作業服を着た営業マン
人工スレートが屋根材を席捲している
屋根材は瓦屋根が急速に減少しています。瓦屋根は新しい屋根材に淘汰されてしまうのでしょうか?
理由は、地震に弱い事です。阪神大震災の時に瓦屋根が見事にずり落ち、屋根の下地がむき出しになっている住宅を多く見ました。その後数か月間ブルーシートに覆われた屋根を見るにつけ、瓦屋根は地震に弱いが定着してしまったのです。
しかも、スレート屋根と比較して重量が重く、構造設計者にも好かれていません。屋根に重たいモノを乗せると地震の時に余計に揺さぶられてしまう為です。
価格的には、屋根下地等の費用から考えれば大差は無いのですが、屋根下地に合板を用いるスレート屋根の方が、スマートで見栄えも良く、合板そのものも地震時に強い水平剛性を持っている為、いい事づくめの様に思えてしまうのです。
スレート屋根の薄っぺらい屋根ばかりで良いのか
私の、材料選定の基本は、建設地の気候風土に根ざした、ものを使用することを前提に、メリット・デメリットを説明して、建築主の好みに合う材料を絞り込んでいます。ですので、同じ地域でも、雪の吹き溜まりになる場所・風の通り道になっている場所、軟弱地盤の場所と云った詳細な条件設定がないと、一概に「この材料がお勧め」と決め付けることはしません。
人は誰でも好みの屋根材をお持ちかと思います。その屋根材を誰かに相談した時にデメリットを一杯聞かされると、悩やんでしまいますよね。
プロが、建築主からこれを使いたいと云われると、その材料の欠点を補うような下地材を選定したり、構造補強をしたり、断熱材を決めたりします。
建築主の好みと、その地の気候風土に根差した材料を選定します。先に示した様な数多くのメリットが有っても、闇雲にスレート屋根を勧めるつもりはありません。
例えば、プロがこれを使いたいと聞いてデメリットばかり羅列して、建築主の意にしない材料を押しつけるのであれば、そのプロは能力不足です。
ご家族の方で意見が分かれるようであれば、専門家の意見を重視されて選定されればと思います。