リスクマネジメントの目的①~会社を「潰さない」こと
ハラスメントや労務トラブルは、中小企業の信頼や人材確保に大きな影響を与える経営リスクです。
ハラスメント・労務リスクは経営課題の一つ
「うちは従業員同士の仲が良いから大丈夫」と思っていても、何気ない言動がハラスメントと受け止められることがあります。また、「うちのメンバーは残業が多くても自ら率先して気持ちよく働いてくれている」と思っていても、本心はそうではないのかも知れません。相談先がなく問題が表面化しないまま退職や訴訟に発展すれば、人材の流出だけでなく、会社の信用にも影響します。
経営者にとってのリスクマネジメントとは、問題が起きてから対応することではなく、起きにくい環境をつくることです。
ハラスメント対策は「仕組みづくり」が重要
パワハラ防止法は中小企業にも適用されており、ハラスメント防止の取り組みが求められています。
例えば、次のような準備が有効です。
•就業規則や懲戒規定にハラスメント禁止を明記する
•相談窓口を設置し、全従業員へ周知する
•定期的にハラスメント研修を実施する
例えば、従業員が上司の言動に悩んでいても相談先が分からず退職してしまえば、採用や教育にかけた時間や費用も失われます。そしてその上司が自分自身の過ちに気づかずにいれば、さらに同様の事案が起こってしまうこととなります。上記のような対策を行うことにより、早い段階で問題を把握し、適切な対応につなげることができます。
今や企業の規模や従業員数に関係なく、ハラスメント対策は経営者としての必須業務と考えるべきです。
労務管理は個人任せにしない
もう一つ見落とされやすいのが、未払い残業代や長時間労働などの労務リスクです。
「担当者に任せているから大丈夫」と考えていても、勤怠入力漏れや給与計算ミスが積み重なると、後から大きなトラブルになることがあります。また継続的に続く長時間労働が、従業員の心身への負担となり、長期欠勤や退職原因となることも少なくありません。
例えば、
•勤怠記録と給与計算を毎月確認し、承認者によるチェックを必ず行う
•業務を一人だけに任せず、複数人が内容を把握する
•時間外勤務が一定時間を超える従業員には注力、状況に応じて面談を実施する
•時間外勤務抑制は本人任せにするのではなく、会社および部署単位で取り組むようにする
このような仕組みを整えることで、ミスや不正を未然に防ぎ、従業員の安全衛生対策にもつなげることができます。
信頼される会社づくりにつながる
ハラスメント対策や労務管理は、「法律を守るため」だけではありません。安心して働ける職場は従業員の定着につながり、取引先や採用応募者からの信頼にもつながります。
中小企業のリスク管理は、難しい制度を導入することではなく、小さなルールを継続して運用することから始まります。日々の積み重ねが、会社を守り、将来の成長を支える大きな力になるのです。
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