経営理念による「採用と定着(共感採用)」
企業理念を策定していると、最後まで悩むのは「何を言うか」だけではなく、「どう書くか」です。同じ意味でも、漢字とひらがなでは受け手が感じる印象が大きく変わります。私は、企業理念において使う言葉は、「意味」と同じくらい「表記」が重要だと考えています。
例えば、同じ言葉でも、漢字とひらがなでは次のような違いがあります。
| 漢字 | ひらがな | 受ける印象 |
|---|---|---|
| 真心 | まごころ | 漢字は堅実・誠実、ひらがなは親しみ・温かみ |
| 創造 | そうぞう | 漢字は専門性・知的、ひらがなは自由な発想 |
| 幸せ | しあわせ | 漢字はやや抽象的、ひらがなは感情が伝わりやすい |
漢字表記のメリット・デメリット
メリット
•意味が明確で伝わりやすい
•重厚感や信頼感がある
•企業理念らしい格調を演出できる
デメリット
•堅苦しい印象になりやすい
•読み手との距離を感じさせることがある
•漢字が多いと読みにくくなる
ひらがな表記のメリット・デメリット
メリット
•温かさや親近感が伝わる
•柔らかく、人に寄り添う印象になる
•読みやすく、記憶に残りやすい
デメリット
•幼い印象を与える場合がある
•意味が曖昧になることがある
•文字数が増えて間延びすることがある
大切なのは「会社らしさ」
どちらが正しいということではありません。
例えば、
•製造業や建設業なら「挑戦」「品質」「信頼」といった漢字を多く用いることで、力強さや技術力を表現できます。
•保育、介護、福祉、サービス業などでは、「ありがとう」「しあわせ」「つながり」など、ひらがなを取り入れることで温かさが伝わります。
つまり、企業理念の表記は、その会社のブランドイメージを形づくる要素の一つです。
私が企業理念策定で意識すること
企業理念は、社外に向けたメッセージであると同時に、従業員が毎日目にし、口にする言葉でもあります。
そのため私は、次の3つを意識するようにしています。
1.読みやすいこと
2.口に出しやすいこと
3.その会社らしさが伝わること
特に3つ目が重要です。
例えば「お客様」と「お客さま」では、意味は同じでも受ける印象は異なります。「共に」と「ともに」、「未来」と「みらい」、「幸せ」と「しあわせ」も同様です。
どちらが正しいかではなく、その会社がどのような存在でありたいのかによって、最適な表記は変わります。
企業理念策定は「言葉を選ぶ仕事」であると同時に、「文字を選ぶ仕事」でもあります。
漢字一文字、ひらがな一文字の違いが、理念全体の雰囲気を左右します。
だからこそ私は、企業理念策定の際には、意味だけでなく、表記から受ける印象まで含めて検討することが大切だと考えています。
理念は情報を伝える文章ではなく、会社の価値観や想いを届ける言葉です。その想いを最も自然に表現できる表記を選ぶことが、理念を「その会社らしい言葉」に育てる最後の仕上げになるのではないでしょうか。
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