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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

長期優良住宅の可変性能

2012年6月19日

テーマ:【賢い家造り】

コラムカテゴリ:住宅・建物

長期優良住宅のもっとも大きな特徴は可変性能に言及しているところです。

住宅の基準は、最低の基準しか定めていない建築基準法の他に、住宅性能評価・JIS規格・旧公庫基準等々の基準があります。いずれの基準も建物のハード面の規定を繰り返し定めていますが、ソフト面に言及する基準はありませんでした。

長期優良住宅は、建物を長期間に渡り使用する事を目的としていますので、建物のハード面以外にソフト面が重要になって来ます。個人住宅は、建築主が最も住み心地が良いと思う家を造ります。ですので、建築主が世代交代すれば、次の建築主が最も住み心地が良い家にしなければなりません。
しかし、今までの家は次の世代が好む家にしようと思えば、リフォーム費用が多大となり、同じお金を掛けるならば、新築にしようとスクラップアンドビルドが繰り返されてきました。
これでは、ハード面の性能をいくら向上させても、長期の使用に耐え得る家とはなりません。

可変性能とは、僅かな費用で間取りの変更を可能にする性能の事で、建築主のライフスタイルや家族のライフサイクルに合わせて、容易に間取りを変えられる事を目的としています。

昭和40年代の家には、応接間があるのは当たり前でした。接客する為の部屋が家族が主に暮らす茶の間以外に必須だったのです。現在はライフスタイルの変化から気の使う客を家で接客する習慣が殆ど無くなってしまいましたので、応接間は不要の存在となっています。親から家を引き継いだ子供世代から見れば、応接間は不要で茶の間と合わせて広いリビングダイニングを造りたいと考えます。しかし、改造費用や、家全体の耐震性能・温熱性能の向上等、今のライフスタイルに合わせようと思えば、新築するのと殆ど費用が変らなくなってしまいます。
100年住宅も、可変性能を見据えた住宅にしなければ、人間の都合で100年も持たない家になってしまうのです。

可変性能とは、間仕切りを構造材を用いず、撤去可能な素材で造り、また大空間を簡単な造作で間仕切れる工夫をした構造体の性能を云います。水廻りや上下移動の接点となる階段部分をコアとして、それ以外の空間を、ライフスタイルやライフサイクルによって様々に可変させる事が出来る様にすることを目指しています。

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