エアコンが壊れたら家賃は下がる?

重村裕一

重村裕一

テーマ:不動産賃貸

「真夏にエアコンが止まってしまって、管理会社に連絡したのに1週間経っても直らないんです」

大阪市西区で不動産仲介をしておりますと、夏場にこうしたご相談をいただきます。借主さまとしては暑さで生活そのものが成り立ちませんし、貸主さまからすれば「すぐに手配したいが業者が捕まらない」という事情もあります。

賃貸のご相談ではこれまで、入居審査や保証会社、更新料や退去費用といった「お金の入口と出口」をお話ししてきました。今回は入居後、暮らしの真ん中で起きるトラブル、つまり設備が壊れたときのルールを整理します。

結論から申し上げると、条件が揃えば家賃は下がります。しかも「大家さんの好意」ではなく、法律上当然に下がるという扱いです。

①修繕するのは貸主の義務。まずここが出発点

民法606条は、貸主は目的物の使用収益に必要な修繕をする義務を負うと定めています。エアコン、給湯器、コンロなど、募集図面に「設備」として記載されていたものが壊れた場合、原則として直すのは貸主の負担です。

ただし例外があります。借主の使い方が原因で壊れた場合(同条ただし書)は借主負担です。また「エアコンは残置物です」と契約書に明記されている場合、それは前の入居者が置いていった物を好意で残しているだけで、設備ではありません。壊れても貸主に修繕義務はなく、撤去してもらうか自費で交換するかの話になります。

契約時にここを確認しておくだけで、後の揉め事はかなり減ります。

②2020年4月から、家賃は「当然に」減額される

改正民法611条により、設備の故障などで賃借物の一部が使用できなくなり、それが借主の責めに帰することができない事由による場合、家賃はその使用できなくなった部分の割合に応じて当然に減額されるとされています。

「当然に」という言葉が重要です。改正前は借主が減額を請求してはじめて減る仕組みでしたが、現在は請求の有無にかかわらず、法律上その分だけ減っているという整理になりました。

とはいえ、実務では「何割下がるのか」が明文化されていません。目安として使われているのが、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会がまとめた資料で、エアコンや給湯器などの設備ごとに、免責日数を置いたうえで月額いくら相当という考え方が示されています。あくまで参考値であり、最終的な金額は当事者の話し合い、決着しなければ裁判所の判断になります。

③実務で大事なのは「証拠」と「連絡の順番」

現場で減額がすんなり通るかどうかは、法律よりも記録の有無で決まっている、というのが正直な実感です。

まず、故障に気づいたら管理会社または貸主へ速やかに連絡してください。連絡が遅れると、その間の不便は減額の対象になりにくくなります。電話だけでなく、メールやチャットなど日付の残る形で伝えておくと確実です。

次に、いつから使えないのか、いつ復旧したのかを記録します。日数が減額計算の土台になります。

そして、勝手に業者を呼んで修理し、その代金を家賃から差し引くのは避けてください。民法607条の2は、借主が貸主へ修繕が必要である旨を通知したのに相当の期間内に修繕しないとき、または急迫の事情があるときに限り、借主が自ら修繕できると定めています。順番を飛ばすと、かえって借主側が不利になります。

まとめ

大阪市内は単身向け物件を中心に築年数のある建物も多く、設備の入れ替え時期に差しかかった住戸は少なくありません。だからこそ、入居時に設備と残置物の区別を確認しておくこと、故障時は記録を残して速やかに連絡すること。この二つで、多くのトラブルは避けられます。

なお、減額幅をめぐって争いになった場合の交渉や訴訟は弁護士の領域です。私たち不動産会社の役割は、契約書に何が書かれているかを一緒に読み解き、どこまでが貸主の義務なのかを正直にお伝えすることだと考えています。

設備の不具合でお困りのとき、ご自身の契約がどちらに当たるのか分からないという段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。

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重村裕一
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重村裕一(宅地建物取引士)

株式会社クレアクロス

大阪で相続不動産の売却・活用に悩むならご相談ください。IT企業出身の異色キャリアを持ち「不動産で損する人をなくしたい」という信念のもと、相続・売買・賃貸・投資まで不動産全般を一貫サポートします。

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