住まい再好築【今どきの家は何故和風住宅が減っているのか】
改造前の間取りは、実際にあるハウスメーカーの間取りです。
標準的な間取りで、これと云った大きな欠点は見当たりません。制限された延べ坪数の中で出来る限り部屋の大きさを確保した苦労が伺えます。
これだけでも、商品として充分耐える間取りですが、不特定多数のユーザーを対象にしているため、間取り上の大きな冒険が出来ないジレンマに陥っています。
たとえば、トイレの位置です。トイレに行く通路を確保するため、余計な廊下を設けねばなりません。リビングタイニングの大きさは実質9帖しかありません。トイレの前に空間が余ったので、取って付けた様な半畳の物入れがついていますが、間取り次第でもっと大きな物入れが作れます。
また、不特定多数の人を対象にしている為、個室の数と大きさを確保しなければなりません。二階は主寝室と子供室二室を想定していると思われますが、主寝室はともかく、子供の為に完全な個室を与えるのは贅沢です。個人主義の未発達な日本で個室を重用する間取りは引き篭もりを助長させる結果にしかなりません。子供室は出来るだけ居心地の悪い、寝るだけの空間があれば充分です。
それらと考えて間取りを組み立てなおすと改造案の様な間取りになります。
一階と二階の機能を逆転させた二階リビングの家です。二階リビングの長所は壁量が少なくても構造的に安定することです。一階にこれだけ大きな空間を確保しようと思えば、地震に弱い家になってしまいます。また天井を屋根の形状に合わせた勾配天井にして、空間的な広がりも演出出来ます。
改造したプランは、好き嫌いのはっきり分かれるプランですが、住まう人が気に入れば不特定多数の人に好まれるプランにする必要はありません。不特定多数の人に好まれるプランには、既製服の窮屈さが付きまといます。