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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

一階床工事

2018年12月19日

テーマ:住宅建築工事実況中継(只今工事中!!)

コラムカテゴリ:住宅・建物

土台敷き


基礎工事が完了すると土台を敷きます。柱は基礎コンクリートの上に、直接建てるのではなく、土台の上に立つ事になります。構造的に土台の役目は、ホールダウンアンカーの出現で、重要度は低くなりましたが、柱の位置を固定したり、壁の通りを真っすぐにする意味で、大切な構造材です。青く見えているのは基礎断熱用のポリスチレンフォームです。

基礎断熱


この建物は、基礎断熱を採用しています。床の断熱方法は、床断熱と基礎断熱の二種類があります。床断熱の床下は、屋外と同じ環境で、床下換気口や、基礎パッキンの間から外気が自由に出入りします。自由に出入りしないと、床下の空気が淀み、湿気て土台を傷める恐れがある為です。その為に床の直ぐ裏側に断熱材を施し、断熱するのですが、床材と断熱材の間に隙間が出来てしまうと、外気と同じ冷気が、床材を冷やす事になり、より精度の高い工事が必要になります。
基礎断熱は、床下を、室内空間と同じ環境にしようとするものです。室内と床下の間にガラリを設けたり、強制換気を用いて、床下の空気と屋内の空気を循環させることにより、床下の空気の淀みを無くそうとするものです。基礎断熱のメリットは、地熱を利用できる事にあります。地中の温度は年間を通じ、16℃と一定しています。つまり、夏の16℃は涼しいですが、冬の16℃は暖かいのです。その地熱を基礎のコンクリートに貯め込み、ゆっくりと屋内に放射して、室内温度を一定に保とうとする発想です。コンクリートは比熱が大きく、一度温まると冷えにくく、逆に一度冷えると温まり難い性質を持ちます。その特性を蓄熱材として利用するのです。外気温の影響を避ける為、写真に写っている様な、断熱材を張り付ける事になるのです。
床下を室内と同じ空間にする為、工事中の木屑やゴミが入る事を極力防ぐ努力が必要となり、工事関係者の意識が徹底していないと、後々のクレームの元になります。

また、基礎パッキンも、床断熱で持ちいる基礎パッキンでは、外気が侵入しますので、基礎断熱用の気密パッキンを用い、尚且つ気密シートで、隙間を塞ぎます。

床暖房もしないのに、冷たく無い床

「真冬の朝、裸足で一階の床を歩くのが冷たくて辛い」と云う声をよく聞きます。一般的な住宅の場合、床板の一枚下は、真冬の氷点下近い外気温を同じ環境で、床板を冷やしている為にそうなるのです。基礎断熱を行えば、最も低い温度でも、地中の温度(16℃)程度の温度が担保されていますので、一階の床でも冷たくありません。勿論床暖房ほどの暖かさはありませんが、冷たく無ければ、朝の起き抜けの家事仕事も苦痛ではありません。
床暖房は、床暖房を施した場所だけが暖かいですが、基礎断熱は一階の床全てを冷たく無い床にする事が出来ます。

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福味健治

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福味健治(岡田一級建築士事務所)

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