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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

坪単価を固定して考えてはいけない

2013年2月12日

テーマ:【賢い家造り】

コラムカテゴリ:住宅・建物

「この間取りで幾らぐらいしますか?」良く聞く質問です。毎回私はこう聞き返します「ご予算はどの程度ですか?」この質問をすると半数程度の人の反応は、他人のカードを覗き込むな、と言わんばかりの迷惑そうな顔をされます^^

迷惑そうな顔をされる方は、凡その相場を耳学問で知っていて、回答された値段が高いか安いかセフルジャッジされようとしているのだと思います。しかし、間取りだけで値段を出せる人はプロでも皆無です。
間取りだけで、建築費を類推するデータとなるのは、延べ面積が大きいか小さいかで、同じ仕様でも坪単価が変動するので、経験からこの程度はするだろうな、と云う勘みたいな心もとない根拠のみです。
建築主さんにしてみれば、聞いたところで何の判断材料にもならない回答です。それをマコトしやかに、営業トークされて、自分も判った様な気分になると云うのが殆どの建築主さんです。

私は坪単価を固定して考えません。当然限界はありますが、予算に合わせて建築主の希望を何処まで叶える事が出来るのか真剣に考えます。阪神大震災の時は350万円で復興住宅を手掛けました。今同じことをしても喜ばれるとは思いませんが、当時は随分感謝されました。
家造りの最初は、坪単価の世間相場を知る事ではありません。まずは自分がどんな家に住みたいのかを伝える事です。
医者に見てもらうのに、「私は胃癌です」とは言わず、自覚症状を伝えることから始めるでしょう。それと同じです。
世間並みで良いと思っても、自分の考える世間並みと、造り手が考える世間並みには随分差があるものです。

この記事を書いたプロ

福味健治

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福味健治(岡田一級建築士事務所)

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