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新谷千里

高利益を出すスーパーマーケットにするコンサルタント

新谷千里(しんがいちさと)

有限会社サミットリテイリングセンター

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コラム

マンアワー生産性アップ【月間・商人舎2月号・原稿】

2019年2月11日 公開 / 2019年2月13日更新

テーマ:スーパーの業務改善

私は、業務改善コンサルタントとして、今まで多くの企業の現場を見てきました。
その中でも、スーパーマーケットの業界は、人時生産性の低い企業が、圧倒的に多いように思います。
前向きに考えれば、改善余地が多く、営業利益拡大のチャンスが大いにあるとも言えます。

人時生産性をアップさせられれば、営業利益の増加に繋がり、戦略の幅が広がると同時に、「従業員の報酬アップ」を実現しやすくなります。

現在のように、業態を超えた競争、人手不足、賃金の高騰、低賃金など、経営環境は益々厳しさを増してきています。
しかし、これらの改善をする上で、人時生産性のアップは、経営上大きな意味を持ちます。

この様な経営環境の中で重要なことは、目先のことに捉われず、中長期の目標として、生産性をアップさせることに注力する。そして、そのための正しい改善行動を取ることです。

人時生産性を上げるためには・・・

人時生産性は、粗利益高÷投入人時ですから、
①粗利益高をアップさせること
②投入人時を減らすこと
を実現すれば良いのです。算数上はとても簡単なことです。

粗利益高を拡大するためには、
①数量管理と品質管理の実践レベルのスキルアップ
②実践型のマーケティング力を付ける
などを実現することです。

そして、投入人時を減らすためには、
①作業種、作業工数を減らす
②在庫を削減する
③スキルアップのための教育訓練を計画的に行う
などを日々実現していくことです。

「業界の常識」という勘違い‼

これまで、お客に提供されていない、商品やサービスを提供することが、粗利益高をアップさせる早道です。競合店に対して、商品やサービスで差別化を実現出来れば、売価決定の主導権を持つことが出来ます。

また、値入れの問題も重要です。
業界の現場で、「鮮魚部門の粗利益率は、27から28%」。「総菜部門だったら、36~37%」。と言う様なことをよく耳にします。
しかし、これって、何の根拠もない数値なのです。要するに、業界の人間の思い込み以外、何物でもありません。値入れ(売価)決定に対して、何の根拠も無いのです。

取り扱う商品のグレードやサービス内容、店舗立地やターゲット層の違い、また、人件費や販促費、そして、家賃などの固定経費も、それぞれ企業(店舗)によって違うのに、です。
そして、マーケティング力によっても、売価をアップすることが出来ます。
「あそこもそうだから、うちも」的な考えは、戦略が無いということを意味します。

ちなみに、下の表-①は、私のクライアント、2108年の12月の実績数値です。
全国的に、野菜の相場が安く、この店舗も例外ではなく売上高は、前年対比88.6%という数字になっています。
しかし、粗利益率は、37.1%という高い実績を実現して、粗利益額では前年対比107.8%と、大きく伸ばしてくれています。
          【表-①】
商人舎2月号・表①
この店舗は、複数のスーパーマーケット、ドラッグストアと競争も厳しい中にあっての実績数値です。
これは、コンセプトと戦略を正しく理解して計画し、行動した結果です。
決して、業界の常識に囚われない行動が実現した結果なのです。

『付加価値業務』 と 『単純作業』 を理解する

生産性を考える上での作業(業務)は、
①『質を追求する』もの
②『量を追求する』もの
とに、分けて考えることが、重要なポイントです。
商人舎2月号②
『質を追求する』ものは、その『出来映え』を要求されるもので、
①各種の計画
②商談(交渉)
③利益を生む会議
④調査・分析
などと、
⑤営業POP(売れるPOP)
⑥試食販売
など、販売活動に直接関わるものが有ります。

一方、『量を追求する』ものは、その『出来高』を要求されるもので、
①加工作業
②補充作業
などの単純作業で、単位時間当たりの生産量(アウトプット)が重要になって来るものです。

この、『質』、『量』2つの視点を持って、投入人時をコントロールすることが人時生産性を高める上で、重要なポイントであるのです。

『単純作業』 の投入人時を削減する‼

言うまでもなく、人時売上高を考えるときに重要なことが、会社全体のオペレーション力です。
①個人やチームの作業の処理能力アップ
②作業効率を考えた店舗レイアウト設計
そして、
③カートや包装機、セミセルフ・レジなどの省力化設備の導入
更に、
④IT機器やそのシステムの導入
などによって、会社全体のオペレーション力が高まると、全体の投入人時を削減できる可能性が高まります。

この様に、多くの改善項目に対して、優先順位を付けて、スピード感をもって改善にあたることが、人時売上高と人時生産性のアップに繋がります。

特に、これらのことについて、まだ具体的な行動を取っていない企業にとっては、改善効果は大きく期待できると言えます。

単純作業を減らす具体策

限られた時間の中から、付加価値業務の時間を拡大するためには、前述のように、単純作業の作業種、作業工数を減らして、投入人時を減らすことを考えなければなりません。

具体的には、加工や補充、掃除など、単純作業の時間を出来るだけ圧縮するように、工夫をしなければなりません。

方法としては、
①月間稼働計画を立てて、人時を減らす予算を決める
②作業割当て表を作成して、適材適所で担当者を決定する
③作業指示書を活用して、作業の優先順位を付けて無駄を無くす
④作業段取りの改善を行い、処理スピードを上げる
⑤マテ・ハン(商品の移動に関わる技術)に磨きをかけて、処理スピードアップと担当者の疲労軽減をはかる
⑥道具(什器備品)を生産性の高いものに見直す
⑦科学的レイアウトの構築を行い、無駄な移動を減らす
⑧各種システム改善(物流・情報など)を行い、全体としての効率を上げる
などが、考えられます。
また、
①ピッキング(小ロット分け)
②プリパッケージ(ソースマーキングを含む商品加工)
③仕様書発注による外注化
④事務処理
などの外注化をはかり、店(社)内の作業工数を減らして、必要人時を削減します。

チェーンストアのディストリビューションセンターやコミッサリー(セントラルキッチン)などは、この目的で作り稼働させます。
中小・零細企業でも、地域業者の持っている資産を活用して、外注化を行うことも十分可能であり、初期投資を抑えることが出来て双方にメリットが有ります。

単純作業を自社内で抱え込むと、その分、付加価値業務の時間を減らしてしまうことになります。
特に、スーパーマーケットの場合、他の業態に比べて、単純作業の比率が高い業態です。
現状、人時当たりの生産高が低い店舗であれば、野菜の相場低迷時の作業量の拡大や、パート社員の時給アップなどの影響を受けて、生産性は確実に低下してしまうことになります。

人時売上高の低い企業は、今までのやり方を、根本的に見直す必要があります。

付加価値業務を増やす‼

付加価値業務の中身としては、大まかに以下の業務を意味します。

①付加価値の拡大に関係する業務
基本的には、各種の計画、商談、会議、調査・分析などが、これに当たります。

②お客に「美味しい」「楽しい」「安全」「健康」「簡単便利」「安心」などを体験してもらうための業務
陳列演出、POPや試食販売などは、お客に情報発信して、直接的にアプローチする業務です。戦略的に考えて、その投入人時を拡大することで、競合店に対する差別化を生み、粗利益の拡大に繋がります。
要するに、「お客が喜ぶこと」に、直接的にかかわる業務のことです。
この業務は、「時間が足りなくて出来ない・・・」などとは、言っていられません。

付加価値業務は、粗利益高の拡大に大きく貢献する重要な業務であるのですから、戦略的に人時を投入することを考えるべきです。

“経費” と “投資” を正しく理解する⁉

付加価値業務(出来映え業務)に使う人時(人件費)は、『投資』と考えます。
一方、単純作業(出来高業務)に使う人時(人件費)は、『経費』と考えます。
このように考えると、取るべき方向性が鮮明になり、行動の無駄が少なくなります。
商人舎2月号3
どちらも、単なる経費(人時)と考えてしまうと、戦略を見誤ることになります。
コンセプトや独自性の追求のためには、
①実行計画
②競合店が販売していない商品の仕入れのための活動
③各種商品開発
④打合せや会議
⑤市場調査や分析および対策
などといった、戦略立案と実行のための時間が必要です。

これらは、今後得られる売上や粗利益を拡大するための投資です。
投資の質が高ければ、リターンも大きいものになる可能性が高くなるでしょう。

一方、単純作業は、時間当たりの処理量を追求するのですが、逆の言い方をすれば、処理すべき作業量に対して、「如何に少ない人時で済ませるか」という、ローコスト・オペレーションの考え方と、そのための日々の改善行動が求められます。

例えば、ゴンドラの中の定番商品の補充品出しは、先入先出し(日付管理)をして、フェイスアップをします。決められた目標レベル(ルール)を守り、少ない人時でやり遂げるのです。

そのためには、担当者に対して、
①道具の使い方(補充カートやモップなど)
②手順や要領
などの教育訓練を行い、
③フェイスアップ
④処理時間(スピード)
などの目標レベルを伝えておくことが重要となります。

更に、物流システム全体として、センターでの積み込みの要領、荷受け場での振り分けの要領なども、現場の単純作業の工数を減らし、担当者の負担を軽減して、トータル人時の削減を実現することが出来ます。
「楽に・・・」、「早く・・・」、「簡単に・・・」
そして、トータル経費を、「安く・・・」
が、単純作業の改善ポイントです。

戦略的に、人時生産性をアップさせる

営業活動で生み出した粗利益高÷投入人時が、人時生産性です。
そして、高い人時生産性を達成することが出来れば、時間(活動期間)の経過と共に、営業利益は、確実に高くなります。

値入率の低い、NB商品が多いグロサリー部門でも、時間当たりの処理量を高く出来れば、商品全体の粗利益高は高くなります。結果として、人時生産性は、高くなります。

時間当たりの処理量を上げるためには、
上記①から⑦のような、仕組みの構築を行うなど、改善を重ねて、作業の処理スピードを高めていくことに加えて、アウトソーシングが効果的です。
多くの場合、専門業者には、熟練した高い技術を持ったスタッフが揃っているため、処理能力が高いと言えます。
そして、
①納品時間
②納品ロット
③納品形態
④完全ソースマーキング(バーコードの貼付)
などのルール設定を行うことで、更に店内の作業工数は、削減されることになります。
そのためには、信用のできるパートナー企業を見つけること、また、育てることが重要になります。

その他、投資は必要になってきますが、自動発注システムなど、ITの導入により、発注の精度アップや作業工数の削減などが可能になります。

一方、付加価値業務の『生み出す質を高めること』とは、他社との差別化を生み、価格決定を容易にして、高い値入率を実現できることになります。

価格以外の、価値に焦点を当て高い値入率を実現するためには、
お店のコンセプトを基に、
①「競合他社が遣っていない、商品やサービスを提供する」
②「商品の持つ価値情報を、お客に確実に伝える」
ことに対して、計画的に人時を投入することです。
「美味しい」や「楽しい」、「安全・安心」や「健康」、「簡単・便利」など、『独自の売り』をお客に提供して、良い体感をしてもらうのです。

そのためには、売場において、営業POP(売れるPOP)の掲示や試食販売などで、お客にダイレクトに訴えるプロモーション(売れる仕組みをつくる)が、重要となります。

1.単純作業は、時間当たり『処理量』を上げる
2.付加価値業務は、『生み出す質』を高める
ことの実現性が高くなれば、人時生産性はアップして、結果的に営業利益がアップすることになります。
        ※人時生産性と営業利益の向上のイメージ図
商人舎2月号・4

高い目標設定が重要‼

日本リテイリングセンターの故渥美俊一先生は、チェーンストアとしての『作業システム改革原理』の中で、
⇒ 到達すべきゴールは、人時生産性5,000円(店舗段階で6,000円)があるべき形
⇒ 労働生産性では、1,000万円(店舗段階で1,200万円)(年間総労働時間2,000時間)
そして、やらなければならないことは、
⇒ その収益モデル作り
であるとおっしゃいました。

重要なことは、遣って来た行動の結果が、「どれくらいの生産性アップに繋がったか」ということです。(売上ではありません)
他所の遣っていることを表層的に真似した程度では、人時生産性はアップしません。逆に、低下することさえあります。

コンセプトや戦略、そして、生産性を正しく理解できていれば、
☛ 遣るべきこと(増やす、創造する)
☛ 遣ってはいけないこと(取り除く、減らす)
が、容易に判断できるようになります。

          ※業務改善の取り組み事例
商人舎2月号・5
これらの取り組みが、人時生産性を確実にアップさせることに繋がるのです。

人事的戦略の重要性

現場のオペレーション(作業と仕組み)のレベルを確認していなければ、本質な問題は分かりません。これについては、実践経験を積んだ外部の専門家に依頼してノウハウを吸収することが、効率的だと思います。

例えば、過去の社員の頭数に対して、それが減ったことが人手不足とは限りません。
事実、私は多くの現場でそのことを確認してきましたし、人を補充しなくても、簡単に人手不足を改善した事例は数多くあります。
特に、スーパーマーケットの場合、加工や補充など作業種が多い分、作業改善を行うことで改善効果が期待できます。

目指すべきは、人時生産性を上げて、従業員の時給を上げることです。
時給が上がれば、定着率も上がり、優秀な人材も募集しやすくなります。
それだけでも、生産性はアップします。

従業員の成長を後押しするために、
①スキルアップ(教育訓練)計画
②やる気の出る評価制度
③報酬アップ制度
など、社内の仕組みづくりが重要です。

高い生産性は、規模の大小ではない⁉

 
人時生産性の高さは、企業規模の大小ではありません。

IT技術など、高額なシステムへの投資は、企業規模が大きいほうが優位であるでしょう。
しかし、オペレーションの改善や、実践型マーケティングに関しては、企業規模が小さいほうが柔軟にスピードをもって、やり方を変えることが出来ると思います。

重要なことは、「何を目標にしているか」ということです。
目先の枝葉末節的なものに気を取られていたら、根幹の部分の改善を忘れてしますことになりかねません。

競争の厳しい中で、人時生産性を確実に高めるためには、
①独自性を確立する
☛ 付加価値業務に人時を投入して、粗利益高を高めること
②オペレーションの無駄を削ぎ落とす
☛ 各種単純作業の投入人時を削減する
ことが重要なのです。

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この記事を書いたプロ

新谷千里

高利益を出すスーパーマーケットにするコンサルタント

新谷千里(有限会社サミットリテイリングセンター)

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