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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

陸屋根の家

2012年11月7日

テーマ:【カフェテラス】

コラムカテゴリ:住宅・建物

最近の住宅雑誌によく登場する陸屋根(ろくやね)の家。縦と横のラインが強調させ都会的センスに溢れています。これは何も新しいデザインではありません。直線を強調するのは100年前の建築家フランクロイドライトが得意とするデザインでした。代表作の落水荘などは、今見ても斬新なデザインです。

都会的なセンスが好まれるのか、最近連続して陸屋根のデザインの家を依頼されました。木造で鉄骨や鉄筋コンクリート(RC造)の様な陸屋根を造ると漏水の元です。
木造は鉄骨やRC造の様に堅くはありません。木造は柔らかく常に動いていると考えて間違いありません。地震や風と云った外力により直接的に動きますし、温度や湿度の変化によっても動きます。その動く構造材に追随する様な防水工法でなければ、漏水の危険性がつきまといます。

また、鉄骨でもRC造でも同じですが、屋根裏の空間が狭い為、暑さ対策が需要となります。瓦屋根であれば屋根裏の気積が大きく換気に気をつけてやれば、ある程度の熱は抑えてくれます。しかし、屋根裏の気積が小さいと、直ぐに熱せられ蒸し風呂状態の屋根裏となります。

世界的に見て住宅の屋根は日本同様勾配屋根が大多数を占めます。アフリカの殆ど砂漠地帯の日干し煉瓦で造った家に陸屋根が見られる程度です。費用を度返しするか住み心地を無視すれば、陸屋根を造ることは出来ますが。長年する家ですので、そうそう乱暴な割り切りはできません。外観デザインも地域に根ざす事を考え、その地にどんな形状の屋根が向いているのか考えながらデザインを考えるべきです。

初めから、陸屋根が良いとか、勾配屋根が好きとか決めてかかると、欠点を補う費用が結構掛かることになります。

この記事を書いたプロ

福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(岡田一級建築士事務所)

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