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新谷千里

高利益を出すスーパーマーケットにするコンサルタント

新谷千里(しんがいちさと) / 経営コンサルタント

有限会社サミットリテイリングセンター

コラム

『キャッシュレス5%還元』明けの恐怖?

2019年12月18日 公開 / 2021年3月1日更新

テーマ:スーパーマーケットの経営戦略

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 組織マネジメントリーダーシップ スキル働き方改革

この10月から、消費税が10%に上がり、同時に軽減税率、キャッシュレス5%還元が実施されています。

思ったほどの売り場での混乱は見られないものの、申請手続き等の不備による混乱は、申請した多くの中小企業で発生しました。
改めて、中小企業の対応力と、スピード感に企業間格差を感じる出来事でも有った様に思います。

とは言え、20年6月までのキャッシュレス還元の仕組みを、棚からぼた餅的(戦術)に考えているか、または、危機感を持って先を見据えて、戦略的に捉えているかで、7月以降の業績に大きな影響を与える結果となると、私は考えています。

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価格以外の価値を打ち出せ!

中小企業は、大手企業に対して、ハンディキャップを貰って、単純に喜んでいると、20年7月以降、大きなしっぺ返しを食らうことになるのでは、と私は考えています。
なぜなら、5%のメリットだけで来店しているお客は、還元が終われば簡単にいなくなってしまうからです。

重要なことは、6月までに、マーチャンダイジングとマーケティング、作業改善など、現状業務の改善を行い、確実に生産性を上げるための行動を取ることです。

そして、『価格以外の価値』に磨きをかけ、また、新たに生み出して、お客に伝えるための行動に力を入れて取り組むことです。

具体的には、商品開発、各種サービスの充実、接客レベル・アップ、実践的マーケティング力アップなど、お店の価値を上げること、伝えることに対して、確実に改善行動を行い、店舗価値を向上させることです。

念のため…!

過去の記事でも申し上げていることですが、
「生産性を追うと、お客満足度が低下する」と思っている人がいますが、そういう人は、生産性に対する理解度が低いと言えます。

仕事を一括りで考えるのではなく、単純作業と付加価値業務に分けて、正しく理解することが重要です。
『単純作業』については、店内の作業工数と作業時間を減らすことを考えて、効率の良い仕組みを作るべきです。
そのことによって、有効な時間(人時)を作り出し、それを『付加価値業務』に対して、戦略的に投入するということが、真の生産性をアップするとことに繋がります。

また、店舗全体として、部門間の柔軟な応援体制の整備や、個人のマルチタスク化を図ることも、人手不足と賃金アップの問題に対して、大いに貢献することになることも忘れてはいけません。

これらのことを正しく理解して、具体的改善行動を取ることです。

6月までが重要な時間

そのためには、オペレーションと実践的マーケティングの正しい理解と、それを実現するための行動が求められます。  

オペレーションでの考え方としては、人時売上高と人時生産性にフォーカスすることが重要です。
先述したように、単純作業の作業時間(投入人時)を削減することによって、人時売上高のアップを意識します。
また、付加価値業務の(人時投入)拡大に対しては、投入時間当たりの粗利益高をアップさせることに視点を置いて考えると良いでしょう。

お客が、「なければ困るもの」「あったら良いなと思うもの」、また、「こんなもの(使い方)も有るんだ」という様に、お客の視点から、商品開発と実践的マーケティングを確実に行うことです。

そして、これらのことを具体的に計画立てて、課題ごとに、目標設定と達成期限を設けることです。
更に重要なことは、現場任せにせず、確実にリーダーがフォローを加えて、チームの達成を後押しします。

事例にみる正しい行動

先日、私のクライアントの青果部門が、長く続いた営業赤字の体質から脱却しました。

以下は、私のFacebookの記事を抜き出したものです。

・・・・・・・(以下、記事の抜粋)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ついに黒字化達成…! 大幅増益!
長い間苦しんだチーム。
今までの考え方、やり方を変え。やり続けた半年。
鮮度アップのための鮮度管理、数量管理。生産性アップのための作業改善、在庫削減。実践的マーケティングなど、チームメンバーは、確実に成長してくれました。

「嬉しくて、涙がでました。」
「いや、本当にやって良かったです」
彼らの心からの言葉を聞いて、こちらもウルッと、来ました。

そして、
「あと、もう少し頑張れば良かった」
という、悔しさと、次への挑戦の気持ちが、言葉に出てきました。

このチーム、まだまだ、この程度でゴールではありません。
一つの目標をクリアした段階です。
例えれば、飛行機が離陸するとき、加速に大きなエネルギーを使い、やっと前輪が浮いた状態です。これからが重要です。

粗利益が確実にアップ。
そして、投入人時数も大幅にダウンしました。

しかし、実績数値以上に嬉しいことは、現場のメンバーの意識が大きく変わり、俄然やる気を出してくれて、明るくなったことです。
各店長も、リーダーシップを発揮してくれて、改善のフォローを、してくれています。
マネジメント力も、確実にアップしています。

確実に、成功のためのプロセスを踏んでくれています。数ヶ月前のチーム状態から、様変わりしています。

「目先の売上を追わない!」、
コンセプトを正しく理解した、戦略思考の行動が身に付いてきています。

・・・・・・・(以上)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


これは、直近の現実に起こった業務改善の成果事例です。

長年の赤字体質から抜け出して、大幅な営業利益の改善を実現しました。
そして、チームは、更に上を目指してくれています。

このように、営業利益を高くできれば、少々のことが起こっても、慌てなくて済むのです。
小手先のテクニックや、目先の売上を考えるようなこともなくなります。

事実、このチームのバイヤーは、日々競合店の売値を気にして、それに対応して、時としては品質を落として、販売してしまうこともありました。

しかし、前回の訪問のとき、
「競合の売価が気にならなくなりました」と、彼は言っています。

それは、品質と味という、『お客の価値』に視点を合わせて考えることが出来るようになったからです。


価格で大手企業やドラックストアに対抗することは、会社の寿命を縮めてしまうことになります。

価値に磨きをかけて、「スーパーと言ったら○○」という様に、あなたの店の名前を出して貰えるように。
そして、何時も選んでもらえる、『ディスとネーション・ストア』を目指すべきです。

仕事は、俄然楽しくなります。

正しい業務改善を行いましょう!

この記事を書いたプロ

新谷千里

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