経営理念による「採用と定着(共感採用)」
企業理念の策定をしていると、ある瞬間に「これだ!」と思える言葉に出会うことがあります。
経営者の想いが一つにつながり、その場では「もうこれで決まりだ」と感じることも少なくありません。
しかし、私はそんな時ほど、「今日は決めずに、一度寝かせましょう」とお伝えしています。
なぜなら、理念策定は、時間をかけても色あせない言葉を見つける作業だからです。
翌日には違和感を覚えることがある
実際に、打ち合わせでは「これしかない」と思っていた言葉でも、数日後に読み返すと「何か違う」と感じることがあります。
逆に、時間を置いても自然と受け入れられる言葉は、不思議と色あせません。
この「少し時間を置く」というひと手間が、理念づくりではとても大切だと感じています。
私が理念策定を急がない理由
私が企業理念の策定をご支援する際は、おおむね5~6か月かけて進めています。
月に1回程度のミーティングを4~5回重ね、その間の時間で、経営者ご自身にもじっくり考えていただきます。
「この言葉で本当に自社らしさが伝わるだろうか。」
「もっと自分たちらしい表現はないだろうか。」
そんな問いを繰り返しながら、少しずつ理念を磨いていきます。
言わば、「一晩寝かせる」のではなく、「何度も寝かせる」ことで理念を熟成させているのです。
時間は、本音を残し、言葉を磨いてくれる
理念づくりでは、打ち合わせ中の高揚感から「これが一番いい」と思う瞬間があります。
しかし、その熱量は会議の雰囲気によるものかもしれません。
時間を置いてもなお共感できる言葉であれば、それは一時的な思いつきではなく、経営者が本当に大切にしている価値観だと言えるでしょう。
感情が落ち着くと、本音だけが残るのです。
さらに、時間を置くことで言葉そのものも磨かれていきます。
最初の理念案は、「これも伝えたい」「あれも入れたい」と、どうしても説明が多くなりがちです。
ところが、読み返すたびに、
「この一文はなくても伝わる。」
「この言葉一つで十分表現できる。」
そんな気付きが生まれます。
以前、「理念策定は俳句づくりに似ている」というコラムを書きましたが、これと同じです。
理念策定って俳句づくりに似ている?
余分な言葉が少しずつ削ぎ落とされ、本当に伝えたい想いだけが残っていくのです。
焦らず決めることが、一番の近道
企業理念は、数年で作り直すものではありません。
だからこそ、「早く決めること」よりも、「長く使い続けられる言葉を見つけること」の方が大切です。
理念案ができたら、ぜひ一度寝かせてみてください。
翌日に読み返し、できれば数週間後にももう一度読み返してみてください。
何度読み返しても「やっぱりこの言葉だ」と思えるなら、その理念は会社の本音に近づいています。
※テーマ別コラム
バックオフィス
リスク管理・リスクマネジメント
コンプライアンス・ハラスメント教育
企業理念


