賃貸の初期費用、どこまで交渉できる?
賃貸のお部屋を借りるとき、契約書に「当社指定の火災保険にご加入ください」と書かれていて、疑問に思わず言われるまま加入した経験はありませんか。保険料は決して安くなく、更新のたびに数千円から2万円ほどかかります。今回は、この「指定の火災保険」を本当に断れないのか、大阪での実務経験を交えてお伝えします。
①火災保険の加入そのものは断りにくい
まず前提として、貸主が「火災保険への加入」を賃貸借契約の条件にすること自体は違法ではありません。万が一の火災や水漏れでお部屋に損害が出たとき、借主には原状回復して返す義務(民法の債務不履行責任)があるためです。ここで大切なのが「借家人賠償責任保険」です。失火責任法により、軽い不注意による失火では隣の部屋への賠償責任は原則負いませんが、借りている部屋そのものを貸主へ弁償する義務は残ります。この備えがある保険への加入を求められること自体は、合理的な要求といえます。
②「指定の保険会社の商品」に必ず入る義務はない
一方で見落とされがちなのが、「火災保険に入ること」と「不動産会社が指定した特定の商品に入ること」は別だという点です。多くのケースで、借主が同等の補償内容(借家人賠償責任・家財・個人賠償など)の火災保険を自分で選んで加入することは可能です。指定商品への加入を強く迫り、他社の同等品を一切認めない対応は、独占禁止法が禁じる「優越的地位の濫用」にあたる可能性も指摘されています。加入は必要でも、商品選びの自由まで奪われるわけではない、と知っておくと安心です。
③断るより「見直す」姿勢が現実的
とはいえ、契約の場で強く突っぱねると入居審査や関係がぎくしゃくすることもあります。私がおすすめするのは、更新のタイミングでの見直しです。更新時に「補償内容が同等なら自分で手配したい」と一言添えるだけで、保険料を年数千円抑えられた入居者の方もいらっしゃいました。その際は、借家人賠償責任の金額(1000万〜2000万円程度が目安)と個人賠償責任特約が付いているかを必ず確認してください。ここが抜けると、いざという時に肝心の補償が受けられません。
まとめ
火災保険は「入る・入らない」ではなく「どの内容で入るか」を考えるものです。言われるまま契約する前に、補償内容と保険料を一度見比べてみてください。ご不明な点があれば、契約前の重要事項説明の場で遠慮なく質問することをおすすめします。納得して住まいを選ぶ、その一助になれば幸いです。


