住宅の耐用年数

福味健治

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テーマ:【住宅再生】

木造住宅は全くメンテナンスしなければ、何年もつのでしょうか?
これはお客さんから最もよく受ける質問の一つです。しかしこれは実は中々一言では答えられない質問なのです。

建物の耐用年数を測る物差しが三種類あります。
①原価償却を考える際に用いられる法的耐用年数。賃貸住宅等で税金を支払う時に控除出来る金額を算出する際に用います。木造の場合35年で減価償却します。
②経済的耐用年数。流行やライフスタイルの変化により建物の値打ちの下がり方を資産価値として捉える耐用年数の考え方。一般に20年前後で資産価値は無くなるとされています。
③物理的耐用年数。今の木造住宅は水廻りの劣化性能や耐震性能が昭和の建物と比べ飛躍的に丈夫になっています。雨漏れや結露で建物が傷まなければ、また数百年に一度発生する巨大地震に遭遇しなければ、50~100年はもちます。

20年前でしたら、経済的耐用年数と物理的耐用年数がほぼ一致していましたので、古くなった時が建替え時になりました。その結果スクラップアンドビルドが繰り返され、ある意味で住宅が経済発展の牽引役を果たしてきました。
しかし、長年に渡る経済不況と地球環境を守る観点から、お金を掛けずに快適に、かつ地球に優しい工法が考え出され、物理的な耐用年数をどんどん延ばす結果となっています。

これから長く使用する事を考え、変化するライフスタイルにも追随するプラン作りを行って、②の経済的耐用年数を如何に延ばすかで、本当の耐用年数が決まります。

建売住宅は不特定多数の人が良いと考えるもっとも平均的な(平凡な)間取りを重要視します。逆に云えば注文住宅の様に建築主個人のライフスタイルに合う様に造ることが出来ませんので、すぐに飽きられてしまう、経済的耐用年数の短い建物となってしまいます。
今後の住宅の寿命は、どれがけ建築主のライフスタイルに合った間取りに出来るかで決まります。

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福味健治
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福味健治(一級建築士)

岡田一級建築士事務所

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