コンセプトを立てたら、客層が完全に変わって、売上が大きく上がった! 【リニュアル・オープン支援コンサルティング】
青果部門は「安い・新鮮」だけでは選ばれない時代です。
スーパーマーケットの青果売場で売上・買上率・粗利益を高めるために必要な、機能的価値・情緒的価値・体験価値の考え方と実践策を解説します。
目次
青果部門は「安くて新鮮」だけでは差別化できない
スーパーマーケットの青果部門において、これまで多くの店舗が重視してきたのは、
「鮮度が良いこと」
「価格が安いこと」
「品ぞろえが良いこと」
でした。
もちろん、これらは青果売場にとって欠かすことのできない基本です。
しかし、現在のようにドラッグストア、ディスカウントストア、産直市場、ネット販売など競争相手が増えている時代においては、「安くて新鮮」だけでは、お客様から継続的に選ばれる売場にはなりにくくなっています。
これからの青果部門に必要なのは、単に商品を並べることではありません。
お客様が、
「この店の青果売場は楽しい」
「ここで買うと安心できる」
「今日の献立がすぐ決まる」
「またこの売場に来たい」
と感じるような、顧客価値を設計することです。
そのために重要になるのが、次の3つの視点です。
機能的価値
情緒的価値
体験価値
この3つを意識して売場をつくることで、青果部門は単なる価格競争から抜け出し、買上率、客単価、粗利益を高める売場へと変わっていきます。
1.機能的価値|新鮮・便利・お値打ちで選ばれる青果売場
機能的価値とは、お客様が商品そのものから得られる実用的な価値です。
青果部門で言えば、次のような価値が該当します。
鮮度が良い
品質が安定している
使いやすい量目である
価格に納得感がある
必要な商品が分かりやすく並んでいる
調理しやすい形で販売されている
たとえば、
レタスであれば「葉がシャキッとしている」、
トマトであれば「張りがある」、
桃であれば「香りが良く、食べごろが分かる」
といった状態が、お客様にとっての機能的価値になります。
ここで重要なのは、単に鮮度の良い商品を仕入れるだけでは不十分だということです。
売場での温度管理、陳列時間、補充頻度、傷み商品の撤去、見切り判断、バックヤードでの保管方法など、日々のオペレーションが整っていて初めて、機能的価値はお客様に伝わります。
また、近年は高齢者世帯、単身世帯、共働き世帯が増えています。
そのため、青果売場では「丸ごと1個」だけでなく、
「1/2カット」
「1/4カット」
「少量パック」
「カット済み野菜」
「すぐ使える炒め物セット」
など、生活スタイルに合わせた商品化も重要です。
お客様にとっての便利さは、価格以上の価値になります。
つまり、機能的価値とは、
品質・鮮度・価格・量目・使いやすさを通じて、お客様の不便を解消する価値
と言えます。
2.情緒的価値|「買いたい気持ち」を生み出す売場づくり
情緒的価値とは、お客様の感情に働きかける価値です。
同じトマトでも、ただ「トマト 298円」と表示されているだけの売場と、
「地元〇〇農園さんの完熟トマト。朝採れの甘みをぜひ食卓へ」
と紹介されている売場では、お客様の感じ方が大きく変わります。
お客様は、商品そのものだけを見ているのではありません。
その商品に込められた背景、
作り手の思い、
食卓での使い方、
家族が喜ぶイメージ
まで含めて、買うかどうかを判断しています。
青果売場における情緒的価値には、次のようなものがあります。
地元農家への安心感 旬を感じる楽しさ
家族に食べさせたいという気持ち
健康に良いものを選んでいる満足感
産地や生産者への信頼感
料理が楽しくなる期待感
たとえば、POPに農家さんの写真を入れる。
おすすめの食べ方を一言添える。
「今が一番おいしい時期です」と旬を伝える。
「お子さまにも食べやすい甘さです」と利用シーンを伝える。
こうした小さな工夫が、お客様の購買心理を動かします。
価格を下げなくても、お客様が「これを買いたい」と感じれば、商品は売れます。
逆に、どれだけ良い商品であっても、その価値が伝わっていなければ、お客様は価格だけで判断します。
青果部門で粗利益を高めるためには、安売りだけに頼るのではなく、
お客様の感情に届く情報発信
が必要です。
3.体験価値|五感で「旬」と「おいしさ」を伝える
体験価値とは、お客様が売場で実際に感じる価値です。
青果売場は、スーパーマーケットの中でも特に体験価値をつくりやすい部門です。
なぜなら、青果には色、香り、鮮度感、季節感、ボリューム感があるからです。
たとえば、入口近くに色鮮やかな夏野菜を展開する。
みかんや桃の香りが自然に伝わる売場をつくる。
カットスイカや旬の果物を試食で提案する。
鍋野菜、サラダ野菜、カレー野菜など、メニュー別にまとめて展開する。
こうした売場は、
お客様に「見て楽しい」「選んで楽しい」「食べたくなる」という体験を提供します。
特に青果部門では、五感に訴える売場づくりが重要です。
視覚:色鮮やかな陳列、ボリューム感、旬の演出
嗅覚:果物や香味野菜の香り
味覚:試食、食べ方提案
触覚:鮮度感、張り、重み
聴覚:販売員の声かけ、活気ある売場
お客様は、売場で商品を見た瞬間に「おいしそう」「今夜使いたい」「家族に食べさせたい」と感じます。
この瞬間をつくれるかどうかが、買上率を大きく左右します。
体験価値の高い売場は、単に商品を売るだけではなく、お客様の献立づくりを助け、食卓の楽しさを提案します。
これが、青果部門の本来の強みです。
4.青果売場は「価値の掛け算」で強くなる
青果売場を強くするには、機能的価値、情緒的価値、体験価値を別々に考えるのではなく、掛け算で組み合わせることが重要です。
たとえば、次のような売場展開です。
【朝採れとうもろこしの実演販売】
地元農家が朝採りしたとうもろこしを、売場でゆでて試食販売する。
これは、
鮮度という機能的価値
地元農家を応援する情緒的価値
香りと味を体験する体験価値
が組み合わさった売場です。
【旬のくだもの詰め合わせ企画】
子どもと一緒に選べる「旬のくだもの3点セット」や「親子で楽しむ果物バイキング」を展開する。
これは、
選びやすさという機能的価値
家族で楽しむ情緒的価値
選ぶ楽しさという体験価値
を同時に提供しています。
【鍋野菜セットのレシピ提案】
寒い日に、白菜、白ねぎ、きのこ、春菊をまとめて展開し、鍋つゆ、豆腐、精肉、鮮魚と連動させる。
これは、
買いやすさという機能的価値
温かい食卓を想像させる情緒的価値
献立がすぐ決まる体験価値
につながります。
このように、価値を掛け合わせることで、青果売場は「安いから買う売場」から「この店で買いたい売場」へ変わります。
5.青果チーフ・店長が見るべきポイント
青果部門を強化するためには、担当者任せにするのではなく、店長や青果チーフが売場の価値を点検する必要があります。
見るべきポイントは、次の通りです。
■ 鮮度管理は徹底できているか
傷み商品、鮮度劣化商品、陳列時間の長い商品が放置されていないか。
青果売場の信用は、鮮度管理で決まります。
■ お客様にとって買いやすい量目になっているか
高齢者、単身者、共働き世帯にとって、使いやすいサイズや量になっているか。
大容量だけでなく、少量・簡便・即食の提案も必要です。
■ 価格以外の価値が伝わっているか
POP、売場演出、産地表示、レシピ提案、生産者紹介などによって、
商品の魅力が伝わっているか。
価格だけの訴求では、粗利益は残りにくくなります。
■ 売場に季節感があるか
旬の野菜、果物、行事、気温、地域催事に合わせた売場展開ができているか。
青果売場は、季節感が弱くなると魅力も弱くなります。
■ 関連販売ができているか
青果単品だけでなく、精肉、鮮魚、惣菜、日配、グロサリーとの連動が
できているか。
メニュー提案によって、客単価と買上点数を高めることができます。
6.価格競争から抜け出すには「価値を伝える力」が必要
多くのスーパーマーケットでは、売上を上げようとすると、すぐに価格訴求に頼りがちです。
しかし、価格を下げれば売れるという考え方だけでは、粗利益は残りません。
特に青果部門は、相場変動、天候不順、鮮度劣化、ロス、値引きの影響を受けやすい部門です。
だからこそ、価格だけで売るのではなく、価値を伝えて売る力が必要です。
お客様は、単に安い野菜を求めているのではありません。
本当は、
「おいしいものを家族に食べさせたい」
「健康に良い食事をしたい」
「今日の献立を簡単に決めたい」
「旬のものを楽しみたい」
「安心できる店で買いたい」
と思っています。
この気持ちに応える売場をつくることが、青果部門の売上と粗利益を高める近道です。
7.青果部門は「商品補充」から「価値設計」へ
これからの青果部門に求められるのは、商品を切らさず補充するだけの売場運営ではありません。
もちろん、欠品を防ぐこと、鮮度を守ること、陳列を整えることは重要です。
しかし、それだけでは競合店との差別化は難しくなります。
必要なのは、
「どの商品を、誰に、どのような価値として提案するのか」
を考えることです。
つまり、青果部門は商品管理の部門であると同時に、顧客価値を設計する部門でもあります。
売場担当者、青果チーフ、店長がこの視点を持てば、売場は大きく変わります。
ただ並べる売場から、選ばれる売場へ
価格で売る売場から、価値で売る売場へ
商品補充の売場から、食卓提案の売場へ
単品販売の売場から、買上点数を高める売場へ
安売り依存の売場から、粗利益を残す売場へ
この転換こそが、これからのスーパーマーケット青果部門に必要な考え方です。
まとめ|青果売場の価値を高めれば、店全体の魅力も高まる
青果部門は、スーパーマーケットの入口でお客様の印象を決める重要な部門です。
青果売場に鮮度感、季節感、楽しさ、提案力があれば、お客様は店全体に良い印象を持ちます。
逆に、青果売場に鮮度感がなく、価格訴求ばかりで、商品がただ並んでいるだけでは、店全体の魅力も弱く見えてしまいます。
青果売場を強くするためには、次の3つの価値を意識することです。
機能的価値: 鮮度、品質、価格、量目、使いやすさで選ばれる価値
情緒的価値: 安心感、楽しさ、信頼感、共感で買いたくなる価値
体験価値: 五感、旬、試食、売場演出で「また来たい」と感じる価値
この3つを掛け合わせることで、青果売場は価格競争から抜け出し、地域のお客様に選ばれる売場へと進化します。
青果部門の仕事は、単なる品出しではありません。
お客様の食卓を豊かにし、店舗の利益を高め、地域のお客様から信頼される売場をつくることです。
そのためには、
売場担当者だけでなく、店長、バイヤー、経営幹部が一体となって、青果売場の価値を再設計する必要があります。
あなたの店の青果売場は、価格以外の価値をお客様に伝えきれているでしょうか。
今一度、売場をお客様目線で見直してみてください。
サミットリテイリングセンターでは、スーパーマーケットの青果部門をはじめ、生鮮部門、惣菜部門、グロサリー部門まで、売場改善・粗利益改善・作業改善・人時生産性向上の支援を行っています。
「売場はつくっているが、思うように売上が伸びない」
「価格訴求に頼りすぎて、粗利益が残らない」
「青果部門のロスや値引きが多い」
「店長やチーフの売場づくり力を高めたい」
このような課題がある場合は、現場の売場、数値、作業実態を確認したうえで、具体的な改善策をご提案します。
スーパーマーケットの営業利益を高めるためには、売場づくりとオペレーション改善の両方が必要です。
まずは、自店の青果売場が「価格で売る売場」になっていないか、確認することから始めてみてください。
(文:新谷千里)
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