斜面地の住宅

福味健治

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テーマ:【賢い家造り】

土地をあるがままのカタチで建てることは大切なことです。高度成長期の様に、これから消費が盛んになる時期であれば、お金に任せて自然を征服するような改造に挑戦してきましたが、人が人工的に造った土地の軟弱さを、地震の度に思い知らされます。

緩勾配の土地は緩勾配のままにして家を建てた方が合理的です。土地を平にする必要はありません。
土地のカタチを上手く利用して人が土地に寄り添うように家造りをすべきです。
土地が斜めになっているから床も斜めにと云う訳にはいきませんので、基礎の高さを変えて床を水平にします。その分基礎工事が割高になりますが、敷地一杯に擁壁を張り巡らして土地自体を水平にすることを思えば、まだ割安です。また斜面地は平坦な土地に比べ割安で、少ない費用で便利で広い土地を手に入れるチャンスでもあります。

基礎を持ち上げて、水平を保つのも幾つかの方法があります。通常の家の様にフロア全体を平にすることも出来ますが、部屋ごとに段差を設けて、その段差を利用してスキップフロアを構成することも出来ます。デッキを張り出して眺望の為のバルコニーを設ける事も出来ます。

盛り土をしないので、地盤が沈下することもありません。擁壁の工事は虫歯治療に似ています。痛んだ歯(斜面地)を治す(平にする)ため健全な歯(締まった土地)まで削る(掘り返す)様なことをします。ですので地盤を強化する為、改めて地盤改良を行ったりしないと、建物が不同沈下を起こす事が予想されます。

気に入った土地が斜面地ならば、平らにすることは考えずにそのまま利用出来る方法を考えましょう。

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福味健治(一級建築士)

岡田一級建築士事務所

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