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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

地中梁を設けた基礎配筋

2018年12月9日

テーマ:住宅建築工事実況中継(只今工事中!!)

コラムカテゴリ:住宅・建物

木造住宅にも地中梁は必要

阪神大震災以前は、さほど重要視されなかった基礎ですが、基礎が割れた事により上部の構造に大きなダメージが出た家が多かったため、基礎の構造的な強化が重視される様になりました。
阪神大震災以前の基礎は布基礎が主流でした。

布基礎は、土台を支えるコンクリートの立ち上がり部分の下に60cm程度の幅でコンクリートの底盤を設けた基礎で、施工が簡単でリーズナブルなのが特徴です。しかし、地震が起こると不同沈下や基礎の割れが大きな問題となりました。
その為に、阪神大震災以降ベタ基礎が重視される様になりました。

最近は殆どの木造住宅がベタ基礎に変わっています。
布基礎と、ベタ基礎の大きな違いは、底盤の面積の違いにあります。ベタ基礎は底盤の面積が広い分、単位面積当たり、基礎が負担する荷重を軽減する事が出来ます。また、基礎全体が一体で成型される為、不同沈下のリスクも減ります。そこで闇雲にベタ基礎が普及してしまいました。
しかし、熊本地震ではべた基礎を施した建物でも被害が発生しました。ベタ基礎が板チョコを割る様に折れてしまったのです。普通の鉄筋コンクリートの床は梁で支えられています。ベタ基礎には床版はあるのですが、梁に相当する基礎の立ち上がりが、点検用の人通口を作る為に、あちこちで寸断されています。鉄筋コンクリート造の建物で梁が途中で切れている様な状態は、明らかに構造的欠陥ですが、木造の場合、非常に不明確で建築基準法にも明確な規定がありません。
現在は、設計者の判断で、人通口部分の補強が行われています。私も今まで、開口補強として下の写真の様な補強をして来ました。

人通口部分の下を掘り下げ、地中梁として必要な梁背を確保して構造上一体として、地中梁が機能するように、していました。これをしなければ、床版は板チョコを割る様に折れてしまいます。

今回の建物では、地中梁を人通口の下だけでなく、直行方向の地中梁にまで到達させています。そうする事で力の伝達がより明快になり、基礎の剛性が高まります。
こう云う一手間は、コンクリートを打ってしまえば分からなくなってしまいますので、大手のハウスメーカーでも、行っている処はありません。しかし、将来的には鉄筋コンクリート造同様の地中梁の回し方をした方が、地震に強くなるのは目に見えています。
この地中梁は、今後、私の設計する家の標準にして行こうと考えています。

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福味健治

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福味健治(岡田一級建築士事務所)

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