食博の歩き方
人間の本性を示す言葉として性善説と性悪説があります。人間は生まれた時から清らかで良いことを行えば気持ち良くなり、基本的には良い行動を行おうとする行動に基づく考えが性善説です。
性悪説は、人間は生まれながらにして、自己保存の本能があるから、他人を蹴落としてまで生き残ろうとし、それを理性で抑えているだけだと考えるのが性悪説です。
どちらが正解でどちらが間違いと云うものではりません。人間にはそう云った二面性があると云う事です。
法律の作成には欠かせない考え方で、性善説に基づくか性悪説に基づくかで、法文の書き方が変ります。
性善説に基づく法律は禁止事項を定めます。「○○はしてはいけない」「○○以上でなければいけない」とか禁止事項を定めていますので、定められた禁止事項以外は何をしても良いと云う事になります。
建築基準法は禁止事項を定めた、性善説に基づく法律です。建築確認申請は法律に違反していないか、法文に照らし合わせて確認するだけで、確認書通り施工されていなくても法律に違反していなければ適法です。
悪意を持って悪い事をしようと思えば、禁止事項さえ守っていれば何をしても勝手です。姉歯事件の様に禁止事項さえ守らない不届き者もいますが、法文条項の隙間をすり抜けて建築確認を通してしまう、本当の悪者はもっと数多く存在します。法文の意図するところを正確に把握して正しく用いないと、建築主に危険や迷惑が及びます。
性悪説に基づく法律もあります。許可申請がそうです。都市計画法に基づく開発申請は許可申請です。許可申請はしても良い事を定めています。つまり許可された事以外はしてはならないのです。拘束力としては此方の方が的確で管理は簡単ですが、自由度が少なく利用する側の不満が付きまといます。