作業服を着た営業マン
昨年「ワイルド」と云うフレーズが流行語になりました。この時のワイルドは粗野・粗暴の意味で使われていた様に思います。ワイルドにはそれ以外に自然・荒野を表す意味もあります。日本語で考えると、意味により対義語が変わりますが、粗野・粗暴の対義語を考えるとエレガントになると加藤和彦は云っています。
ズボンのポケットに手を突っ込んで歩くのがワイルドで、ポケットがそこにあるのに手を突っ込まずにいるのがエレガントだと云ってます。
つまり、エレガントには自制心が必要なのです。自分を律っしないとエレガントには振る舞えません。そこには教養の高さも必要です。
数寄屋建築を見学して思うのは、エレガントです。住まう人の教養の高さ、自制心の強さが家のカタチとして現れています。見る人に緊張感を与え、隙を見せない凄みを感じさせる家です。
数寄屋と言えば高価な建物と云うイメージがありますが、お金を掛けなくてもエレガントな住宅にする事が可能です。
一般住宅に当てはめると、日常使うモノを片付けず、部屋の中に置きっ放しにしてあるのがワイルドで、綺麗に片付いている部屋がエレガントです。
日常使うものを片付けてしまうのは、効率を考えると非効率ではあります。しかし片付けないことはズボンのポケットに手を突っ込んで歩くのと同じで、ワイルドな習慣なのです。
一般住宅でも、数寄屋建築に負けない美しさを持たせようと思えば、簡単に部屋を片付けられる様に収納空間をしっかりと考える事です。簡単に片付ける事が出来ないから、置きっ放しになるのです。
一般の人は間取りを考える時、部屋の数と部屋の大きさばかりに気を取られ、収納スペースに目がいきません。これは高額な住宅、ローコスト住宅を問わず目に付くポイントです。それも量ではなく、如何に手早く収納出来るかを考えることなのです。そうでないと早晩、部屋の中は日常品で埋め尽くされてしまうでしょう。
綺麗な家に住みたい、気持ちの良い家に住みたい、と望むのは誰も同じかと思います。しかしそこに住み続けるには、それなりの自制心と教養が必要になります。