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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

木造住宅の屋上の造り方

2012年10月17日

テーマ:【賢い家造り】

コラムカテゴリ:住宅・建物

昨日、匿名の問い合わせがありました。木造住宅でありながら屋上のある家を全国展開で販売しているハウスメーカーがあるがどうか?と云う問い合わせでした。

聞いた事の無いメーカーだったので、屋上やバルコニーの注意点や問題点を説明すると、それでもそのメーカーの家が気になるらしく、ホームページがあるから是非見て欲しいと云われ、ホームページを検索しました。出てきたそのメーカーのホームページは如何にもプロのホームページデザイナーが製作したと思われる小洒落た作りですが、中身がありません。

フラットルーフの最大の問題点は結露対策です。一昔まえのフラットルーフの問題点は断熱対策でした。しかし、断熱材の発達と気密構造の進化で断熱対策は一応の解決を見ました。その反動として結露の発生がクローズアップされています。
天井面に雨の滲みの様なものが現れて、はじめは雨漏れを疑いますが、屋上の何処を見ても雨が漏る原因が見当たらなければ結露です。もう一つ雨漏れとの違いは滲みの色がこげ茶に近い茶色です。普通の雨漏れには殆ど色はつきません。結露の滲みは色が着いてる場合が多いです。

原因は断熱対策の空気層です。断熱材の性能を上げるために直射日光の伝導熱を断熱層に直接伝えない為に空気層を造るのですが、その空気層に少しでも空気が滞留する場所があるとそこで結露が発生します。
木材は全く濡れていなくても、中に湿気を含んでいます。元々生き物ですから当然ですが、その水が結露の原因です。メカニズムは梅雨時の晴れ間屋根面が太陽光に晒されてどんどんと熱が上がります。空気も熱せられて空気層の温度も上がります。気温が上がると湿度が下がりますので木材の中の水分が水蒸気となって空気中に出て行きます。夜温度が下がるにつれて露点が下がってくると木材は湿気を吸収しますが、吸収する木は発散した時の様に一律ではありません。湿気を含む空気は相対的に温度が高いので高いところに集まりますので、高い部分の木材しか湿気を吸収できないのです。
屋上は平坦ではないのかと思いますが、屋上を平坦に造ると水が溜まってしまいますので、僅かな勾配を設けます。この勾配の上に向かって湿気が集まるのです。木が吸収出来る間はどんどん吸収していきますが、それには限界があります。限界を超えた時点で木材の表面に水が浮き結露が発生するのです。元々が木から出た水ですので結露した水は、木のアクを含んでおり茶色に変色します。その水が空気層から断熱層に伝わり断熱層の隙間から天井に落ちて天井に滲みを作るのです。

話しは戻りますが、そのホームページには結露対策は一切書かれていませんでした。実績も少ない様です。屋根の空間を庭は半屋内的なプライベート空間として、利用出来れば素晴らしいこととは思いますが、ただの思いつきだけで実行すればとんでもない事になります。

木造には木造の屋上の造り方があります。それを熟知していないと、ホームページを立ち上げて新規商売を開始したものの、クレームが多すぎて早期撤退になると云う結果が目に見えています。

木造で屋上を造りたい方は下記のホームページを参照されると良いでしょう。
http://www.jin.ne.jp/oado/lowcost.html

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