生産性を上げる、戦略的人事考課 【商人舎magazine12月号】原稿
「まとまった時間が取れない」と悩む経営者や店長は多い。
しかし、
スーパーマーケットの業務改善や利益改善は、1時間単位の仕事だけで進むものではない。
細切れ時間をどう活用するかが、生産性向上、作業改善、在庫削減、売場改善につながる。
目次
「時間がない」は、本当に正しいのか
多くの経営者や店長は、よくこう言います。
「まとまった時間が取れない」
「日々の業務に追われて、改善に手が回らない」
「売場を見る時間がない」
「数字を確認する時間がない」
「部下を育成する時間がない」
確かに、スーパーマーケットの現場は忙しいものです。
朝の品出し、発注、納品対応、売場づくり、接客、欠品対応、クレーム対応、数値確認、会議、パートさんへの指示など、やるべきことは毎日あります。
しかし、私は現場を見ていて、いつも感じることがあります。
問題は、本当に「時間がないこと」だけなのでしょうか。
実は、多くの場合、問題は時間がないことではありません。
“半端な時間”を、全部捨てていることです。
次の予定まで20分ある時、何をしているか
例えば、次の会議まで20分ある時。
取引先との商談まで15分ある時。
売場巡回の前に10分空いた時。
昼食後に少しだけ時間がある時。
多くの人は、スマホを見ます。
SNSを見ます。
ニュースを眺めます。
なんとなく時間を潰します。
もちろん、休憩は必要です。
人間ですから、頭を切り替える時間も大切です。
しかし、
毎回のように細切れ時間を捨てていると、1日の中で大きな差が生まれます。
成功している経営者や成果を出している店長ほど、この“細切れ時間”を非常に大切にしています。
✓ 短いメールを返す。
✓ 売場で気づいたことをメモする。
✓ POPのキャッチコピーを1つ考える。
✓ 重点商品の販売数を確認する。
✓ 昨日のロス率を見る。
✓ 部下に短い指示を出す。
✓ 次の会議で話すことを整理する。
✓ 改善アイデアを書き留める。
これらは、すべて5分、10分、15分でできる仕事です。
1日15分の損失は、1年で90時間以上になる
1日15分を無駄にすると、1年でどれくらいの時間を失うでしょうか。
15分 × 365日 = 5,475分
5,475分 ÷ 60分 = 約91時間
つまり、1日15分を捨てている人は、1年で90時間以上を失っていることになります。
90時間あれば、何ができるでしょうか。
✓ 売場改善のチェックリストを作ることができます。
✓ 部門別のロス分析ができます。
✓ 重点商品の販売計画を作ることができます。
✓ パートさん向けの作業指示書を整備できます。
✓ 店長会議の資料を改善できます。
✓ POSデータを読み込み、売れ筋と死に筋を見直すこともできます。
つまり、営業利益改善につながる仕事が、十分にできる時間なのです。
しかも恐ろしいのは、多くの人がこの損失に気づいていないことです。
「忙しい」と言いながら、実は毎日少しずつ時間を捨てている。
その積み重ねが、改善の遅れ、生産性の低下、利益の取りこぼしにつながっているのです。
「1時間単位でしか動けない人」は、生産性が低い
私は昔から、「1時間単位でしか動けない人」は、生産性が低いと考えています。
なぜなら、ビジネスとは、短い時間の積み重ねだからです。
スーパーマーケットの現場では、1時間まるごと空くことは、なかなかありません。
店長もチーフも、毎日何かに追われています。
だからこそ、短い時間でできる仕事を持っている人と、持っていない人で差が大きく出ます。
例えば、10分あればできる仕事はたくさんあります。
•売場を1周して確認する
•エンド商品の売れ行きを確認する
•値引き商品の残数を見る
•重点商品の販売数を確認する
•前日のロス金額を見る
•パートさんに1つ作業改善を伝える
•POPの表現(キャッチコピー)を1つ修正する
•発注ミスの原因をメモする
•会議で使う数字を1つ確認する
•明日の重点作業を3つ書き出す
これらを毎日続けるだけでも、現場は変わります。
一度に大きく変える必要はありません。
小さく確認し、小さく直し、小さく積み上げる。
この姿勢が、お客様の体験価値に大きな差を生み、利益改善の土台になります。
スーパーマーケットの業務改善は、細切れ時間で進められる
業務改善というと、多くの人は大がかりな取り組みを想像します。
大きな会議を開く。
一泊2日の長時間の合宿研修を行う。
業界で注目されている新しいシステムを導入する。
大幅にレイアウトを変更する。
もちろん、それらが必要な場面もあります。
しかし、現場の改善は、それだけではありません。
むしろ、現場で起こっている日々の小さな改善の積み重ねの方が重要です。
例えば、
青果売場であれば、
•朝一番の平台の展開状況を確認する
•品質低下品の撤去タイミングを見直す
•重点商品のトマトと関連のアボカドなど、陳列量を確認する
•夕方ピーク前の補充時間を修正する
•POPのキャッチコピーを「安い」から「おいしさ」「鮮度」「食べ方」に変える
こうした改善は、長時間をかけなくてもできます。
惣菜部門であれば、
•11時台の品揃えを確認する
•昼ピーク後の欠品を確認する
•夕方の売れ残り商品とボリューム感を確認する
•値引き開始時間を検証する
•売れ筋商品の製造数を見直す
これも、細切れ時間で十分にできます。
大切なのは、空いた時間に何をするかを決めておくことです。
細切れ時間を成果に変える3つの方法
細切れ時間を有効に使うためには、ただ「時間を大切にしよう」と思うだけでは足りません。
仕組み化が必要です。
1.3分でできる仕事をリスト化する
まず、5分、10分、15分でできる仕事を分けて書き出します。
例えば、
5分でできる仕事
•メール返信
•売場写真の確認
•重点商品の販売実績数を確認
•気づきメモの記録
10分でできる仕事
•売場1か所の確認
•前日のロス確認
•作業指示の修正
•POP文言の見直し
15分でできる仕事
•部門別の数値確認
•店長会議資料の一部作成
•発注精度の振り返り
•パートさんへの簡単な教育
このように分けておくと、半端な時間ができた時にすぐ動けます。
2.スマホを見る前に、改善メモを見る
細切れ時間ができた時、多くの人は無意識にスマホを見ます。
しかし、その前に見るべきものがあります。
それは、改善メモです。
「今日、確認する売場」
「今週、改善する作業」
「今月、下げたいロス」
「重点商品の販売状況」
「部下に伝えること」
これらをメモしておけば、短い時間でも改善に使えます。
時間を有効に使える人は、空き時間ができてから考えるのではありません。
空き時間にやることを、前もって決めているのです。
3.15分単位で仕事を分解する
大きな仕事ほど、後回しになります。
「販促計画を作る」
「作業改善を進める」
「在庫削減をする」
「部下を教育する」
「売場を変える」
このように考えると、大きすぎてなかなか始められません。
しかし、15分単位に分解すれば動けます。
販促計画を作るなら、
今日は重点商品を3品選ぶ。
作業改善を進めるなら、
今日は品出し作業のムダを1つ見つける。
在庫削減をするなら、
今日は在庫過多の商品を5品確認する。
部下を教育するなら、
今日は1人に発注の考え方を5分伝える。
売場を変えるなら、
今日はエンド1本だけ直す。
このように分解すれば、改善は確実に進みます。
時間管理とは、長時間働くことではない
時間管理というと、長時間働くことだと誤解している人がいます。
しかし、それは違います。
時間管理とは、長時間働くことではありません。
“見落とされる時間”を回収することです。
特に、スーパーマーケットの現場では、まとまった時間を待っていても、なかなか来ません。
だからこそ、
•5分で確認する
•10分で直す
•15分で考える
•20分でまとめる
この習慣が重要です。
時間を活かす人は、改善が早い。
改善が早い人は、売場の変化が早い。
売場の変化が早い店は、数字の変化も早い。
のです。
営業利益改善は、大きな改革だけで起こるものではありません。
日々の細かい判断と改善の積み重ねで起こります。
店長・チーフが細切れ時間で見るべき数字
細切れ時間を活用するなら、見るべき数字を決めておくことが重要です。
特に、店長やチーフが確認すべき数字は、次のようなものです。
•売上高
•粗利益高
•粗利益率
•ロス率
•値引率
•欠品状況
•在庫金額
•人時売上高
•重点商品の販売数
•前年比
•時間帯別販売状況
これらをすべて毎回見る必要はありません。
今日はロスを見る。
明日は在庫を見る。
次は重点商品を見る。
夕方は欠品を見る。
このように、短い時間で見る数字を絞ることが大切です。
数字を見る習慣がある店は、改善が早くなります。
逆に、数字を見ない店は、問題に気づくのが遅れます。
そして、問題に気づくのが遅れるほど、利益の取りこぼしは大きくなります。
細切れ時間を使える組織は、改善スピードが速い
経営者だけが細切れ時間を活用しても、会社全体の生産性は上がりません。
店長、チーフ、社員、パートさんまで、短い時間で動ける組織にすることが重要です。
そのためには、次のような仕組みが必要です。
•作業指示書を整備する
•簡単なチェックリストをつくる
•カテゴリーごとの重点商品を明確にする
•時間帯別の売場確認内容を決める
•数値確認の項目を絞る
•部下と改善メモを共有する
•適宜、短時間ミーティングを行う
•D-CAPで改善を回す
特に大切なのは、短時間ミーティングです。
長い会議をする必要はありません。
5分でも、10分でもよいのです。
「昨日の問題は何か」
「今日の重点商品は何か」
「どの時間に補充するか」
「どこでロスが出ているか」
「誰が何を改善するか」
これを確認するだけで、現場の動きは変わります。
まとめ:15分を変えれば、現場は変わる
「まとまった時間が取れない」
この言葉は、半分正しく、半分間違っています。
確かに、忙しい現場ではまとまった時間は取りにくいものです。
しかし、だからといって改善ができないわけではありません。
問題は、時間がないことではありません。
半端な時間を捨てていることです。
1日15分を無駄にすれば、1年で90時間以上を失います。
逆に、1日15分を改善に使えば、1年で90時間以上の改善時間を生み出せます。
この差は、非常に大きいものです。
スーパーマーケットの利益改善は、特別なことだけで決まるわけではありません。
売場(現場)を見る。
数字を見る。
作業(状況)を見る。
在庫(現物)を見る。
ロス(事実)を見る。
部下に伝える。
小さく(確実に)直す。
この積み重ねが、営業利益を変えます。
時間管理とは、長時間働くことではありません。
見落とされる時間を回収し、成果につながる行動に変えることです。
経営者、店長、チーフが、15分の使い方を変える。
そこから、現場の生産性は大きく変わります。
(文:新谷千里)
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私は、全国の中小スーパーマーケットを中心に、
•営業利益改善
•生産性向上
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