任意売却を任せる会社、見極める3つの目
「住宅ローンのほかに、リフォームローンの抵当権も付いているんです。これでも任意売却はできますか?」
先日、大阪市内の戸建てにお住まいの方から、こんなご相談をいただきました。登記簿を拝見すると、1番に住宅ローンの保証会社、2番にリフォームローンの会社の抵当権が設定されていました。
任意売却のご相談では、このように抵当権が2つ以上付いているケースは決して珍しくありません。今回は、いわゆる「2番抵当(後順位抵当権)」がある家の任意売却について、実務で押さえておきたい点をお話しします。
①抵当権者「全員」の同意がなければ売れない
任意売却は、買主に抵当権の付いていない状態で引き渡すことが前提です。そのため、1番だけでなく2番・3番の抵当権者も含め、全員に抹消を承諾してもらう必要があります。
ところが、売却代金が1番の残債にも届かない場合、2番の抵当権者には配分上ほとんどお金が回りません。「1円も受け取れないのに、なぜ抹消に応じなければならないのか」というのが後順位の立場です。ここが2番抵当がある任意売却のいちばんの難所です。
②「担保解除料(いわゆるハンコ代)」で調整するのが一般的
そこで実務では、1番の抵当権者の了解を得たうえで、売却代金の中から後順位の抵当権者に一定額の「担保解除料」を支払う形で配分案を組むのが一般的です。
金額は、金融機関ごとの基準や残債額、物件の価格によって変わります。売主様が自由に決められるものではなく、1番・2番双方が納得できる配分案を作ることが不動産会社の役割になります。
後順位の側にも、応じる理由があります。仮に競売になった場合、売却代金は先順位から順に配当されるため、2番には配当が回らないことがほとんどです。さらに、後順位の債権者が自ら競売を申し立てても、先順位の債権を弁済すると剰余が見込めないときは、手続きが取り消されることがあります(民事執行法63条・無剰余取消)。少額でも任意売却で回収するほうが合理的、という判断になりやすいのです。
③まず登記簿の「乙区」で、すべての債権者を把握する
ご相談の際に、ご本人が把握していない抵当権や根抵当権が見つかることもあります。事業資金の保証、親族からの借入れに伴う抵当権などです。
私たちは最初に登記事項証明書の「乙区」を確認し、債権者を一覧にしてから査定と配分案の検討に入ります。後順位の金融機関は返答に時間がかかることも多く、競売の期限が迫ってから気づくと間に合わないおそれがあるからです。
冒頭のご相談では、早い段階で2番のリフォームローン会社にも連絡を取り、担保解除料を含めた配分案で双方の承諾を得て、競売前に売却を終えることができました。なお、担保解除料を受け取っても後順位のローンの残りが消えるわけではなく、その後の返済方法は別途話し合いが必要です。
まとめ
2番抵当があっても、任意売却ができないわけではありません。ただ、調整する相手が増える分、時間は確実にかかります。「抵当権がいくつあるか分からない」という段階でもかまいませんので、早めにご相談ください。債務整理の判断が必要な場合は、弁護士・司法書士の先生と連携して進めます。
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