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新谷千里

高利益を出すスーパーマーケットにするコンサルタント

新谷千里(しんがいちさと) / 経営コンサルタント

有限会社サミットリテイリングセンター

コラム

『資金繰り』に悩んでいる会社こそ、売上や粗利益を追うな‼ 【商人舎magazine3月号・原稿】

2017年3月10日 公開 / 2017年10月28日更新

テーマ:スーパーマーケットの経営戦略

コラムカテゴリ:ビジネス

会社を運営するうえで、重要なことは、黒字経営をすることですが、
それ以上に重要なことは、資金繰りです。資金繰りが出来なければ、会社は潰れます。

私が、2月末にクライアント(指導して半年目)へ訪問した時のことです。
その社長と話しているときの、社長一言です。
「1月、2月の月末は、大変です」

中小企業のスーパーの経営者であれば、多くの人が経験している悩みでしょう。
それは、繁忙月の翌月の資金繰りです。

12月は、年間で1番か2番に売上高が大きくなる、いわゆる『稼ぎ時』です。当然仕入れ金額も多くなります。
ところが、年が明けて1月や2月になると、営業日数や12月の反動などで、売上が低くなる店舗が多くなります。
このため、1月2月は、単純に支払いのための現金が、足らなくなる可能性が高くなります。

勿論、会社の収益力が高く手持ち資金に余裕が有れば問題ないのですが、営業利益率が低かったり、12月に思うような売り上げを伸ばせなかったりすると、それが顕著にこの時期に表れ、資金繰りに苦労することになります。


■ 元気のない会社は、目先の売上を追っている


「○○君、しっかり粗利出してや~・・・」
社長は、ミーティングの時チーフのハッパを掛けています。
しかし、そもそもこれが間違いです。(このクライアントの場合は)

低い営業利益や借入金の返済が多いなどで、自転車操業をやっていると、1月、2月、9月末など、度々支払いのための現金が足りなくなります。
これが、繰り返されている場合、資金繰りのために売上(現金)が欲しいと思うのは、当たり前のことです。
しかし、何の手も打たず、状態を続けていると、一生その状態から抜け出すことは出来ません。

ましてや、スーパーに限らず、ドラッグストアやディスカウント・ストアなどが商圏内に出店してくれば、売り上げは低下します。
損益分岐点が高い会社は、会社の存続も危うくなります。

本当に考えなければならないのは、資金に余裕を生むための営業利益率の向上です。

資金繰りが出来ずに、黒字倒産する会社もあることは事実ですが、一時的に売上で資金繰りが解消されても、根本的な解決が出来ていなければ、何れ同じことを繰り返すことになります。


■ 目的を営業利益に置くことの重要性


何をビジネスの目的(戦略)にするかによって、それを達成するために行動が変わります。

下の表を見ていただければ、お解りいただけると思いますが、
① 売上だけを目的にしている場合、在庫もロスも、作業効率も投入人時も問題ではない
② 粗利益を目的にしている場合は、在庫やロスは、重要な要素となるが、作業効率や投入人時は問題ではない

一方、
③ 営業利益を目的にした場合は、在庫もロスも、そして、作業効率も投入人時(人件費)もすべて重要な要素となる
のです。

SM1601・1
何処に「目的を設定するのか」「目標をどのレベルに設定するか」ということで、必然的に現場の取るべき行動は変わります。

営業利益率の低い会社は、殆どの場合、この①や②に焦点を当てて行動しています。
だから、儲からずに、資金繰りに振り回されるのです。

売上高も粗利益高も、営業利益を上げるための要素であることは確かですが、目的である『儲け』では有りません。


■ 上手くいかなければ、今までの『やり方』を変える


「社長、それが間違いです」
「考え方とやり方を変えましょう」
「方法は、幾らでもあります」

私は、「○○君、しっかり粗利出してや~・・・」と、
社長がチーフに掛けた言葉に対して、ストップを掛けました。
その意味は、今までの『考え方』と『やり方』を変えていかなければ、今の問題から抜け出すことが出来ないからです。
ズバリ、『今までのやり方』を続けることに大きな問題が有るということなのです。

営業利益の低い会社に共通することは、
① お客の視点ではなく、こちらの都合になっている
② 低価格一辺倒の価値提供になってしまっている
③ 売場が変わり映えせず、マンネリ化している
④ 生産性が低い
⑤ 作業効率が悪い
⑥ 従業員の報酬が低い
などの共通点が多く見られます。


■ 中長期の成長のために、目標を変えること


営業利益率を向上させるために必要な取るべき行動とは、
・無駄な在庫を減らすこと
・それによって、無駄な作業や商品ロスを減らす
・結果的に、全体のムダな人時を減らすこと
・お客に提供する商品の鮮度を上げること
・作業改善を行って、楽に早くできるようにすること
・個人個人のスキルアップ計画と1年後の目標設定をすること
などの基本的なことです。

そして、
・新規性のある商品を仕入れて販売すること
・そのための営業POPや試食販売などに時間を投入すること
・結果的に、見慣れた(見飽きた)変わり映えのしない売場を無くすこと
・楽しい、面白いと言った、創造的で情緒的価値を感じる企画(商品)を提供すること
など、お客が悦ぶことにフォーカスして行動することです。

売る側の都合の視点を、「お客の視点」と「従業員の視点」に置き換えて行動することが重要なのです。

基本的には、「営業利益を上げる」という視点を持つことです。決して、営業利益の拡大に繋がらない、「目先の売上を追う」ことでは有りません。
その為には、当たり前のことですが、「粗利益を上げる」ことと、「経費を下げる」ことに集中して行動することです。

今までの行動を変えずに、売上や粗利益を追っかけても、思うような結果は得られないのです。


■ コンセプトの設定と共有


更に、改善行動の前に、ビジネスを成功させるための基本の部分をしっかりと理解することを忘れてはいけません。
それは、コンセプトをしっかり持って行動することです。

例えば、「地域一番の鮮度を提供すること」や、「美味しいと言ってもらえる商品」を提供することなどです。

その為には、
・コンセプトに沿った行動指針(戦略)を、誰でもわかるように紙に書き上げる
・目標設定と期限を設定すること
・そのことをチーム全員で共有化すること
・目標を達成するための、具体的行動計画を立てること
・これらのことについて、メンバーでアイデアを出し合うこと
などです。


■ 成功のためのリーダーシップ


そして、何といっても重要なことは、
・社長や店長(リーダー)が、日々の現場の改善活動を小まめに見てあげて、
確実にフォローすること
⇒『スピード』と『徹底(継続)』
・そのこと以外の、「どうでも良いこと」に、リーダーは時間を使わないこと
です。


「言っているんですけどね~ッ」は、日々現場をフォローしていない、怠け者のリーダーの口癖です。

店舗は、店長で決まります。会社は、社長で決まります。

その店長や社長の、重要な仕事は、現場を良く知り(観察と理解)、目的達成に向けて、確実にフォローしてあげることです。
そして、成功に繋げてあげることです。
これが、リーダーシップなのです。

そして、改善のスピードを上げるためには、現場を離れた会議室ではなく、常に現場を観察して、現場のメンバーと共に問題を発見し、それを共有化する。
更に、即時改善策を立てて、即時実行に移すことが重要です。

特に、小さい会社の強みは、ここに有ります。


■ 止めなければいけない、現金化


今月度の売上高と減価償却費に売上以外の現金収入を足したものから、先月度の仕入れと各種営業経費(減価償却費以外)に借入金など返済金など足したものを差し引いたものがキャッシュフローとなります。

※キャッシュフロー(現金収支) =
(売上高+減価償却費+売上以外の現金収入)-
(買掛け金支払い高+各種営業経費(減価償却費以外)+借入金済金など)


これが、プラスであれば問題ありません。
当然マイナスであれば、金融機関等から借り入れを起こして、短期借入金で賄わなければなりません。

何らかの事情で、金融機関から借り入れが出来ない場合、
・商品券などの値引き販売
・低価格販売による無理な特売
などで、一時的に現金を増やすことは出来ます。
しかし、これは、経理的処置で在庫を現金化しているだけで、実質的に粗利益を低下させることですから、緊急処置以外基本的にはお薦めできません。


■ 経理部が遣らなければならない、キャッシュフロー改善策

■ 商品部が出来るキャッシュフロー向上策


 つづきは、こちらからご覧ください⇒ 商人舎magazine3月号・WEB版
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■ 『スーパーの業務改善』 その他の参考記事
  参考記事はこちらから、ご覧ください ⇒ スーパーの業務改善


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