作業服を着た営業マン
社会生活をしていると、常に結果を求められます。上手くいかなかった場合失敗した原因を、後になってどうこう言われる事ほど鬱陶しいものはありません。真摯に結果論をどれだけ受け止めて、次に生かすかがその人の技量と信じたいですが、人は往々にしてそのことから逃避します。
今回のWBCのマスコミ報道も、指揮官をかばってか、意外と好意的な記事が多かった様に思います。
しかし、今回のWBCのメンバーの表情を見ていると、初めから不協和音の漂っていそうな印象を受けました。全日本メンバーを募ってレギュラーの固定化を図るために、合同練習に入ります。その過程で、去年の実績とか、選手の人気とかがレギュラーを決める要素になっていた様な気がします。
短期決戦では実力以外にラッキーボーイが存在します。また幾ら実績があっても調子を落としている選手もいます。ペナントレースの様に長丁場であれば、使い続けていれば調子を取り戻す選手もいるでしょうが、トーナメントの短期決戦では、調子の回復を待つ余裕はなかったはずです。
調子の良い選手から使う。そこ事に徹底すべきではなかったでしょうか。強化試合も含め殆どの試合を見ましたが前回、前々回に比べ選手の表情が暗かったのが気になりました。調子の良い選手から使えなかった大人の事情もあるのかも知れませんが、TVを見ていて選手の表情からそれが見て取れ、今回は優勝は無理だなと感じました。王氏が指揮を取った、第一回目のWBCでは人気・実力共申し分のない福留選手を、あえてレギュラーから外しています。調子を落としていた為です。そんな時でも、裏方陣に福留選手の心理をケアする人がいたのでしょう。ここ一番の代打で勝利に貢献するホームランを打っています。今回もレギュラー構想から外れていた井端が燻し銀の様な活躍をしましたが、それに続く選手を見いだせなかった処に、戦略的な敗因があった様に思います。
戦術的な敗因としては、やはり最後の試合の8回の裏の攻撃でしょう。一点を返して1アウト1・2塁の状況です。相手は精神的に追い詰められている状況ではありますが、攻撃側も極度の緊張状態にあります。そんな状況下で、盗塁するならする。待つなら待つ。と云ったしっかりした指示を何故出せなかったのでしょう。「出来るのなら盗塁してもいいよ」と言うサインがある事を初めて知りました。盗塁王に出すサインなら納得出来ますが・・・
この場面、失敗すれば何をしても指揮官が責められるのですから、思い切ったプレーをしてくれたら結果はどうあってもファンは納得します。勝利をみすみす相手に与えてしまう悔しさだけが残った試合でした。