高いチーフが一人いれば、その部門だけは非常に良い売場になるかもしれません。

しかし、それはその人の能力に依存した「属人的な運営」です。
そのチーフが異動したり退職したりすると、売場のレベルが一気に下がる可能性があります。

会社として強い店をつくるためには、
誰か一人の能力に頼るのではなく、店としての基準を高めること
が重要です。

そのためにも、経営者・幹部・店長が現場を見る力を持つ必要があります。

現場を見る目的は「犯人探し」ではない

ここで一つ注意していただきたいことがあります。

現場を見るというと、
「できていないところを探す」
「社員のミスを指摘する」
「重箱の隅をつつく」
という管理になってしまうことがあります。
これは違います。

現場を見る本当の目的は、
改善のチャンスを発見すること
です。

売場を歩き、
「あ、この時間にこの商品が欠品している」
「ここは清掃基準を変えた方がいい」
「この商品は夕方にもっと出来立て感を出せる」
と問題に気づく。
そして、
すべてを一度に直そうとするのではなく、お客様の目線から考えて、重要度の高いものから優先順位をつけて改善する。
この繰り返しです。

大きな改革だけが業績改善ではありません。
小さな改善を毎日積み重ねることによって、店舗のレベルは確実に上がっていきます。
そして、血肉化します。

業績不振の原因を競合店だけに求めない

競合スーパーが出店した。
ドラッグストアが食品を強化した。
ディスカウントストアが低価格商品を増やした。
確かに経営環境は厳しくなっています。

しかし、
「競合店ができたから売上が悪い」
だけで終わってしまえば、自社では何も変えることができません。

それよりも、
「自分たちで変えることのできる問題は何か」
を考えることです。
クリンリネス。
品揃え。
欠品。
鮮度。
出来立て。
接客。
売場づくり。
従業員の動き。
現場をよく見ると、まだ改善できることは数多くあります。
そして、その一つひとつの中に、
売上と利益を改善するチャンスが眠っています。

毎日見ているからこそ「見えなくなる」こともある

もう一つ、現場改善で注意したいのが「慣れ」です。

毎日同じ店舗で働いていると、少しずつ問題のある状態にも慣れてしまいます。
本来なら違和感を感じるべき売場を、
「いつものこと」
として見過ごしてしまうのです。

これは決して珍しいことではありません。
そのような場合には、第三者の視点を入れることも有効です。

外部の人間が初めて店舗を見ると、
社内では当たり前になっていて気づかなかった問題が、すぐに見えることがあります。

重要なのは、外部の専門家にすべてを任せることではありません。
外部の視点も活用しながら、改善できるチャンスを理解することです。
社内の経営者・幹部・店長自身が「現場を見る力」を高めていくこと
です。

スーパーマーケットの業績改善は、現場から始まる

業績改善というと、POS分析、販促、価格政策、商品戦略など、さまざまな施策が考えられます。
もちろん、それらも重要です。

しかし、
どれほど優れた戦略や計画を作っても、現場で正しく実行されなければ成果にはつながりません。
だからこそ、まず経営者や店長自身が売場に立ってください。
そして、
「もし自分がお客さまだったら、この店で気持ちよく買い物ができるだろうか」
という視点で店舗を見てみてください。

問題が見えれば、改善できます。
改善を続ければ、店は変わります。
お店の未来を変えるのは、リーダーの「現場を見る力」です。

YouTubeでも詳しく解説しています

今回のテーマ「店舗の命運を分けるリーダーの現場を見る力」については、YouTubeでも解説しています。

文章だけでなく、私自身の言葉で考え方を確認していただくことで、社長・経営幹部・店長の皆さまにも、より具体的に現場改善のポイントを理解していただけると思います。

「うちの店にも当てはまるかもしれない」
そう感じられた方は、ぜひ動画もご覧ください。
➤ YouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=QpvE-e0WZwI
経営会議や店長会議の前に視聴して、
「自店では何が見えていないのか」
を話し合っていただくのもおすすめです。

よくある質問

Q1.スーパーマーケットの業績が悪化したとき、最初に何を確認すべきですか?
まず、競合店や価格などの外部要因だけを見るのではなく、自店の現場を確認してください。
特にクリンリネス、重点商品の欠品、鮮度・品質、ピーク時間帯の売場状態、お客さまへの対応を確認することが重要です。

Q2.店長は生鮮部門の専門知識まで必要ですか?
加工技術など専門職と同じレベルの知識は必要ありません。
しかし、青果・鮮魚・精肉・惣菜などについて、お客さまに提供できる鮮度や品質なのかを判断できる基本的な知識は必要です。

Q3.現場改善で重要なことは何ですか?
一度にすべてを改善しようとせず、問題を発見し、重要度・緊急度から優先順位を決め、改善を継続することです。
小さな改善を積み重ねることが店舗力向上につながります。

Q4.第三者による店舗診断にはどのような意味がありますか?
毎日同じ店舗を見ていると、問題のある状態にも慣れてしまうことがあります。
第三者の視点を入れることで、社内では当たり前になっている問題や改善機会を発見しやすくなります。

(文:新谷千里)

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新谷千里
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新谷千里(経営コンサルタント)

有限会社サミットリテイリングセンター

100社以上の業績向上を実現した業務改善のプロ。売れてしまう実践的マーケティングとオペレーション改善とコスト削減。他では教えてくれない理論と実践で、競争の厳しい時代に確実に営業利益を向上させます。

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