グルーミングルームのある間取り
パソコンの性能向上は恐ろしい速さで進化しています。人間の発想がそれに追いついていないのが現状です。
5年ほど前に「セカンドライフ」と云うソーシャルネットワークの日本語版が登場し、一時流行しました。コンピュータの中の仮想空間に自分の分身(アバター)を置いてそこで社会生活をさせて、現実世界では実現出来なかった夢を、この世界で実現させようと云うものです。
あちらこちらで日本人コミュニティーが発生して、その中で現実世界と同様の社会生活が営まれました。あまりに良く出来た仮想世界でしたので、現実社会の嫌な面も投影してしまったり、別に仲間を集めて敵を倒す訳でもないので、そのうちに下火になり忘れ去られた存在になっています。
仮想世界に入っても、ただ空間が広がっているだけで、誰もいないゴーストタウンばかりになっています。
ただ、今の私には返って都合の良い世界になりました。私は特に人を求めて「セカンドライフ」に参加した訳ではありません。誰もいなくなった仮想空間をモノづくりに思いっきり利用しています。
実際に建てようとする家を前もって造る事が出来ます。一件一件クライアントに合わせた家を建てていますので、毎回が初めての経験です。モノを造ると云う行為で、プロとアマの違いは以前に似たような経験をしているかどうかの差しかありません。ですのでこのシュミレーシンは大きな意味を持ちます。
実際に現実世界でモノを造れば費用負担が伴いますが、「セカンドライフ」では全てタダで行えます。この世界で人より良いものを着たり、良い場所に家を構えたりすると、この世界の独特な課金システムを利用することになり、費用が発生しますが、原則的にモノを造るだけならタダです。
おまけに、元々がソーシャルネットワークですので、クライアントにも参加してもらえれば、打合せも行えます。車で移動する時間も省けますし、夜遅くに打合せする事も可能です。
建築の知識が無くても、頭の中にあるイメージを吐き出すのには都合の良い世界です。二次元のお絵かきソフトよりも複雑で、苦労しますが自転車と同じで一度慣れてしまえば簡単です。