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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

コロナ以後の間取り

2022年10月21日 公開 / 2022年10月22日更新

テーマ:【賢い家造り】

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 注文住宅

在宅の場合、どこで仕事をするか

コロナ以降大きく社会が変化しています。大手の会社にその影響は顕著に表れています。大手の通信系の会社は完全在宅勤務を始めました。大手の電機メーカーも在宅勤務となっています。
つまり、毎日の通勤地獄から解放され、また連絡さえ取れれば、どこで仕事をしても構わない時代になったのです。
と云っても、誰が見てるか分からない公園や、フリーWi-Fiが使えるからと云って、珈琲チェーン店で仕事をする訳にも行きません。
大切な情報をライバル会社にすっぱ抜かれる恐れもあります。
どうしても、家の中で仕事をする事になるのですがリビングでは集中出来ず、家族の声も拾ってしまう為リモート会議も出来ません。
最近、その為か、ご主人さんから書斎を要望する声が多く上がって来ています。
一般の方の住宅の延床面積は30~35坪程度です。建築物価が高止まりを見せ、職人さんの手間賃も、ガソリン代の上昇と共に上がっています。すなわち、今後限られた予算の中で建てられる床面積はどんどん小さくなって行く事になります。

それなのに書斎?

書斎を入れ込むヒント

これからの書斎は、家の中で唯一外貨を獲得する空間と捉え、より充実させるべきです。
コロナ以前の間取りは、「とにかくリビングを広く」と云う声が圧倒的でした。今まで住んでいた家には収納スペースが少なく、なんでもリビングに置いてしまう為、リビングは幾ら大きくしても大きすぎる事は無い。と云う発想の様です。
これは本末転倒です。本来はリビングを削ってでも納戸やクロークを設けるべきなのです。何も置かないリビングであれば、4人家族でも8帖あれば十分です。
「お客様が来た時溢れてしまうではないか・・・・」
大丈夫です。そんな改まったお客様なんて何年に一度も来ません。
リビングを8帖程度に抑え込み、残りの余ったスペースを書斎や納戸にするのです。

書斎を入れ込むヒント2

リビングは8帖程度でも良いを云ったのは、他にもう一つ理由があります。リビングには主婦しかいないのです。
食事が終わると子供たちはサッサと自室に閉じこもり、スマホで親が想像すらできない事に夢中になっています。
旦那も寝室で残業しています。
これって家族でしょうか。本来の居間は家族の集う場であるはずです。
子供は子供室を作ってやれば、勝手に勉強して大人になっていくと考える親の無責任さが、現代社会の歪みになっている気がしてなりません。
子供をリビングに戻す為に、子供が一日の大半をリビングで過ごせる様に、子供たちにとってリビングを快適な空間にしてあげる。
逆に言えば、子供部屋を思いっきり居心地の悪い空間にして、寝るとき以外は居たくない様な空間にしてしまう。(思いっきり狭くするとか)
そこでスペースにゆとりが生まれるはずですから、そこに書斎を設ける。

その他にも

家を仕事場にするのは、時間の節約が出来て効率的ではあるのですが、公と私の区別がつき難い欠点もあります。仕事に走ってしまうと24時間仕事をするハメになります。
あえて気持ち的に、公の空間を家に求めるならば、それは玄関です。
玄関は屋内(私)と屋外(公)を結ぶ中間点にある為です。
玄関に少し膨らみを持たせ、そこを仕事場にするのもありです。靴を履くのがいいですねぇ。靴を脱げば(私)となり靴を履けば(公)となります。

如何に書斎空間を確保するかで頭を痛めるよりも、出勤しなくて良いのだから、田舎で広大な土地を求めて、堂々と家の中に仕事部屋を作る方法もありです。

コロナ以降ライフスタイルはもっと変わっていきます。既存の間取りに固執していては、入居後すぐに不満が続出する事態にもなりかねません。旦那さんが家にいる事で、奥様のライフスタイルも変化する事でしょう。
共稼ぎの可能性や、子育ての負担も軽減されるかもしれません。(旦那さん次第ですが・・・)

新築する際は、現状の不満を列挙して、既成の間取りに囚われず、自分たちが最も快適とする空間とは何かを模索する事が家造りの秘訣となります。

この記事を書いたプロ

福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(岡田一級建築士事務所)

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