男と女は脳がちがう
── 相互依存と共依存の違いを考える ──
人間関係で、「助けているはずなのに疲れる」「良かれと思って関わっているのに、なぜかうまくいかない」と感じたことはないでしょうか。その背景には、「相互依存」と「共依存」の混同が隠れていることがあります。
相互依存とは、お互いが自立したうえで支え合う関係です。一方、共依存は、相手を必要とすることで自分の価値を保とうとする状態。どちらも一見すると似ていますが、関係性の質は大きく異なります。この違いを象徴する出来事を、以前行った小学校でのステンドグラス体験教室で目にしました。
午前中は、色や形の異なるガラスをトレーに入れ、子どもたちが自由に選べる形式でした。すると「欲しい色がない」「取られた」といった不満から、泣いたり怒ったりする場面が増え、場の空気も張りつめていきました。
午後は方法を変え、材料を一人ずつキットにして配りました。選択肢は限られましたが、「これは自分のもの」という前提が生まれたことで、驚く変化が起こります。色の少ない友だちに自分のガラスを分けたり、自然に交換を申し出たりする子が現れたのです。指示もルールもありません。子どもたち自身が、相手を気づかい、調整し合っていました。
ここで起きていたのは、「自分が満たされている状態」から生まれる助け合いでした。まず自分の立場や所有が確立されているからこそ、他人に目を向ける余裕が生まれます。これが相互依存の土台です。大人の人間関係では、この順序が逆になることがあります。
相手の期待に応えすぎたり、必要とされることに安心を求めたりするうちに、無理が積み重なり、関係は「助け合い」ではなく、「離れられない状態」へと変質していきます。これが共依存。一方、相互依存は、自分を犠牲にしません。違いがあっても、対等に関われる関係です。この視点は、家庭でも職場でも、そしてビジネスのパートナーシップにおいても重要になります。互いが自立してこそ、信頼は深まり、関係は広がっていきます。
人間関係を見直したいときは、「相手のために何をしているか」ではなく、「自分は無理をしていないか」を問い直してみてください。健全な関係は、自分を見失わないところから始まります。



