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コラム
60代のバリアフリー
2012年2月27日
●バリアフリーと云う言葉
高齢者のための住宅を問われて、まず先にバリアフリーと云う言葉がイメージされます。
確かに、今後益々体力が向上していく訳ではありませんので、バリアフリーも念頭に置かなければなりません。だからと云って平屋の真平らな家がバリアフリーなのでしょうか?
段差を無くす取組みは高齢者の転倒を防ぐ方策として取り組まれています。ではどうした時に転倒するのでしょうか。
●階段事故は高齢者だけではない
階段の転落事故も死亡事故として年間常に40件前後発生しています。但し階段からの転落事故は年齢を問いません。幼児からお年寄りまで平均して発生しています。高齢者だけが特別多く階段で転落事故に遭う訳ではありません。
事故に遭うリスクを回避する意味で、二階建てよりも平屋の方が有利ではありますが、バリアフリー住宅は平屋でなければならないとは云えません。むしろ習慣的に足腰の筋肉を使う生活をした方が体力の衰えを防げるでしょう。膝や腰に持病があったり体を動かすことが困難な人を除けば、二階建て住宅も許容すべきかと考えています。
階段に踊り場を設けたり、蹴上げ寸法を緩くする等、プランに気をつけることで、二階建て住宅でも高齢者用の住宅として成立します。
●不要な段差
では高齢者の転倒事故はどこで発生するのでしょうか。最も多いのが敷居の段差です。敷居と云えば床面から1~2cmしか上がっていません。健常人なら全く意識しない段差です。60代に差し掛かると、本人は普通に足を上げているつもりなのに、実は摺り足になっていて、敷居の角に足を引っ掛けて転倒してしまうのです。段差があると意識するところでは人は転びません。段差と認識していない所だから転倒するのです。高齢者住宅の段差解消は1~2cmの段差を無くすことにあるのです。リビングでも玄関でも人が意識するほど段差のある部分は問題にしなくても構いません。意識する段差は体力の衰えを防止します。その意味であっても良い段差だと考えています。
●手摺
段差部分を意識出来る高さにすれば、転倒は防げます。但し、遠くない将来には、通常に歩くことも困難になる事も想定しておかなければなりません。その為に現状では不要であっても手すりを設置出来るだけの準備が必要となります。玄関の上がり框の段差・トイレ・浴室・ベッド廻り・座ったり立ち上がったりが想定出来る場所には手摺を取り付けられる準備だけはしておきましょう。
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